吉野貴博

「トイレには行かない方がいいんじゃないかなぁ、というお話」のシリーズなんですが、A君は…

吉野貴博

「トイレには行かない方がいいんじゃないかなぁ、というお話」のシリーズなんですが、A君は全員別人です。話が変わるたびにB君C君D君としていくと、アルファベットが話数みたいでキリがないなと思ってA君表記で固定したのです。

最近の記事

耽美幻想の家:トイレには行かない方がいいんじゃないかなぁ、というお話

 トイレには行かない方がいいんじゃないかって話なんですけどね、存在しないトイレには行かない方がいいんじゃないかと思うんですよ。  話を持ってきたのはA君男性で、その界隈ではちょっと名が知られているんですね。  そのA君のブログに目をつけた人が 「うちに来て欲しい、見てもらいたいものがある」と連絡がありまして、ちょっと遠いんですが交通費も宿泊も面倒みるから来て欲しいと。  依頼主のことを検索しても情報がないんです、まぁ行くんですけど警戒して周囲に「ここに行ってくる」と触れ回り

    • 禍話リライト「マネキンと夜中に踊ってはいけない話(後半)」忌魅恐NEO

       話を持ってきたのはG君で、大学生のときの話だっていうんです。  大学時代の話なんですけどね、先輩の言うことには従わないといけないって時代なんですよ。  女の子に対してはそこまで厳しくはないんですけど、男だけになると変に体育会系になるサークルで、そんな時代でも後輩はみんな(やだなぁ)って思うんですよ。  とはいっても無茶をいうのは一部の先輩だけだし、ときどきしか言わないからみんな我慢してたんですけどね。  その中でも悪ふざけはよくないよなぁとつくづく思った出来事があったんで

      • 禍話リライト「遠足の時の廃墟/マネキンと夜中に踊ってはいけない話(前半)」忌魅恐NEO

         話を持ってきたのはMさん女性で、大学生の時の話なんで何十年か前のことだっていうんですけどね、  Mさんサークルに入ってましてね、別に飲み会主体でもないちゃんとした活動をやるサークルでして、そこの先輩全員、明るくてポジティブでそんなに悪いところのない先輩だったんですが、一人の先輩が卒業するってときに留年しちゃいましてね、人生初めての挫折だったんですって。それまでのお気楽ご気楽のポジティブさも挫折を経験したことがないからの順風満帆!な流れだったんですけど、留年しちゃって決まって

        • 確認は必要か不必要か:トイレには行かない方がいいんじゃないかなぁ、というお話

           トイレには行かない方がいいんじゃないかって話なんですけどね、他人が怖がったトイレには行かない方がいいんじゃないかと思うんですよ。  話を持ってきたのはA君会社員なんですが、深夜に家で仕事をやっていて、付けっぱなしにしていたテレビで、怖いことがあるという噂のトイレにタレントが行く企画が始まったんですよ。  A君、番組をまともに見てなかったので、何て言う番組で、レポーターの女の子とその助手の男の子の名前も知りません、そもそも仕事をやっていて体が固まったので、ノビをしてふと見た

        耽美幻想の家:トイレには行かない方がいいんじゃないかなぁ、というお話

        • 禍話リライト「マネキンと夜中に踊ってはいけない話(後半)」忌魅恐NEO

        • 禍話リライト「遠足の時の廃墟/マネキンと夜中に踊ってはいけない話(前半)」忌魅恐NEO

        • 確認は必要か不必要か:トイレには行かない方がいいんじゃないかなぁ、というお話

          一対(いっつい)?:トイレには行かない方がいいんじゃないかなぁ、というお話

           トイレには行かない方がいいんじゃないかって話なんですけどね、不思議なことで頭がいっぱいになったときにトイレに行くのはやめておいたほうがいいんじゃないかと思うんですよ、集中が途切れることで気がつかないでいいことに気がついてしまう可能性があるものなんです。  話を持って来たのはA君男性で、小学校に入学したときから始まった話だっていうんです。  小学校に入学する日、親に連れられて学校まで歩いて行ったんですけどね、途中に公園があるんです。  家を出発して学校に向かって、途中右側

          一対(いっつい)?:トイレには行かない方がいいんじゃないかなぁ、というお話

          映画「唄う六人の女」考察3:ラストの都市夜景のこと

          ラストの都市夜景についてなんですけどね、なんで山の森から都市の夜景に映像が飛んだのか、物語も終わりなので解らないのですが、連想した話がありましてね、 島田荘司という人が御手洗潔という探偵のシリーズを書いていましてその「数字錠」という話。(「御手洗潔の挨拶」1989年初出) 主人公の御手洗は助手の石岡和己とこの話の登場人物の少年を伴って、もう無くなっちゃったマキシムド・パリという高級フランス料理店に行って、そのあと東京タワーの展望フロアに行くんです。 今現物がないんで文章は記憶

          映画「唄う六人の女」考察3:ラストの都市夜景のこと

          映画「唄う六人の女」考察その2

          あ、「宇和島にも三分の理」で書き忘れた、 宇和島は現実主義者です。自分の目的のために国がらみの大企業に話を持っていき、信用され用地買収を任され、何年もかけていい人を演じ、そのぶんの仕事を全うしました。 冒頭あんな細い山道であんなスピードを出したのだって、村人達を何度も送り迎えやったんでしょう、道が解っているからスピードを出せたんですよ、竹中直人氏演じる不動産屋の松根が自然に「駅まで送っていってあげたら」を言ったのも、そういう宇和島の姿勢を見ていたからとも読めます。 そんな宇和

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          映画「唄う六人の女」考察その2

          映画「唄う六人の女」考察その1

          映画「唄う六人の女」を見に行ったんですけどね、私も映画の情報を初めて見たときは「バミリオン・プレジャー・ナイトの唄う六人の女か!」と、バミリオン・プレジャー・ナイトの流れで嬉しく思いました。 んで映画が始まって題字がでたときに「〝見えない恋〟のオーケストレーション!」とワクテカしましてね、で物語が始まって… うぉお六人の女たち綺麗だ!とか水中のダンスシーンは圧巻だ!とか見てたんですけど… 面白いかつまらないかを言えば面白かったんですけどね、テーマとか山田孝之氏の演技とかで(う

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          映画「唄う六人の女」考察その1

          仏教とは。

          新刊書店の宗教コーナーの前を通りましたら「仏教の13宗派」について「やさしい解説」て本を見たんで手に取って見てみたんですけどね、圧倒的多数の日本人って仏教のこと何も解ってないんじゃないかと思うようになったんですよ。 単に日本で私一人が知らなかったんだったらすいません。 ちょっと知識を目にしただけで本当の事なんか解るかよ!嘘ばっかり書くなよ!という詳しいことを知っている人、すいません、先に謝っておきます。(_ _) 読みましてね、「密教とは仏教にヒンズー教の要素を取り入れ

          仏教とは。

          禍話リライト「団地Ⅳ階の娘」

          前回の「Ⅳ階の夢」で触れた「三階から四階に上がった段階で、娘が娘じゃなくなった気がするんですよって相談を受けた話」なんですけどね、 会社に入って二十年三十年経った男性から聞いた話なんですよ。 ( 「Ⅳ階の夢」の話はhttps://note.com/tiltintinontun/n/nae255ab783bb ) その人はもう一人の登場人物Aさんと同期入社なんです。 大きい会社で、研修が終わってからの配属部署が違いまして、社内で遠くから見るくらいの間柄になって十年十五年経ちま

          禍話リライト「団地Ⅳ階の娘」

          禍話リライト「Ⅳ階の夢」

          とある話をずっと聞いてましてね、今回やろうかなと思っていたんです。 「三階から四階に上がった段階で、娘が娘じゃなくなった気がするんですよって相談を受けた話」っていうんですけどね、 これをもうちょっと詳しく話そうかなと、端折るのはよくないから、きちんとやろうかなと思いながら、それでも前半はおちゃらけてノリで考えていたんです。 そうしたら昨日の夜、深夜三時くらいですかね、寝たらすぐ夢を見たですよ。 二時くらいに布団に入って、そうしたら、かくれんぼをする夢を見たんですよ。 それが、

          禍話リライト「Ⅳ階の夢」

          禍話リライト「蛇行」

           ドライブ怪談で、蛇行運転を初めて味わったって話なんですけどね。  同級生のA君、すごい運転が上手い人でしてね、山道を走っても同乗者は全然酔わないんですよ、みんな「すごいな」と認める腕前なんです、「お前将来運転手やれよ」と言われるほどなんです。  高級ハイヤーの運転手やったらひっぱりだこだろうなって。  そのA君、ある日友達と二人でドライブを楽しんでましてね、友達が運転をしていてA君助手席で、山道を走っていて、A君トイレに行きたくなったんですね、  でもトイレが見つからない

          禍話リライト「蛇行」

          禍話リライト「階段の巫女」

           話を持ってきた人が山歩きをしていて酷い目に遭ったって話なんですけどね。  その人その日は遠出したんですが、何故か自転車もバスも使わず歩きたいなと思いましてね、本当になんで歩きたいと思ったのか解らず、解らないまま二十四、五の男がちょっと遠くまで歩いて行きまして。  さて帰ろうとなったとき、往き道は普通に車道を横目に歩道を歩いて行ったんですよ、大通りを。それが何故か帰りは(この山超えて帰ろう)って思ったんですって。  全然知らない山にずんずん入っていっちゃったんですよ。  で入

          禍話リライト「階段の巫女」

          浮いた者同士:トイレには行かない方がいいんじゃないかなぁ、というお話/ 第四回『集まれ!怪談作家』応募作品

           トイレには行かない方がいいんじゃないかって話なんですけどね、時と場合によっては大勢がいる部屋の中で漏らすことがあっても行かない方がいいんじゃないかと思うのですよ。  話を持ってきたのはAさん男性で、五歳の時の話だっていうんです。  夏休みになると一族の全員が田舎の本家に集まる習慣がありまして、Aさんも連れて行かれたんです。  朝早くお父さんの運転する車に乗って、お母さんと生まれたばかりの弟が後部座席に座って、Aさんは助手席に座り、晴れた青空の下、車が走ります。  午前中に

          浮いた者同士:トイレには行かない方がいいんじゃないかなぁ、というお話/ 第四回『集まれ!怪談作家』応募作品

          #フェイクドキュメンタリーQ 2-5「怪談-Passengers」の妄想

          まず初見で、元タクシー運転手前野さんと井沢さんとの話を全て信じていて、それでも気になったことがありまして、 前野さんが何度もお客を連れて行った山道、降ろした場所を「ここです」と言うのはいいんだけど、何故その先まで進んだんだろう? 井沢さんから「行ってみましょう」と言われ、怪談家として、真実とまではいかないまでも「この先に何があるのか」という事実くらいは知りたいだろうな、という思いは想像がつくけど、陽が落ちてまで進むのはおかしくないか? 前野さんは井沢さんに降ろした場所を教えそ

          #フェイクドキュメンタリーQ 2-5「怪談-Passengers」の妄想

          禍話リライト「水の祖母」

          「お前んち、異常じゃねぇのか?」って話なんですけどね、  A君が大学生になって、小学生の時の友達B君と道で会いましてね、「おぉ、久しぶりだな」って、声をかけられたんですよ、  立ち話で昔話に花が咲いて話が弾んだときに、B君が 「そういえばさ、お前んち、変だったな。お前んち、庭に井戸があるふりをしていたよな」  どういうことかというと、A君の家に行くと庭に土管が刺さっているのが見えると。本当にただ刺さっているだけで、屋根も釣瓶もない、もともとは井戸だったというものでもなく、子供

          禍話リライト「水の祖母」