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サービス継続率を上げるための考え方

直近で「サービスの継続率を上げたい」というご相談があったので継続率を上げるために必要な考え方をまとめてみました。
私はもともとソーシャルゲームの企画開発運営をしていたのですが、そのときの経験に基づくものです。
いわゆる継続的な(Free to Play / サブスクリプションなどの)サービスで活かせる考え方だと思います。ソーシャルゲームに限らず、エンタメ系サービスをはじめとしたBtoCサービス、極論BtoBサービスにも使えます。ECなどの売り切りモデルでもキャンペーン的に活用することはできると思いますので参考になれば幸いです

継続率が高い=ハマっている=ゾーンに入っている状態

仕事で冴えていて集中したらいつの間にか就業時間だった
お昼ゲームをはじめたらご飯食べそこねてしまった
夜に漫画読み始めたら気づいたら明け方になっていた
そんな経験が一度や二度はあるのではないでしょうか。

(良くも悪くも)集中して周りが見えない状態を【ゾーン】と呼びます。
アスリート競技でも超集中している状態をゾーンと言ったりしますね。

人はゾーンに入るととても心地の良い感覚になります。

あとから振り返ると時間を浪費してしまった..と思ってしまうこともあったりはしますがゾーンに入っている瞬間は「集中していて他になにも考える必要がなく、心地がよく、ずっと続いてほしい時間」というわけです。

サービスの継続率をあげるためにはいかに【ゾーン】に入ってもらうかを考えていく必要があります。

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興味惹くコンテンツ×インセンティブ×【価値】の保有

実際にどうすればゾーンに入ってもらえるでしょうか?

あくまで私の考えですが
- 興味惹くコンテンツ
- インセンティブ
- 【価値】の保有
ということが大事なのではないでしょうか。
(今回はアスリート競技など能動的に気持ちを高めて取り組むものではなく受動的に/気づいたらハマっていたというものを対象にしています)

ミューパレ_キックオフ

興味惹くコンテンツ=まず気づいてもらう

サービスを提供するうえで一番大事なこと
それは提供しているコンテンツ/価値を対象ユーザーさんに知ってもらうことだと思います。どんなに素晴らしいサービスでも誰も知らなかったら成り立たないので当たり前といえば当たり前です。

すごく初歩的な話ですがユーザーさんにとって魅力的なコンテンツがあることを明らかにして、それを手にとってもらう/触れてもらうことがスタートになります。

ミューパレ_キックオフ

インセンティブ=人はランダム×達成があるとハマりやすい

実際にサービスを使ってもらうことができたとします。
どうすれば長く使ってもらえるでしょうか。

答えはインセンティブ設計です。
具体的には【ランダム】と【達成】です。

餌がほしいためにスロットを回し続ける猿の実験(興味ある方は「スキナー箱」でググってみてください)などでも示されていますが、生き物はどうやら【ランダム】で【ご褒美】がもらえることに弱いようです。人間も同じで、宝くじやギャンブルが市場として成立しているので説明は不要でしょう。
ソーシャルゲームにもガチャという仕組みがよく入っています。そもそもゲーム自体、運要素は必ず存在し、それによって勝敗や報酬という結果が変動するのが楽しいという作りになっています。

一方でランダムではない達成感も必要だと思います。
コツコツがんばった結果報われる、という構図は理解しやすく魅力的です。
サービスの利用状況によってランクがあがるとか、利用することでスタンプが貯まるとか、ランダムでない「達成感」も設計しましょう。

ランダム or コツコツで目標に到達したら達成感の可視化をしてあげることが大事です。つまりは【ご褒美】をあげましょう。
お金/コンテンツ/名誉などなど
後で詳しく記載しますが、あくまでユーザーさんにとって価値あるものでなければいけません

ここで一つ注意があります。達成感を完全に満たしてしまうとサービスの利用は終わってしまうことが多いです(例えばゲームのクリアなど)。売り切りのビジネスモデルであればその形でも良いと思いますが、WEBやアプリサービスのように継続型であるのであれば継続的に次の目標やコンテンツを掲げ達成感を満たしきらないようにするということが大事です。もちろん闇雲にインセンティブを追加して引っ張るとユーザーさんは疲れてしまうので、あくまでユーザーさんにとってより良い機能やコンテンツを追加していくことが大前提です。(雑談ですがこれがサービスはリリースと同じくらい運営も大事だ、と言われる所以だと思います)

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【価値】の保有=帰属意識/愛着をもたせる

前述のインセンティブで書きましたが、可視化された達成感としての【ご褒美】を何にするかはよくよく検討しましょう。

ユーザーさんにとって価値のあるものがなにかを考え抜く必要があります。
「ユーザーさんにとっての価値」と「運営側にとっての価値」はよくズレてしまうからです。
わかりやすい例でいうと「サービス内で使えるポイント」「次回500円OFF券」などが挙げられます。運営にとっては上記いずれもお金と同等なので、とても貴重なものとして認識していると思いますが、ユーザーさんにとってはそれほど魅力的ではありません。使ったとしても買い物をする際に結局出費となる/そもそもお金は持っているので希少価値が高くないからです。大変悲しい話ですが、運営としては価値が高いと思っていてもユーザーさんにとってはゴミかもしれない、という可能性には気をつけなければいけません。

人は希少価値があるもの/レアなものが大好きです

他では手に入らない、かつその界隈で人気があるものは
お金を払ってでも欲しいというのが人の性というものです。
ユーザーさんは何をレアだと思っているでしょうか?何をコレクションしたいか、何を自慢したいか考えてみましょう。それをサービス内で提供していきましょう。あくまでサービス内で価値あるものを設計して提供する、ということが重要です。他サービスのコンテンツ(たとえばブランド品がもらえますなど)は一時的には魅力的だと思いますが、自サービスへの帰属意識は高められないでしょう。

ユーザーさんが欲しい価値あるものが提供されていて
がんばりとランダムの達成感でそれが得られる
そういう状態を設計していく必要があります。

ミューパレ_キックオフ

誤解が生まれないように書きますが
無闇にユーザーさんの貴重な時間やお金を奪うようなことはやめましょう。
そういうサービスは廃れていきます。あくまでユーザーさんが満足し、その価値提供の対価としてサービス運営側が潤い、さらに良いサービスを提供できるというサイクルを作っていくのがあるべき姿です。

終わりに

継続率をあげるという話から若干拡散してしまった感は否めませんが、考え方としては以上です。
他にもいろいろ考え方はあると思いますので興味ある方は書籍「ハマるしかけ」などおすすめです。

こうやって振り返ってみると、今じぶんで展開しているサービスでもぜんぜん設計ができていないなと気付かされる部分が多く、改善の一助になりました。みなさんのサービスにおかれましても少しでも役に立てば幸いです。

コメントやディスカッションはいつでも受け付けておりますのでTwitterなどでお気軽にお声がけいただければと存じます!

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