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書きとめておかないと忘れてしまうので

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#日記

エドワード・ケアリー著 『飢渇の人』

『飢渇(きかつ)の人』はイギリス生まれで現在はアメリカで活躍する作家による短編集である。翻訳者の古屋美登里さんのご尽力により日の目を見た、世界初の短編集とのこと。16の作品のなかには、出版が決まったのちに書き下ろされたものもあるそうで、数珠の名作から新作まで読めるとはお得である。

どんな世界へ連れていってくれるのか。少しだけ紹介すると、村に突然現れた緑色の地底人の話(『おれらの怪物』)や、人の髪

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書棚を買うつもりだったのに

新しい書棚を入れるのよと、人に会うごとに自慢げに話してから随分経った。今の書棚が満杯になり、納めるスペースではない天板の上や、足元の床にまで広がりつつあったし、なんせ書籍は毎日のように発売される。これからも良い本にたくさん出会うに違いないから拡張決定と考えた。オフィス用のコピー機は場所を取り過ぎていたので処分し、壁一面の書棚スペースを用意した。書棚について調べ、家具のプロに話を聞き、お目当の品も見

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8月某日 雨ですね

 梅雨の間、降って困るような大雨がないなあと思っていた。今や盛夏をなかったものにし、暮らしを脅かすほどの雨が降り続いている。辟易を通り越して、恐ろしい。被害にあわれた方にお見舞いを申し上げます。
 未曾有の雨は子どもたちの笑い声や日焼けなど夏の体験を奪った。憎いのは感染症もである。管理者たちによる制約がかかるから(ありがたいことなのだけど)、余計にままならない。普段自由に生きているように見えて、実

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8月某日 自動運転

8月某日 自動運転

昨日は裏返しになって、にっちもさっちもいかなくなっている蝉を2匹助けた。自宅に戻っていいことしたなあ、蝉の恩返しなんてあるかしらなんて思いながら雑誌をめくっていたら、沢木耕太郎さんが同じく蝉をレスキューする話をお書きになっていた。うれしいけれど、沢木さんのような大家と似た行動をとってしまって、ああすみません、という感じである。

自動運転(自動運行装置)にまつわる道路交通法が気になっていたので少し

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6月某日

梅雨という言葉を聞いてから随分経つけれど、雨らしい雨が降らない。田植えを終えたばかりの田んぼは大丈夫なのだろうか。大きめの入稿を終えて、ほっとひと息の今日、夕方の散歩が終わって自宅に帰ると玄関に、かたつむりのような形状で、うごめくも茶色の何かが転がっていた。虫博士の子どもの出番である。「たぶん、蝉。抜け殻に似てるもん」。地べたに転がっていたので、今土から出てきてこれから木に上るところなのだろうか、

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6月某日 悩み相談をどこにするか問題

雑誌や新聞に必ずといっていいほどあるものに、悩み相談コーナーがある。長寿番組のAMラジオの人生相談、随分前だがみのもんたさんのテレビ番組でも電話で話を聞くコーナーがあった。境遇が同じなら身を乗り出して聴きたくなるし、そうでなくても回答者の答えは参考になることが多い。新聞を開いても活字を読む気にならない日でも、お悩みコーナーだけは読んだりもする。

ここにきて、今までまったく想定してこなかったのだが

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6月某日 検査

本格的な梅雨を前に少し怯えているこの頃。週末にキーボードにコーヒーをこぼしてダメにしてしまった。朝7:22に新しいキーボード届く。しかし今日、私が待っているのはこれではない。昼食がてらメールボックスをのぞきにいくとAmazonの封筒と各請求書が入っていた。Amazonは仕事の資料でこっちも大事なんだけど、待ち人?はこれでもない。今日一日気を取られていたのはPCR検査キットの到着だった。注文すればA

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6月某日 インタビュー記事

6月某日 インタビュー記事

 梅雨の晴れ間が続く。北向きにある仕事部屋は冬は寒くて仕方ないけれど、この季節の午前中はだいたい北から南へとさらりとした風が通り抜ける。今日はゲラを3件分戻して、インタビュー記事の作成に取り掛かった。できるだけその方の血の通った声を伝えたいから全文掲載なんてしてみたい。だがそのままでは読みづらかったり、意味が通りにくかったりするので、やはり手を入れる。現場で感じたその方の熱量やスピード感、ソウルが

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6月某日 週休3日にしたい

6月某日 週休3日にしたい

 働くのは月曜から木曜まで。週休3日にシフトしようとしてるのだけどなかなか実行できない。3ヶ月前、昨日分の美容室の予約をした際は未来の私に期待を込めて「きっと金曜日は一日休めるはず」と思ったのだった。実際は朝から取材・美容室・2時間ほどの取材と、緊張と緩和を繰り返す金曜日となった。もちろんお仕事はありがたく、なかなかうまくコントロールできないという話だ。従来のやり方に捉われているだけだろう。
 ロ

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6月某日

6月某日

昨日は次回の取材のため、下調べしたものを延々とまとめていた。まだ出来上がってないのだけど、やった感がある。これはいけない。コロナ禍で毎日のスピードが緩くなってしまった。同じように焦燥を感じている方はいるだろうか。私の場合はこうして某日日記を書き、一日の終わりの端っこに糸を縫い付けるようにして、毎日をつなぎとめて生きている。そうでなければ流れていってしまいそうだ。ある女性作家が自著について「戦中の毎

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6月某日 久々にハマったかも。大豆田とわ子

6月某日 久々にハマったかも。大豆田とわ子

 現在放送中のテレビドラマ『大豆田とわ子と三人の夫』の7話を観た。そもそも1話から見られていないし、坂元裕二脚本作品は『スイッチ』しか拝見していない私がいうなって感じだが、その壁を乗り越えても面白いと思うからここに書き留めさせてほしい。4話ぐらいのタイミングで友人に薦められ、以来見続けている。これがなんとも不思議な面白さなのである。一般に、物語とは主人公が感情を吐露し、スパークさせて話を盛り上げる

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5月某日 なんとかなるんじゃないか

5月某日 なんとかなるんじゃないか

お叱りを受けるかも知れない話。1ヶ月ほど前に子どもが捻挫をした。学校の先生から近所のおじちゃん、おばちゃんにまでご心配をおかけしたのだけど、先ごろ完治した。病院への送迎、習い事への連絡などに追われながら、ふと保険を思い出した。掛金は少ないながらケガ保険に加入していたのであった。申請して書類が届き、送り直して数日後、お見舞金が指定口座に振り込まれていた。数万円。降って湧いたようなお金です。喜んでいい

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5月某日 積ん読以前の問題

5月某日 積ん読以前の問題

この週末は書評サイト『ALL REVIEWS』のオンラインイベントが充実していた。土曜の夜は『勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版』の千葉雅也さんと鹿島茂さんの対談だった。日曜の夕方は柴崎友香さんと豊崎由美さんのガブリエル・ガルシア=マルケス著『族長の秋』を課題本に据えた回であった。この催しは毎月2回開かれていて鹿島さんと豊崎さんがナビゲーターとなり、それぞれノンフィクション・フィクション部

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5月某日

5月某日

志賀島にて取材。空を雲が覆っていてなかなか完全には晴れない。海は空を鏡のように写すので、部分的に日差しが差して明るくなったとしても、完全に雲がなくならなければ海の色は青く映らない。カメラマンさんに後日、再撮をお願いすることになる。申し訳ない。取材先はオープンして間もないショップや施設、飲食店など。大変な状況は続くけれども、なんとか対応し、足を踏ん張っていく意気込みをみなさんから感じた。