【レビュー】『勝点1を手にした両者の異なる振舞い』~第6節大宮アルディージャVSファジアーノ岡山~


先制した大宮にアクシデント発生。岡山が土壇場で追いつき勝点1

大宮とファジアーノの一戦はドロー決着。先制した大宮は今季初勝利とはならなかったが、GK2人が負傷するアクシデントに見舞われた中で連敗を阻止。一方のファジアーノは土壇場でゴールをこじ開けたが、逆転には至らず。同じ勝点1を分け合った両チームの選手の振る舞いは異なるものだった。

ホームで今季初勝利を目指す大宮は立ち上がりのピンチをしのぐと、迫力あるプレスと徹底したサイド攻撃で流れを引き寄せていく。13分、左サイドの深い位置にボールを入れると一度は奪われるも小野が粘り、こぼれたボールを柴山がクロス。これに矢島が頭から飛び込んだ。シームレスな切り替えで奪ったゴールは初勝利を近づける先制点。ホームのゴール裏は多いに盛り上がった。

追いかけるファジアーノはGK金山の好守もあり右サイドからの攻撃をしのぐと、39分にチャンスを作る。PA外からバイスがシュート、こぼれ球を田中、川本が詰めるも、顔をケガしながらゴールを守るGK南の牙城を崩せない。その直後にはチアゴが放ったヘディングシュートはポストを叩いた。

後半のピッチにはGK南の姿はなかった。後半から出場したGK上田は67分にクリアしようとしたところで足を痛めてしまう。控えのGKがいない大宮は、今節がプロデビュー戦だった31歳のCB栗本がグローブを付けて急遽ゴールマウスを守ることになった。

5バックにして1点を守り切る方へ舵を切った大宮に対して、ファジアーノは何度もゴール前への侵入を試みたが、シュートが打てない時間が続く。それでも前線を2トップに変えて、柳を押し上げると、95分に同点弾が生まれる。ゴール前で佐野と柳が競ったこぼれ球をムークが右足を振り抜き土壇場でゴールをこじ開けた。

大宮はパワーを出した前半に先制したが、最後に失点を喫して勝利はお預け。しかし、GK2人が負傷して難しい状況になったが、何とか連敗を阻止。試合後、急遽GKを務めた栗本は労うように味方と握手を交わした。ファジアーノは最後に追いついたとはいえ、本職のGKがいない相手ゴール前にもっとがむしゃらにボールを入れていきたかったし、シュートを打ちたかった。昇格争いに食らいつくためには、今節のような試合を勝っていかないと。試合終了間際に劇的なゴールを決めたムークは何度も首をかしげながらスタジアムを後にした


コラム

判断のミスが招いた失点

ファジアーノが13分に許した失点の原因は3つあると思う。

1つ目は背後へのパスを選択できなかったこと。11分44秒に、相手陣内の右サイドでボールを受けた河野には選択肢が2つあった。背後に走るチアゴの前に出すパスと下りてきた川本の足下へのパスだ。ここで河野は川本へのパスを選択し、カットされてしまった。町田戦も前にプレーできるときに足下へパスを出してしまい失点している。短期間に同じようなミスが出るのは残念だ。

2つ目は、安易なパスミスがあったこと。12分29秒に相手からボールを奪った木村のパスが目の前にいた相手に奪われた。自陣低い位置で奪ったボールを前に入れて押し返したかったが、すぐに奪い返されると、押し返すことはできない。押し込まれる状況を打破できなかった。

3つ目はセーフティな判断ができなかったこと。12分40秒に、サイドのスペースに出されたボールは河野がマイボールにした。この守備対応は素晴らしかったけど、河野はキープして、目線を上げて味方を探している。ゴールラインギリギリのかなり押し込まれた位置にも関わらず、最初につなぐことを考えていた。内側にいた柳へのパスは相手にカットされると判断して外を向こうとしたが、時すでに遅し。次の瞬間にボールを突かれて、クロスを上げられる。自陣深い位置という場所を考えて、タッチラインに逃げても良かったんじゃないだろうか。

今年、無失点試合は1試合のみ。毎試合で点を取れているだけに、勝利から遠ざける安易な失点は非常にもったいない。

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