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毎日のルーティンを構築するのはコーチの仕事

新チームになって、すぐに着手しなければならなかったことの1つに、毎日の練習始まりに必ず行うルーティンワークの構築があった。
ありがたいことに、私よりずっと歳下の監督は、すっかり私に任せてくださった。

全国大会に行った3年生のそれは、遂に見る機会が無かったので、どんなことをやっていたか、紙に書かれたもので想像するしかなかった。

なるほど。
このまま同じメニューを行わせるのは、新チームのメンバーにはちょっと無理がある。
体力的、技術的に難易度が高いものもあるからだ。
できれば少し難易度を下げて、その代わり毎日軽い筋トレを加えて、無理なく長期的に筋力が向上していくようにしていきたいと考えた。

柱は3つ。
1、動的ストレッチでケガを防止
2、軽い筋トレと軽いジャンプトレーニングとコートダッシュ
3、スパイクフォームとブロックフォームの確認(コーチは気づいた点を指摘して日々微調整)

1について
・軽いランニングで心拍数を上げる。
・レシーブで落下点に入るための基本動作であるサイドステップを習慣化と股関節の内外旋ストレッチも加える。
・腕の内外旋と肩甲骨の上下左右動作を確認する動的ストレッチ。

2について
・コートのライン1辺9mを体で覚えながら、ランジウォーク(片足スクワット歩き)は大腿筋と大臀筋と体幹を鍛える。
・マウンテンクライマー、膝付き腕立て伏せ、サイクリング様ひねり腹筋、仰向け腰上げ、ワイドスタンススクワットジャンプ、カーフレイズ(踵上げ)までの筋トレ種目を2セット(この程度の筋トレなら中学女子でも毎日できます)
・体幹強化の手押し車を9m1往復
・連続5回垂直跳び、直後片足ケンケンで9m進むを1往復
・ダッシュ(エンドラインからスタート、アタックラインに片手タッチして戻りエンドにタッチして、ネットをくぐり、向こうのコートのエンドにタッチして後ろ向き走り、アタックラインに両手タッチしてエンドに向かって前向きでゴール)2セット

3について
・スパイクフォーム(ネットに向かって助走〜ジャンプ〜シャドースイングをレフト、レフト側センター、ライト側センター、ライトの4か所を1回ずつ)
・ブロックフォーム(ネットに向かってサイドステップでのブロックとランニングクロスステップでのブロックをそれぞれネットの左から右、右から左を1回ずつ、計2往復)

これらをやってから、ボールを使ったパス練習、サーブ練習までが毎日こなす基本のメニューと設定した。

もちろん、成長に合わせて増やしたり加えたり、または膝に負担があるようなら削減したりと、随時更新する柔軟性を忘れずにいたい。

それと、練習試合や公式戦の日、大事な大会の直前練習では時間がもったいないので、ルーティンからパス練習までが25分程度で終わる短縮バージョンも設定した。
ちなみに短縮バージョンには2セットやる筋トレ部分が全くない。
通常のロングバージョンと短縮バージョンを2とおり作っておくと、忙しい試合前も安心してウォーミングアップできる。

コーチのさじ加減というのは、実はこうした日々のルーティンを構築し、限られた時間の中で、何が必要で不必要なのか取捨選択し、選手に実行させる技量ではないだろうか。
そしてその厳選した必要な動作は、どうして必要か、何のためにやるのか、理解させた上で行わせなければ意味がないと考える。

ただなんとなく、伝統だからとか、習慣化されているからとか言って、いつまでもずっと同じメニューをやらせてはいけないだろう。
理想的には、優れたコーチは、その時いる選手に必要な動作をオーダーメイドで提示する。
提示するからには、その必要性を説明して理解してもらう説得力も持ち合わせる。
その気概なくしては、大切な娘さんたちを預かる資格はない。

そう考えながら、日々、細かいところまでこだわって、指導に当たっている。

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