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近年の女子中学生の基礎体力は

ミドルブロッカーとして、チーム最長身168cmのナツにはずっと期待していた。

小学生の時に太鼓を習っていて、リズム感はあったのだろう。

ブロックのタイミングをうまくつかんで、ほとんどの相手の攻撃に恐怖を与えていた。

我がチームの特徴、看板と言ってもいいくらい、素晴らしい素質を持っていた。

ところがこのナツ、ブロックや組み手レシーブやオーバーハンドパスは上手いのだが、スパイクやサーブはふらふらして、失敗が多いのだ。

手足が長いからか、左右対称の動きをするプレーは上手にできるのだが、左右非対称のプレーは、体幹が揺れて、腕の振りが定まらないようなのだ。

言わば、アウトリガーを出さないでクレーンを伸ばすような。

試しに、トレーニングとして手押し車をやらせてみた。

やっぱりか!

手押し車というトレーニングを知らない人もいるだろう。
腕立て伏せのようにうつ伏せで、手を突っ張って体を浮かす。手のひらとつま先しか地面に着いていない状態になってから、その足首だけを誰かに持ってもらう。そしてそのまま前に進む。持ってもらった人は、手だけでペタペタ歩行する。

これで分かるんですよね、体幹が弱いのが。

めちゃくちゃ身体の芯がぐにゃぐにゃして、足首を持ってる方は「暴れるな!」っていうくらい、持っていられないくらいバタバタする。
そして手を前に出せなくなって、すぐに床面に寝てしまう。

ナツの左右非対称の動きが弱いのは、体幹が弱いからだと判明。

ここから、冬の間ずっと、ナツだけじゃなく、全員の体幹強化トレーニングが継続された。

ナツは体幹の弱さを知り、それを克服するべく、冬の間頑張ったので、春にはサーブミスが激減し、それどころか、サービスエースを連発して、試合の流れを変えることもあるくらい、素晴らしいプレーヤーに成長したのである。

現代の中学生は、我々の時代とは違う。

雨が降ったら親が車で送ったり迎えたり。
熊が出たと言ったら車で迎え。

とにかく何かあったらという理由で、何があるのかは誰も言わないが、とにかく歩いたり自転車で帰ることが激減した。

だから重いランドセルとかリュックとか、重いとは聞くけれど、実際にはあまりそれを背負って歩いてはいないのだ。

昔はどんなに暗くなっても、雨が降っていても、自転車で帰る中高生がいたものだよね。

今はもう絶滅したのだ。

その代わり、体幹の弱い子供が大量発生した。

そしてサーブミスとスパイクミスも大量発生している。

さあ、頑張るんだ!

君たちの弱点は、自動車とスマホとソファーが作っている。

それらから距離を置くことが、君たちの運動能力を飛躍的に高めるのだ!

と言っても、今更、無駄だろうな。

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