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映画「音響ハウス音響ハウス Melody-Go-Round」について

「音」にこだわり「画」にこだわらず…

2024年4月、U-NEXTにて鑑賞。
なんとなく名前は知りつつも、スルーしてきたこの映画。
恥ずかしながら「音響ハウス」と「ビクター青山スタジオ」を混同していた。
今回視聴して、坂本龍一が好んで使用していたということを初めて知った次第。

ドキュメンタリー映画ではあるが、撮影手法としては、中途半端感が付き纏う。
この映画のための「楽曲製作」そのものを追いながら、関係者の話が挟み込まれるという構成は、それはそれでよいと思う。
ただ、撮影それ自体が、小規模かワンマンで撮っているような感じで、貧弱なのだった。
多くの場面をディレクター自身がカメラを回していると推察されるが、「音」にこだわる映画で「画」が貧弱なのは情けない。
貧弱ならば、「情熱大陸」的に割り切った撮り方はできなかったのだろうか?
逆に言えば、普通に構えずに気楽に観ることができる映画である。

内容としては、音楽製作のプロセスがよくわかり、ひとつの曲ができあがるのを、横で観ている関係者のような感覚を味わえたのは良かった。
わずか5年前に製作された映画にも関わらず、高橋幸宏、坂本龍一がもういないのは、寂しい限りである。

終始予定調和に過ぎゆく映画であるが、もとより、何かを生み出す製作過程の裏側には、ダークな部分があるはずだ。
そのような部分は、一切なく、たいへん幸福な映画となっている。
良くも悪くも、音響ハウスの長い紹介ムービーなのである。

2024年6月6日UP
※このテキストは、筆者がYahoo!検索(旧Yahoo!映画)に投稿したものを転載したものです。


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