中学女子バレー部COACH日誌

とある田舎の中学校、女子バレーボール部の存続危機を救うべく、立ち上がった保護者外部コー…

中学女子バレー部COACH日誌

とある田舎の中学校、女子バレーボール部の存続危機を救うべく、立ち上がった保護者外部コーチの経験と指導方法を、できる限り詳細に連載形式でお伝えいたします。 教師、コーチ、選手のみなさんの参考になりますようにと願いつつ。

最近の記事

部活動は、地域移行すべきではない!

中学校教師の働き方改革のため、部活動を地域移行すれば良いという考え方は、私は間違いだと思う。 そう思う一番の理由は、 「貧しい家庭の子供が活躍しにくくなるから」である。 スポーツをするにはもともとお金がかかる。 練習着、ユニフォーム、道具、シューズ、サポーター装具類、などを買うお金。 維持、メンテナンスにかかるお金。 ケガ等の治療費。 移動のための交通費。大会参加費。 飲料代、補食代。 部活動ならこのくらいだろうか。 しかし、クラブチームに入ると、もっとかかる。 指導者

    • 毎日のルーティンを構築するのはコーチの仕事

      新チームになって、すぐに着手しなければならなかったことの1つに、毎日の練習始まりに必ず行うルーティンワークの構築があった。 ありがたいことに、私よりずっと歳下の監督は、すっかり私に任せてくださった。 全国大会に行った3年生のそれは、遂に見る機会が無かったので、どんなことをやっていたか、紙に書かれたもので想像するしかなかった。 なるほど。 このまま同じメニューを行わせるのは、新チームのメンバーにはちょっと無理がある。 体力的、技術的に難易度が高いものもあるからだ。 できれば

      • 中学女子バレーの肝はサーブ!

        コーチになる前、全国まで行った3年生の練習試合と公式戦を、1年生保護者の一人としてずっと観戦していたのだが、中学女子バレーの得点パターンの大きなウエイトを占めるのは、サーブによる得点だった。 高校、大学、一般のバレーしか見てこなかった私には、驚きであった。 郡大会レベルでは、コートの外側に弾いたボールを、残り2打で相手コートに返す技量がないチームが多い。 弾いたことに気づくまでの時間、動き出しの速さ、ダッシュ力、コート内に戻す腕力、そして何より、イレギュラーな状況に対応す

        • オーバーハンドパスの手の形、三角形なのかな?

          バレーボールに必須な、独特の技術って、やっぱりオーバーハンドパスじゃない? スパイクやサーブなら、投げる動作に近くって、野球の野手が好プレーで見せるジャンピングスローに似ている。 アンダーハンドの組み手パスも、独特と言えそうだけど、両肘を伸ばしてボールの下から接触するのは、見よう見まねで誰でもなんとかなりそうでもある。 やっぱり熟練者だって見られるのは、ボールの落下に合わせて、無駄のない動きで手のひらがボールを包み込み、クッションを与えたかと思った次の瞬間、もう来た方向

        部活動は、地域移行すべきではない!

          来年の壮行会を思い浮かべろ!

          2年生のレフトスパイカー、ユウは、とにかく試合に出たがった。 やっと目の上のタンコブがいなくなって、自分たちの代が始まった。 ずっと球拾いばかりさせられてきたんだから、自分が試合に最初から最後まで出るのは当然だ。 1年生が出るのなら、1年生に代わって入ったり出たりすればいい。 そういう発言は一切無かったが、 「次のセットはユウは下がって、1年生のミーを出す」 と私が言った時の彼女の表情は、そう物語っていた。 私くらい人生経験を積めば、「そう思うだろうな」というのは、痛いほど

          来年の壮行会を思い浮かべろ!

          バレーボールは、骨を知れば上手くなる

          まず第一に私が教えたのは、人間の骨格である。 人体のカラー図鑑を体育館に持って行き、腕はどこから始まっているか、質問をした。 みんな、考えたこともないようだった。リカちゃん人形みたいにくっついているのなら、人間はラジオ体操みたいに腕をいろんな方向に動かせないのだ。 実際には、肩甲骨の端っこと、鎖骨の端っこに、上腕骨がはまっている。 そのことを図鑑で示して教えた。 鎖骨はあんまり動かないが、肩甲骨が動けば、腕が長くも短くもなるのだ。 肩甲骨は背中側で肋骨の上を滑るように上下

          バレーボールは、骨を知れば上手くなる

          誤算と涙の初陣は・・・笑

          さて、夏休み中に3回ほど集まって軽く練習してみた様子で適材適所なポジションを決め、そのポジションで格上との練習試合を1度だけ経験し、その後の数回の練習を経てローテーション(サーブ順)を微調整し、迎えた初陣。 強豪の北中には、2-0で負けた。これは想定内。 その試合を、中堅の山方中の監督や選手は見ていたわけで、ここで頑張っていい所を見せたりはしない方がいい。 逆に、初心者が多い、どうってことないチームだと思わせておいた方がいい。そうすれば、相手は侮って、舐めてかかってくるはず

          誤算と涙の初陣は・・・笑

          初めての練習試合は、さっそく人脈を披露

          新チームになったら、最初の公式戦は新人総体と思うでしょうが、それは9月中旬。 夏休み中の8月に、その前哨戦としての準公式戦が開催される。仮称、サマーカップとしておこう。 サマーカップは予選と本戦があり、3チームずつ4グループのリーグ戦を勝ち上がった8チームが本戦に出られる。 これで優勝しても、その上位大会はなくて、これでおしまい。 各グループ最下位の4チームは、本戦で補助員(得点板、ラインズマン、記録員)を務めることとなる。 抽選の結果、我々はさっそく強豪の北中と、中堅の

          初めての練習試合は、さっそく人脈を披露

          コーチとは、目的地に送り届ける人

          ファッションブランドのCOACHのお店に行くと、馬車の絵を目にする。 コーチとはもともと馬車の意味であり、人を目的地まで送り届ける人、やがてスポーツの指導者をコーチと呼ぶようになったという。 私はまず、3年生引退後の新チーム発足時のミーティングで、2年生に「目標は何?」と聞いた。 キャプテンは、副キャプテンと少し小声で話し合ったのち、「全県大会出場です」とはっきり答えた。 これはつまり、郡内10チーム中上位3つに入ることを意味する。 私はその時、他校がそれぞれどの程度の強さ

          コーチとは、目的地に送り届ける人

          3年生が全国大会。なのになぜ2年生以下はー

          普通に考えたら、どんな競技種目であっても、全国大会に行くような中学校なら、その下の学年だってそこそこ強いんだろう?と思いますよね? 3年生が引退したら、そりゃあ戦力は下がるだろうけど、一緒に練習していたら、自然と上手くなるだろうと? ところが、この中学校は違ったのです。 まず、3年生は10人いました。 けれど、試合に出るのは、そのうちの6人だけ。リベロもなし。交代も一切なし。 練習試合でも公式戦でも、6人以外は得点板、ラインズマン、球拾い。午前も午後も、どれだけ疲れてバテ

          3年生が全国大会。なのになぜ2年生以下はー

          23年度メンバーを紹介しておきましょう

          私が初めて中学校女子バレー部のコーチとして指導したのは、次の9人。プライバシーに配慮して、以下全て仮名。 ①〜④が2年生、⑤〜⑨が1年生。 ①キャプテン メル 真面目で一番声を出す。身長155センチ。不器用だが、スポ少で野球をやっていたので、ボール感覚は良い。まずはライトポジションとする。 ②副キャプテン リン バレーを楽しみ、よく笑う。彼女の楽しそうな雰囲気にかなり助けられた。身長165センチ。細身でジャンプ力があるのでミドルブロッカーとする。不器用でサーブミス、スパイ

          23年度メンバーを紹介しておきましょう

          コーチになってはや1年

          2023年8月下旬、私はとある中学校女子バレーボール部の外部コーチとなった。 我が娘が中学校からバレーを始め、その時の3年生チームが全県優勝、全国大会では敗退であったが、学校としては過去最高の成績を残した。 この時の監督は今春採用されたばかりの、野球専門の男性新米教師。その前の監督はベテランだったらしいが、この時からすでに外部コーチさんがいて、実質はこの男性コーチとその娘がエースとしてチームを3年間牽引。この外部コーチさんは、娘の引退に合わせてコーチを辞した。 私は、そ

          コーチになってはや1年