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毎日書くやつ

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ルールは以下。 ・書く時間は1時間以内。 ・書く分量は原稿用紙1枚分以上。 ・書く頻度は毎日。 ・書く道具はスマホ。 ・書く内容はなんでもいい。
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#本

最短・最速で圧倒的な結果(48日目)

電車に乗っていたら、与沢翼の『ブチ抜く力』という本のドア横広告が目に入ってきた。
腕を組んでこちらを見下ろす、だいぶ痩せた与沢翼の横に、『ビジネスも投資もダイエットも最短・最速で圧倒的な結果を出すための「成功法則」』という謳い文句が踊っていた。

最短・最速で圧倒的な結果。
この本を読む人はいろんな物事に最短・最速で圧倒的な結果を出すために読むんだろうけど、そのための手段として読書を選ぶ、というこ

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鉱石拾い(41日目)

いまルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』を読んでるんだけど、こういうハイレベルな自伝的作品を読むたびに、なんでこんなに昔のこと覚えてるんだろうこの人、と思う。
単に出来事を覚えているのではなくて、その時自分を取り巻く世界がどういう匂いだったか、どういう物品で構成されてそれが自分となんの関係があった(もしくはなかった)か、周囲の人と人がどう関係しあっていたか、そんな世界の中で何を考えていたか

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三島由紀夫スポーツ論集を読んで(22日目)

だらだら読んでた佐藤秀明編『三島由紀夫スポーツ論集』(岩波文庫)をようやく読み終えた。

や、めちゃくちゃ面白かったです……。
『金閣寺』くらいしか読んでおらず、正直価値観はあんまり合わなさそうだなと敬遠していた作家だったのだけど、ごめんなさい、文章上手すぎておののきました……。

東京オリンピックやボクシングの観戦記も、自分はそこに出てくるアスリートのほぼ全員を知らないし、他にも飛び込みやら重量

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本の優先順位(15日目)

仲良くしてもらっている書店の方が、「本を文芸として捉えてる書店員と、カルチャーの一部として捉えてる書店員がいて、両者けっこうキャラが違うんですよね」と言っていた。
前者は理想やポリシーがしっかりある頑固な人が多くて、後者はわりとなんでもありな印象が強いらしい。

それは「自分の関心の中で、本をどのあたりの高さに置くか」という違いだろう。
本をいちばん上に置いている人と、雑貨や競馬や映画や酒やその他

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「好き」の深さ(9日目)

山崎まどか著『「自分」整理術 好きなものを100に絞ってみる』という本が、本棚のわりと取り出しやすい場所に鎮座している。
コラムニストの山崎まどかさんが、ジョン・ヒューズの映画とかジョン・スメドレーのカーディガンとか、好きなもの100個についてひたすら語っている本。
とても好きで、いつも真似したくなる本。

なんかね、このnoteもそういう風にできるとすごく素敵だなと思ったりするわけですよ。
でも

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ぼくは覚えていない(3日目)

ジョー・ブレイナードという美術家が書いた、『ぼくは覚えている』という本がある。白水社のエクス・リブリスから翻訳が出ている。
ちょっと変わった本だ。
何しろすべての文章が、「ぼくは覚えている。」という言葉で始まる。200ページ以上、一冊分まるまるすべて、一切の例外なく。
ブレイナードはその一言を鍵にして、記憶の詰まった小箱を開き、自分の通り過ぎていった瞬間の断片を語る。
昔好きだった人の体を思い浮か

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