中学女子バレー部COACH日記

とある田舎の中学校、女子バレーボール部の存続危機を救うべく、立ち上がった保護者外部コー…

中学女子バレー部COACH日記

とある田舎の中学校、女子バレーボール部の存続危機を救うべく、立ち上がった保護者外部コーチの経験と指導方法を、できる限り詳細に、連載形式でお伝えいたします。 バレーボール経験のない教師、経験の浅いコーチ、小中学生選手のみなさんの参考に、あるいは悩みの解決になりますようにと願いつつ。

記事一覧

優れた指導者とは、勝たせる指導者なのか?

私はコーチになってまだ1年あまり。 過去には高校の指導者も数年していたし、トータル30年以上のバレーボール歴があるのだから、素人ではない。 けれど実績は何もない。 …

褒めて伸ばすか、厳しくするか

中学校部活動のバレーボール部で技術指導する場合、褒めるか怒るか。 選手が迷路を進む様子をイメージしてみよう。 真っ暗な迷路の進んでほしい方向から光が見えるように…

競技には2種類ある。邪魔できるか、できないかだ。

リンとクーは幼少期からピアノを習っていて、リンは今は辞めたらしいが、クーは中学校のクラス対抗合唱コンクールのピアノ伴奏を任されるくらいの腕前。年に1、2回、ピアノ…

地球上の球技で最高のチームスポーツ宣言!

高校生の頃、昼休みバレー同好会で楽しんでいた私は、井の中の蛙大海を知らずの諺のとおり、とても尊大な考えを持っていた。 僕が6人いたらいいのに。 同じ考えの、同じ身…

コーチは、やって見せることができれば最良

大学のバレーボール部で、毎日フライングレシーブをさせられたおかげで、50代の私はそれなりに美しいフライングレシーブを実演することができたらしい。 コーチも混じって…

レーシックがバレー寿命を延ばしてくれた

私がバレーボールに魅せられたのは、中3の球技大会だった。 クラスが13組もあったので、ちょっとした大会である。たしか、決勝で負けた?勝ったか忘れた。 でも最終結果よ…

近年の女子中学生の基礎体力は

ミドルブロッカーとして、チーム最長身168cmのナツにはずっと期待していた。 小学生の時に太鼓を習っていて、リズム感はあったのだろう。 ブロックのタイミングをうまく…

教育心理学の話②ピグマリオン効果

みんなの同級生に、お医者さんの子どもはいない? お医者さんの子どもって、成績良くない? 同級生にいなくても、なんとか医院の息子さんがその病院を継ぐとか、医学部に…

バレーのボールの柔らかさは球技で何番目?

先日、休みの日に娘と2人で秘密特訓をしていたら、妹一家4人も見に来て、その公民館の体育館で2人の子供達も遊び始めてしまった。 2人とも男の子で、上は小1、下は3才。 …

教育心理学の話①プラトー現象

9月の新人総体で負けた後、我がチームは当面の目標となるものを失ってしまった。 次の大会は来年2月。郡内だけのトーナメント戦があるが、それまではまるまる5か月くらい…

転び方が上手い子は、レシーブが上手くなれる

中学生の頃、体育で柔道をやらされた。 私たち昭和世代は、男子だけ柔道だった。女子はその時何やってたんだろう? まあその時、最初は必ず受け身を教わった。 後ろに転が…

やってて良かった公文式。みたいな指導方針

我がチームは、2023年9月、郡新人総体に出場。 2日目にサマーリーグでも負けた北中と当たり、前回よりもっと大差で負ける。 北中はそのまま勝ち進んで優勝。 敗因は、サー…

人の真似がすぐにできるのも才能

うちの娘は、幼少の頃から、人のマネが上手かった。 母親を笑わせるために、スーパーで見かけたおばあちゃんのモノマネをして見せたり、学校の先生だったり友達だったり、…

疵は人を、その人たらしめるものでございます

2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」に、はまっている。 藤原道長の長女彰子は入内して一条天皇の皇子を身籠る。 初めての出産を控えて不安に揺れる彰子の心を、かねてより…

女子バレーでは、低いところでボールを触って時間を作る

女子は、男子と比べると、瞬発力では敵わない。 足の蹴り出しのスピード、動き出した自分の身体にブレーキをかけたり方向を変えるスピード、腕を振り抜く時のスピード、そ…

試合中、コーチの声は届かない!

オリンピックなど、バレーボール中継を見ていると、どのチームもベンチから立ち上がって、試合中ずっとコート脇に立っている、監督の姿を目にする。 ファイルを持っていた…

優れた指導者とは、勝たせる指導者なのか?

優れた指導者とは、勝たせる指導者なのか?

私はコーチになってまだ1年あまり。

過去には高校の指導者も数年していたし、トータル30年以上のバレーボール歴があるのだから、素人ではない。

けれど実績は何もない。

ただ自分の娘が部員だから、それだけで信用されて外部コーチになっているだけだ。

優れた指導者とは、どんな人を言うのだろうか?

私の前任コーチは、娘が2人いて、小学校ではスポ少のコーチになり、中学校では部活の外部コーチになり、2人

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褒めて伸ばすか、厳しくするか

褒めて伸ばすか、厳しくするか

中学校部活動のバレーボール部で技術指導する場合、褒めるか怒るか。

選手が迷路を進む様子をイメージしてみよう。

真っ暗な迷路の進んでほしい方向から光が見えるように導くのは、褒める指導。

明るい迷路の、進んじゃいけない道を塞ぐように立ちはだかるのは、怒る指導。

寓話「北風と太陽」にも喩えよう。

コートを脱いだ方がいいと思わせる太陽と、無理矢理ぶっ飛ばせばいいという北風。

私はまだ指導者1年

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競技には2種類ある。邪魔できるか、できないかだ。

競技には2種類ある。邪魔できるか、できないかだ。

リンとクーは幼少期からピアノを習っていて、リンは今は辞めたらしいが、クーは中学校のクラス対抗合唱コンクールのピアノ伴奏を任されるくらいの腕前。年に1、2回、ピアノ発表会でバレー部の練習を休む。

昔なら考えられなかった二足の草鞋だが、先生はもちろん、私もどんどんやればいいと思っている。
ま、9人しかいないから、試合だけはバレーを優先してほしいけど。

でもピアノも、もしかしたら音楽の教師になれるか

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地球上の球技で最高のチームスポーツ宣言!

地球上の球技で最高のチームスポーツ宣言!

高校生の頃、昼休みバレー同好会で楽しんでいた私は、井の中の蛙大海を知らずの諺のとおり、とても尊大な考えを持っていた。

僕が6人いたらいいのに。
同じ考えの、同じ身体能力の、僕のクローンが5人いたら、揉め事もなく、気をつかうこともなく、練習して、試合に出られる。それならかなり強いチームになるはずだ!
なんとかしてよ〜ドラえも〜ん!

いやー、大して上手くもなかったのに、そんな傲慢な考えを密かに抱い

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コーチは、やって見せることができれば最良

コーチは、やって見せることができれば最良

大学のバレーボール部で、毎日フライングレシーブをさせられたおかげで、50代の私はそれなりに美しいフライングレシーブを実演することができたらしい。

コーチも混じってのミニゲームを行った後に、副キャプテンのリンが、「どうやったらフライングレシーブができるようになりますか?」と質問してきた。
もともと、強かった3年生のフライングレシーブに憧れていたのだろう。
床面ギリギリのボールを飛び込んで取りたい!

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レーシックがバレー寿命を延ばしてくれた

レーシックがバレー寿命を延ばしてくれた

私がバレーボールに魅せられたのは、中3の球技大会だった。
クラスが13組もあったので、ちょっとした大会である。たしか、決勝で負けた?勝ったか忘れた。
でも最終結果より、男子みんなで絶対繋ごう、落とさなきゃ勝てる!とか言い合って、目がみんなマジで血走って、本気になって挑んだ、あの一体感が、今も忘れられない。

その後バレー部のない共学の県立校に入る。
進学と就職が6:4くらいのやや進学校。1〜2年生

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近年の女子中学生の基礎体力は

近年の女子中学生の基礎体力は

ミドルブロッカーとして、チーム最長身168cmのナツにはずっと期待していた。

小学生の時に太鼓を習っていて、リズム感はあったのだろう。

ブロックのタイミングをうまくつかんで、ほとんどの相手の攻撃に恐怖を与えていた。

我がチームの特徴、看板と言ってもいいくらい、素晴らしい素質を持っていた。

ところがこのナツ、ブロックや組み手レシーブやオーバーハンドパスは上手いのだが、スパイクやサーブはふらふ

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教育心理学の話②ピグマリオン効果

教育心理学の話②ピグマリオン効果

みんなの同級生に、お医者さんの子どもはいない?

お医者さんの子どもって、成績良くない?

同級生にいなくても、なんとか医院の息子さんがその病院を継ぐとか、医学部に入ったとか、そういう噂話って聞くことあるよね?

あと、学校の先生の子どもが先生になったとか。
(実はバレー部の監督のお父さんも中学校の先生らしい)

政治家の子どもが政治家になってるとかいう話もよく聞くね。

なぜそういうことって、よ

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バレーのボールの柔らかさは球技で何番目?

バレーのボールの柔らかさは球技で何番目?

先日、休みの日に娘と2人で秘密特訓をしていたら、妹一家4人も見に来て、その公民館の体育館で2人の子供達も遊び始めてしまった。

2人とも男の子で、上は小1、下は3才。
お兄ちゃんはお利口さんなんだけど、弟くんはまだ聞き分けがない。
バスケのボールを預けたら、抱っこして走り回っていた。

それでもウチらは真剣に練習モードに入っていたから、それまでやっていたスパイク練習を継続してやっていた。

そした

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教育心理学の話①プラトー現象

教育心理学の話①プラトー現象

9月の新人総体で負けた後、我がチームは当面の目標となるものを失ってしまった。

次の大会は来年2月。郡内だけのトーナメント戦があるが、それまではまるまる5か月くらいある。

秋冬の時期、ベスト4までのチームには招待試合などのお誘いがあるのだが、我々には声がかからない。
練習試合を個別に申し入れるなどして、地道にやっていくしかない。

選手たちは日々の練習を頑張って継続していたが、例えば練習試合をし

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転び方が上手い子は、レシーブが上手くなれる

転び方が上手い子は、レシーブが上手くなれる

中学生の頃、体育で柔道をやらされた。
私たち昭和世代は、男子だけ柔道だった。女子はその時何やってたんだろう?

まあその時、最初は必ず受け身を教わった。
後ろに転がったら頭を打たないように顎を引いて、両手で畳を叩いたり。
前回り受け身では畳を叩いて立ち上がれるかやったり。
ま、立ち上がるのは蛇足だろうけど。

自分は中学校にバレー部がなかったし、めちゃくちゃ人数の多いマンモス校だったので、人数が比

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やってて良かった公文式。みたいな指導方針

やってて良かった公文式。みたいな指導方針

我がチームは、2023年9月、郡新人総体に出場。
2日目にサマーリーグでも負けた北中と当たり、前回よりもっと大差で負ける。
北中はそのまま勝ち進んで優勝。

敗因は、サーブレシーブが全く上がらないことと、サーブやスパイクがミスだらけだったこと。
つまりは、全く勝負するカタチにならない。
相手のサーブがいいのだけれど、スポ少経験者がとにかく連続ミス。
正面なのに足がべったり床に貼り付いたように前に1

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人の真似がすぐにできるのも才能

人の真似がすぐにできるのも才能

うちの娘は、幼少の頃から、人のマネが上手かった。

母親を笑わせるために、スーパーで見かけたおばあちゃんのモノマネをして見せたり、学校の先生だったり友達だったり、いろいろな人のモノマネをして見せる子供だった。

要は、人間観察の集中力。
どこが面白い要点かを把握する能力。
それを自分の身体を使って、練習とかなく1回目で表現する能力。
それらの能力に長けているのだと思う。

武井壮が言っていた。

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疵は人を、その人たらしめるものでございます

疵は人を、その人たらしめるものでございます

2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」に、はまっている。

藤原道長の長女彰子は入内して一条天皇の皇子を身籠る。
初めての出産を控えて不安に揺れる彰子の心を、かねてより源氏物語を書き続けることで支えてきた紫式部が癒し、説きほぐす。
「帝(みかど)がお喜びになるお顔を思い浮かべれば、お気持ちも和らぎましょう」
紫式部は彰子が心を許せる唯一の側近になる。

「人は好きな人なら全てを受け入れるが、嫌い

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女子バレーでは、低いところでボールを触って時間を作る

女子バレーでは、低いところでボールを触って時間を作る

女子は、男子と比べると、瞬発力では敵わない。

足の蹴り出しのスピード、動き出した自分の身体にブレーキをかけたり方向を変えるスピード、腕を振り抜く時のスピード、そういう瞬発力、俊敏性のこと。

まあ時々、男子の動きを上回るような天性の身体能力を持つ女子もいない訳ではないけど、コート内の6人が全て男子を上回るかと言えば、そんなことはない。

女子バレーのスピード感というものは、比較的ゆったりとして見

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試合中、コーチの声は届かない!

試合中、コーチの声は届かない!

オリンピックなど、バレーボール中継を見ていると、どのチームもベンチから立ち上がって、試合中ずっとコート脇に立っている、監督の姿を目にする。

ファイルを持っていたり、ノートパソコンやタブレットを持っていたりして、選手に声をかける様子はとても印象的だ。

これは中学以上の大会でも同様で、監督だけは立ち上がっていてもいいルールになっている。

ところが、立ってもいいのは1人、監督のみ。
コーチは立ち上

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