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#福岡のライター
映画『サンドラの小さな家』を観て
観る前に抱いていた期待は、いい意味で裏切られた。『サンドラの小さな家』はDV夫から逃げて棲む家を失った母親が、自力で家を建てようとする話である。筋は知っていたけれど、驚いたのはその強さ。子どもを守りつつ、暴力に怯えながら生きる女性のつらさ、公的支援をなかなか受けられない弱い立場の人たちの今が、画面を通して強く訴えかけられる。
それもそのはず、本作は主役のサンドラを務めたクレア・ダンが友人の窮
映画『この世界に残されて』を観て
『この世界に残されて』はナチスドイツの支配下にあり、約56万のユダヤ人が殺害されたハンガリーの戦後、1948年が舞台である。この年はソ連支配が強まり始めたころであった。ホロコーストの残酷な爪痕と社会主義化前夜の市井の人々が描かれる。
両親と妹を失った16歳のクララ(アビゲール・スーケ)は、診療で出会った寡黙な中年医師アルド(カーロイ・ハイデュク)に同じ境遇を嗅ぎとり、心を寄せるようになる。彼