TK

孤高の50代男性。埼玉県久喜市在住。および週末は茨城県高萩市に通っている。

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マガジン

  • 映画忘備録

    ライフワークの一部として、ある種の映画たちを観続けている。 それは、映画製作を志した10代後半から、現在(50代前半)まで、断続的に続いている。 しかしながら、過去に観た映画の多くは忘却の彼方である。 ましてや、数年前に観た作品も結構忘れてしまう。 その傾向は、今後歳を重ねるごとに増えていくことが予想されるため、数年前からはじめたのが、「Yahoo!映画」に観た映画すべての感想文を投稿することであった。 だが、このサイトが、「Yahoo!検索」に統合されてしまった。 利便性向上ということであろうが、利用する方としては、改悪以外の何ものでもない。 そこで、noteに転載をはじめることにした。

最近の記事

映画「麥秋」について

小津的なるものの凝縮 2024年6月U-NEXTにて鑑賞。 先日「小早川家の秋」を観た後、関連動画を探すと、小津作品でひとつ選ぶとすれば「麥秋」だと言う映画監督がいた。 その映画監督とは井口奈己氏で2023年の東京国際映画祭でのトークイベントでの発言である。
 視聴し、なるほどと思い、鑑賞した次第。 映画を観たところで、まず、初歩的な間違いを注意喚起しておきたい。 登場する「大和」という地名は、神奈川県「大和市」を指すのではない。 「大和」とは、すなわち奈良県の方の「大和

    • 映画「メリィ・ウィドウ」について

      「映画」とは「メリィ・ウィドウ」のことである 2024年7月、レンタルDVDにて鑑賞。 エルンスト・ルビッチ作品の多くは動画配信サービスで視聴可能であるが、現在本作品の配信はない。 DVDのみ販売(およびレンタル)されているが、販売価格は1000円くらいである。 いくつかのルビッチ作品同様、本作品も期待を裏切らない。 いや、期待以上の面白さだ!!! しかも本作は、1930年代の製作である。 「映画」というメディアは既に1930年代に完成されていて、その後の映画はある意味、

      • 映画「季節のはざまで」について

        普通の人々にはおすすめの映画であるが… 2024年3月Bunkamura渋谷宮下にて鑑賞。 デジタル・リマスター版ということで、「デジャヴュ」と同時に公開された。 長らくダニエル・シュミット監督のファンであるが、「季節のはざまで」についてはまったく興味がなかった。 一応、長く偏った趣向の映画を観続けてきたため、その映画を自らが好むかどうかの「嗅覚」を知らず知らずに身に着けてしまった。 同じ監督の映画とはいえ、好むものと好まないものがある。 ということで、「ラ・パロマ」「デジ

        • 映画「エル・スール」について

          「エル・スール」と「方南町」の微妙な関係 2024年3月末、キネマ旬報シアターにて鑑賞。 この「エル・スール」は、本年2月ビクトル・エリセの新作「瞳をとじて」を公開時に、特定の映画館で「ミツバチのささやき」とともに再映された。 上映館数が少ないため、観ることができずにいたが、常日頃通う劇場にて上映されてたいへんありがたい限り。 「瞳をとじて」も上映されたので、もう一度鑑賞し、続いて「エル・スール」を観た。 比較すると「エル・スール」の方の客入りがよかったようだ。 「エル・

        映画「麥秋」について

        マガジン

        • 映画忘備録
          16本

        記事

          映画「阿賀に生きる」について

          ドキュメンタリーではなく「記録映画」 2024年6月、渋谷「bunkamuraル・シネマ渋谷宮下」にて鑑賞。 「暮らしの思想 佐藤真 RETROSPECTIVE」として、特集上映されている。 この映画を最後に見たのは、10数年前のはずだ。 調べてみるとニュープリントの再公開だったようだ。 前売りか何かで廃棄用のプリントの一部が特典として付いていて、それが手元にある。 ワタシはその後、訳あって、都会から地方に移住した。 わずかではあるが、農業にも関わった。 そのような経験から

          映画「阿賀に生きる」について

          映画「勝手に逃げろ/人生」について

          三番目の映画 2024年3月、DVD版を鑑賞。 ゴダールが80年代に商業映画に復帰した第1作目である。 しばらく前にこのDVDは所有していたが、一度なんとなく観て放置していた。 改めて、きちんと観直して、ここに記しておく。 まず、きちんと書いておかなければならないが、「ひどい映画」であるということだ。 ワタシはすべてではないものの、数多くのゴダール作品を観ている上で言うのだが、この映画はゴダール作品の中でも観なくてもよい作品であることを断言する。 特に後半は、ほとんどAV

          映画「勝手に逃げろ/人生」について

          映画「小早川家の秋」について

          最後から2番目くらいに観るべき小津作品 2024年6月U-NEXTで鑑賞。 本当は「午前十時の映画祭」で劇場での鑑賞を目論んでいたところ、早起きに失敗して、見損なってしまった。 それならばということで、動画配信で観た次第。 随分昔に一度観たことがある気がするが、小津の映画は似通っているので定かではない。 この「小早川家の秋」は小津作品の中で、唯一「東宝」で撮影された作品ということだが、そのせいか、やや冷遇されている感じがあった。 つまりは、あまり良くはないという想像がつくの

          映画「小早川家の秋」について

          映画「アデルの恋の物語」について

          イザベル・アジャーニの魅力に打ちのめされる… 2024年6月、DVDレンタルで鑑賞。 現在、本作品は動画配信サービスでは視聴できない。 1970年生まれのワタシにとって、「イザベル・アジャーニ」は、映画を意識的に観始めた頃1985年頃、とても話題になっていた女優である。 フィルモグラフィーを参照すれば、ちょうどリュック・ベッソンの「サブウェイ」が公開されたのが1986年で、それに出演していたためかと思われる。 そのため、いくつかのイザベル・アジャーニ出演作は随分昔に観ている

          映画「アデルの恋の物語」について

          映画「結婚哲学」について

          本物の「映画」 2024年6月、DVDレンタルにて鑑賞。 字幕版である。 なお、現在は動画配信サービスでも視聴可能のようだ。 この映画の製作年は、1924年となっており、ちょうど100年前である。 しかし、映画を観ての感想は、まったく古さを感じないということだ。 もちろん、サイレント映画で、フィルム状態も芳しくないのは当然である。 しかし、この登場人物の心理描写、小道具の使い方などは、2024年に観たところで、充分に通用するものを思う。 もちろん、不倫をテーマにしたものな

          映画「結婚哲学」について

          映画「音響ハウス音響ハウス Melody-Go-Round」について

          「音」にこだわり「画」にこだわらず… 2024年4月、U-NEXTにて鑑賞。 なんとなく名前は知りつつも、スルーしてきたこの映画。 恥ずかしながら「音響ハウス」と「ビクター青山スタジオ」を混同していた。 今回視聴して、坂本龍一が好んで使用していたということを初めて知った次第。 ドキュメンタリー映画ではあるが、撮影手法としては、中途半端感が付き纏う。 この映画のための「楽曲製作」そのものを追いながら、関係者の話が挟み込まれるという構成は、それはそれでよいと思う。 ただ、撮影

          映画「音響ハウス音響ハウス Melody-Go-Round」について

          映画「オッペンハイマー」について

          許されざる者」ではなく… 2024年4月中旬、埼玉県109シネマズ菖蒲にて、通常版を鑑賞。 同劇場では、その日から1日1回のみの上映となっていた。 前日までは、1日3回あったのだが…。 前売券を持っていたため、近隣の映画館での上映は見逃すことは避けたかった。 この映画の監督のことはまったく知らず、ただ、話題になった映画ゆえに観ようと思った次第。 IMAX版も考えたが、そういう種の内容ではなかろうと思われ、通常版を鑑賞した。 冒頭からあまりの展開の速さに驚く。 50代中盤

          映画「オッペンハイマー」について

          【番外編】このマガジンの説明、そして、Yahoo!検索で、特定の映画タイトルを検索してもYahoo!の映画情報が出てこない場合の対処法について

          このマガジン「映画忘備録」の説明 noteで、このマガジン「映画忘備録」を作るに至った経緯は、マガジンの説明の欄に書いたとおりだが、一応ここにも書いておこう。 「ライフワークの一部として、ある種の映画たちを観続けている。 それは、映画製作を志した10代後半から、現在(50代前半)まで、断続的に続いている。 しかしながら、過去に観た映画の多くは忘却の彼方である。 ましてや、数年前に観た作品も結構忘れてしまう。 その傾向は、今後歳を重ねるごとに増えていくことが予想されるた

          【番外編】このマガジンの説明、そして、Yahoo!検索で、特定の映画タイトルを検索してもYahoo!の映画情報が出てこない場合の対処法について

          映画「生活の設計」について

          ※本テキストは、この映画のネタバレを含みます。 ルビッチファンならば、必見 2024年4月DMM,comDVDレンタルにて鑑賞。 この「生活の設計」は、現在、動画配信はなく、DVDレンタルは辛うじて可能なようである。 セルDVDは販売中だが2005年に発売されたもののようで、こうなるといつ廃盤になるかわからない。 こういう状況であるから、観られるときに観なければということで鑑賞した。 映画の冒頭は、列車の個室の男二人が寝ているところに、若い女がやってくるというわかりやす

          映画「生活の設計」について

          映画「華氏451」について

          ※本テキストは、この映画のネタバレを含みます。 これはSF「映画」と言えるのだろうか? 2024年4月、DVDレンタル(DMM)で鑑賞。 トリュフォーの作品は、数多く観ているのだが、この作品は、未見だったため鑑賞した。 まず、何も予備知識を持たず、単に観ていなかったという理由で観たため、内容がSFということで驚いた。 未来という設定で、吊り下げ式のモノレールやら、薄型テレビなど出てくるのだが、現実に存在する2024年に観てしまうとなんとも滑稽に見えてしまうのは致し方ない。

          映画「華氏451」について

          映画「天国は待ってくれる」について

          ※本テキストは、この映画のネタバレを含みます。 映画」を愛するか?「映画」に愛されるか? 2024年5月、DVDレンタル(DMM)にて鑑賞。 ルビッチ作品は、数多く観ており、この映画もかつて観た記憶があるが、内容はほぼ忘れていたので、あらためて観た次第。 1943年公開のエルンスト・ルビッチの晩年に近い作品。 といっても1947年に55歳で亡くなっており、51歳頃の作品となる。 ということは、撮影時は、既にワタシより年下である。 それなのに、それなのに、この円熟した味わい

          映画「天国は待ってくれる」について

          映画「恋愛日記」について

          ※本テキストは、この映画のネタバレを含みます。 トリュフォーの「天国は待ってくれる」 2024年5月DVDレンタル(DMM)にて鑑賞。 同時にエルンスト・ルビッチの「天国は待ってくれる」も借りたのだが、我ながらこの「2本立て」は素晴らしいチョイスだったと思う。 どちらも異常なほどに「女好き」の男の話である。
 (ということで、本テキストは、「恋愛日記」と「天国は待ってくれる」のネタバレを含む) 「天国は待ってくれる」の方では、主人公の女性遍歴は、数多くあるものの詳細は省

          映画「恋愛日記」について