【レビュー】『やりたいことをできることに変えるために』~第24節ファジアーノ岡山VSロアッソ熊本~

試合結果

2022 J2第24節
7/2 19:00K.O. @シティライトスタジアム
岡山(0-2)熊本
13分 伊東俊
57分 イヨハ理ヘンリー

スタメン

マッチレポート

ボール保持に苦戦した岡山が8試合ぶりに敗れる

やりたいことができなかった岡山が8試合ぶりに敗戦を喫した。

ホームで3連勝中の岡山は先発5選手を変更。これまでフルタイム出場を続けていたバイスが欠場し、6試合ぶりに先発した阿部が柳と初めてCBを組む中で、練習から取り組んできたボール保持にトライする。5試合勝ちがない熊本が髙橋を先頭に勢いを持ってプレスをかけてきても、岡山は自陣からパスをつないでいくことを徹底。7分には堀田から阿部、柳、河野と連続して1タッチパスをつなぎ、田中の巧みなターンで相手のプレスを外した。しかし、前線の4選手を中心に熊本のプレスが強まったことで、横パスや各駅停車のパスが多くなり、ビルドアップが慌て始める。11分に相手の厳しいプレッシャーに遭いながらスローインを受けた本山のバックパスが高く上がり、何とか柳がヘディングでクリアするも、こぼれ球を河原に拾われて杉山にミドルシュートを打たれた。

岡山に自陣でのパスミスが出始めると、13分に試合が動く。イグォンが自陣で阿部からの縦パスを受けるも、前を向くことができずにリターンパス。阿部が宮崎智に蹴ったボールを相手にカットされて、伊東がPA手前から左足を振り抜いた。堀田の手をすり抜けるシュートがゴール左隅に決まって、熊本に先制を許した。

追いかける立場になっても岡山はチャレンジをやめなかったが、ボランチがパスを受ける回数は増えず、前線にロングボールを蹴っても跳ね返されてしまう。37分には杉山の鋭いシュートが飛んできたが、堀田が横っ飛びで追加点を許さなかった。

後半、岡山が背後への意識を強めてスタートし、52分に本山のパスに抜け出したチアゴがシュートを放つも枠を外れる。これを契機に1点を取り返しに行きたかったが、57分にCKからイヨハ理ヘンリーにヘディングシュートを決められた。追加点を許した岡山は60分に3選手を投入し、70分、82分にも選手を送り出す。途中出場の選手が中心になって反発していくも、同じく5選手を投入した熊本の勢いは衰えず、ネットを揺らすことができなかった。

やりたいことができることに変わるまではトライを続けるしかない。できないことからは逃げたくなるし、楽な方法を選びたくもなる。しかし、チャレンジし続けた先にしか成長はない。勇気を持って取り組み続けたい。


コラム

バイスの不在によるビルドアップへの影響

今季初めてピッチにヨルディ・バイスの姿がなかった。

これまでフルタイム出場を続けてきた背番号23は圧倒的なリーダーシップでディフェンスラインを統率し、正確なパスと冷静さでビルドアップの中心を担ってきた。攻守においてチームに欠かせない存在である。そんな彼がいない中で迎えた今節は、自分たちのパスミスから先制点を許して15試合ぶりに複数失点を喫した。

攻守両面で彼の不在の大きさを痛感したが、特にビルドアップへの影響を強く感じた。バイスは左CBの位置からひと振りで、高い位置を取る右SB河野に届けるロングパスを持っている。相手の陣形を斜めに切り裂く「カットボール」を使って、局面をひっくり返してきた。

岡山はビルドアップにトライするも、各駅停車のパスが重なって相手の矢印を変えることができなかった。「カットボール」はバイスだけが持つ唯一無二の手段であり、水曜日に行われる次節もバイスがいない可能性は考えられる。そのため局面をひっくり返す他の手段が必要になるだろう。ひとつ飛ばしのパスを出したり、背後へのパスを織り交ぜたりして、奪いに来る相手を組織としてひっくり返していきたい。

改めてバイスの存在の大きさを痛感する敗戦になってしまったが、嘆いていては先に進めない。出し手も受け手も勇気を持って、みんなで取り組んでいくしかない。

ハイライト

コメント


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