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短編小説

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#創作

【短編小説】   秒針

【短編小説】   秒針

朝がいちばん死にたくなる。
さっきまで意識を置き去りにしていたはずなのに、目を開けた瞬間に今日も1日人間をやらなきゃいけない絶望感に包まれた。
スマホを確認するとまだ11時を過ぎたばかりで、今日は割と早くに目が覚めたと思う。

俺はSNSを開き、他人に見せびらかすような投稿で溢れたタイムラインを眺めながら眠気を覚ます。そして鉛のように重い身体を無理やり起こし、タバコに火をつけた。

カーテ

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黄昏時の空は

黄昏時の空は

少しだけ緊張していた。
夕方の新木場行きの埼京線に揺られながら、車窓に目をやった。いつも降りる駅を過ぎたそこには見慣れない景色が広がっていた。
どんな子なんだろう。

17時にお台場の東京テレポート駅で待ち合わせした相手は半年前にSNSで知り合った1つ下の高校2年生だ。
彼女と僕は繋がってからすぐに意気投合し、コメントを送り合ったり朝までお互いに好きな音楽や動画の事を語り合ったりして、インターネッ

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