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#ほろ酔い文学
【呻吟】ーーとの賭け
父、母が複雑そうな面持ちで立っていた。
一年振り。こんな娘を迎えに来てくれるようなそんな寛大な親だったらしい。
おかしなもので、私の心は浮足立ち。社内での両親の話も耳に入ってこなかった。
それもこれも、両親の発した一年振の言葉が、失跡でもお帰りでもなく、「殺人未遂で事情が事情だったから、こんな一年で帰ってこれたんだ」というようなことだったからだ。期待せざるを得ない。
他にも、「精神病」
【呻吟】 ユイの戯言Ⅱ
「君は、これから先、何をして生きていくつもりなの?」まるで、私には未来が残されてなんてないという風に、ユイが素朴な疑問んを投げつける。自身のことを教えなさい、と。
「私とあなたが出会って、7日も経ったんだから」愉快気にそう呟く、ユイの示す事実に少し驚く。
もっと時間が経っているものだとばかり思っていた。9ヶ月と1週間、体感では同じだった。
ゆいがまたいつ砂に帰ってしまうかもわからない。そん
【呻吟】 ユイの戯言Ⅰ
ここ砂丘では、時間の経過が早い。正しくは砂丘とも呼べないのかもしれないが。
ほんのりと暖かい白のみが広がる箱。
ある一定の距離を進むと、見えざる壁と対峙することとなるこの異次元空間は、箱である。
広がる砂の真上には、古今東西あらゆる『美』を寄せ集めた黒い天井が存在する。唯一とも思われる丘の、隆起した頭に腰を掛けると、一望を楽しむことができる。
砂に美しさを見出すこと、9ヶ月。9ヶ月とは、