【レビュー】『約5カ月ぶりに取り戻した勝点3』~第8節モンテディオ山形VSファジアーノ岡山(再開試合)~

試合結果

2022 J2 第8節(再開試合)
8/31 19:00K.O. @NDソフトスタジアム山形
山形(0-2)岡山
12分 ヨルディ・バイス
90分+2分 ハン・イグォン

スタメン


マッチレポート

“岡山一体”で掴んだ2度目の勝利

約5カ月前、岡山は90分+2分に木村太哉の得点で勝利するも、GK後藤の退場に競技規則適用ミスがあり、勝利が取り消されて再試合となった。みんなで掴んだ勝利を取り上げられた悔しさは想像を絶するものだったと思う。しかし、“当事者”であるチームは誰1人として下を向かなかった。県内の商業施設ではパブリックビューイングを行い、応援ツアーも即完売。“岡山一体”となって臨む第8節が再開した。

試合は11分、山形ゴール前での間接FKからスタート。山形はGKを挟むようにして全員がゴールライン上に立つ。岡山は9選手がボールに近くに立ち、ホイッスルが鳴ると、ボールをまたいだ。山形の選手が動いて仕切り直し。2回目もボールをまたぐ駆け引きを行い、迎えた3回目。河野がボールを後ろに下げて、河井が足裏で止めて、バイスが右足を振り抜く。シュートは山形の選手をすり抜けてゴール右スミを射抜いた。用意していた形で岡山が先制に成功した。

コロナ禍によって大幅にメンバーを入れ替えて再開試合を迎えた山形は佐藤コーチが指揮を執る中で、ボールを保持しながら反発していく。最前線のデラトーレが中央で起点になり、樺山とチアゴ・アウベスが両サイドから果敢に仕掛けてクロスを送る。16分には細かなパスワークからゴール前に飛び出した河合がネットを揺らすも、オフサイドだった。

後半も山形が攻め立てた。河合と樺山がポジションを入れ替えながら右サイドから抜け出し、鋭いクロスを供給していく。しかし、シュートを打つことができない。柳とバイスが振り切られた濱田をカバーするようにクリアした。それでも62分にチアゴ・アウベスがゴール前に抜け出す決定機を迎えたが、シュートは左に逸れた。

岡山は[5-4-1]のブロックを組み、選手交代で勢いが増した山形の攻撃に慌てることなく対応すると、90分+2分に相手GKのミスを見逃さなかったイグォンがネットを揺らした。

岡山は再び勝った。みんなで困難に立ち向かい、勝利という最高の結果で難局を乗り越えてみせた。3位に浮上したチームはどんなことがあってもブレないメンタルと勝負強さを兼ね備えている。2位・新潟との勝点差は8。しかし、逆境を跳ね返す力を持つチームなら悲願のJ1昇格を成し遂げられるのではないか。そう期待せずにはいられないたくましさがあった。

コラム

再開試合のターニングポイント

最大のターニングポイントは時計の針をスタートさせた間接FKだった。

小坂コーチのもと、2日間で練習した間接FKはボールをまたいで相手を動かせる駆け引きから始まった。ボールの近くに立った9選手が次々にボールをまたいで、少しでも相手選手が動いたらレフェリーに指摘する。2度目もイエローカードを誘発させようと駆け引きを行い、3度目でボールを後ろに下げてバイスの得点が生まれた。

2度の駆け引きは相手選手のスタートダッシュを封じた。そして後ろにボールを下げることで相手選手とボールをさらに遠ざけ、シュートを打つスペースを十分に確保した。ほんのわずかだったとしても、ゴール前で時間とスペースを得たバイスはゴールを射抜く技術を持っている。得点を決めた背番号23はチームメイトに覆い被されながらも、お馴染みの弓を射るポーズで喜びを表した。

試合は約80分も残っていたが、岡山は迷うことなく守備に比重を置くことを選んだ。やるべきことが明確になったとき、岡山はチームとして大きな力を発揮する。これまでも同点に追い付かないといけない、逆転しないといけないという状況がチームの地力を引き出してきた。

それは異例の再開試合でも同じだった。山形がボールを握る時間が続いても焦れない。全員で自陣に戻り集中して弾き返した。チームとしてリードを守り切る。やるべきことを明確にした間接FKでの得点が再開試合での勝利を大きく手繰り寄せた。


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