うえぼん

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ぽつりぽつり、日々の備忘録を綴っています https://www.instagram.com/09.au/

最近の記事

あと74日(妊娠8ヶ月:29週3日)

皆さんには、干した布団を取り込みながら泣いた経験があるだろうか。 妊娠後期。この頃の私はというと、何かと不安定な日々を過ごしていた。 増していく食欲に不安を感じては病み、思うように動けない歯痒さに病み、健診のエコーで見れる我が子のかわいさに泣き、帰りが遅い夫に腹が立って病んだ。物事の全てが自分の敵に見えて、なんとも安心できなかった。 これじゃいけない、自分のストレスはお子への悪影響になる、と気持ちを切り替えて長めに散歩をしたり、落ち着いた雰囲気の図書館に足を運んだりしてみ

    • あと176日(妊娠4ヶ月:14週6日)

      ふと、ある感情が私を占めた数日があった。 もう元の私には戻れないのだろうか。 呼んでもらったらふらっと家を飛び出て、足取り軽くいろんな人に会いに行けて、身一つでどこへでも何でもできていた。仕事して、好きなときに好きなものを食べて、欲しいものは自分の決断で手に入れてきた。全てが自分の責任である代わりに、いつもある程度の自由が手に入っていた。あの頃の私にはもう戻れないのだろうか。 妊娠して、とても嬉しかった。 自分一人の体じゃなくなることの喜びを目一杯感じることができた。ま

      • あと232日(妊娠2ヶ月:6週6日)

        珍しく大雨が降ったお盆になった 私の地元ではお盆にお墓で爆竹を鳴らしながら故人を慈しむ風習があって、(これだけ聞いたらちょっと物騒だよね笑)今年は身内の初盆だったこともあり、何年ぶりかの精霊流しをすることになっていた。 精霊流し(でぜひ検索してみてね)をするための船は、いとこ家族が手作りした。私の家では昨年ミニチュアダックス犬が亡くなったから、小さいサイズの船をお母さんが手作りした。とっても賑やかでアットホームな船が二隻、田舎道を練り歩くことになってなんだか嬉しかった。

        • あと247日(妊娠初期:4週5日)

          7月末、本格的な暑さを感じ始めた夏の日 私の体に、ひとつの大きな変化が起こったことを知った。 妊娠した。 それはそれは小さな気づきだったけど、よく考えたらすんごいことが自分の体の中で起こっていることを知って、正直すぐには受け止められなかった。 ドラマでよく見るみたいに「うっっっっっ・・・」となってトイレに駆け込むみたいなありがちなやつじゃなくて、本当になんとなく、大好きなビールがなんだか美味しくないぞ、ご飯のあとちょっぴり気持ち悪いな、程度の変化でもって。 私の体が未知

        あと74日(妊娠8ヶ月:29週3日)

        マガジン

        • 妊婦生活のあれこれ
          3本

        記事

          夜の世界を垣間見た

          たくさんの居酒屋さんがひしめきあう通りを抜けて、夜のお店の案内役を果たす煌びやかな建物の横、とても綺麗とは言い難い老舗のビルの一階に、ひっそりと、そのお店はあった。 いつもサム・スミスが流れる落ち着いた空間。以前は高級クラブだったと噂で聞いた店内には、その名残からかベルベットの大きな椅子が並ぶボックス席や、少し背の高いカウンターチェアが数台と、壁にお酒を並べるための棚がしつらえてある。居酒屋と呼ぶには上品で、barと呼ぶにはカジュアルなその場所は、界隈のお店と比べても異色だ

          夜の世界を垣間見た

          大事な思い出の一欠片

          私が学生だったときの話 しゅうくん、という男の子がいた。 しゅうくんはいつもふわん、ふわん、と軽い足取りで歩いていて、いつも笑顔だった。 始めこそ少し人見知ってあいさつもできない私だったけど、保健室の常連だったことがきっかけでしゅうくんとお近づきになれた。同じくしゅうくんも保健室の隣の部屋(ボランティアでカウンセリングをしてくれるおばちゃんがいる部屋で、いつも内緒でお菓子をくれるから私もよくいた)の常連さんだったのだ。 その日もいつものように笑顔のしゅうくんと一緒にお

          大事な思い出の一欠片

          幸せを推し量るな!!!

          結婚したことで私の身に起きた変化は本当にたくさんある。その中でも今回は、マイナスの変化について残しておきたい。 「あら、もういい歳なのね。結婚はまだ?いいお相手はいるの?」というのが、独身時代の私につきまとった周囲からの呪文で。 「ははぁ〜それがまだなんですよぉ、相手が見つかったら報告しますね〜!」というのが、笑顔を顔に貼り付けた私の常套句だった。 どうして結婚してるかしてないかが人格を判断する主な材料になっているのか、納得のいかない私はいつも否定的な考えを持っていた。そ

          幸せを推し量るな!!!

          遊ぶ場所が、帰る場所へ

          飛行機から降りて通路を歩くと、いつも東京への乗り換えか到着ロビーか、どちらか一方にしか行けない選択肢を迫られる。だいたい到着を選ぶ私はその先の階段を降りて、荷物を受け取り外に出る。正面が自動ドアだからぶわっと外の風が入ってきて、夏は暑いし冬は凍えるほど冷たい。異国の空気を嫌でも感じてしまう場所。 神戸空港は、私にとっていつも異国で。 だからこそいつもわくわくする場所だった。 風通しの良すぎるホームに上がり、ポートライナーに乗ってとりあえず三ノ宮に向かう。赤い橋や綺麗な海、

          遊ぶ場所が、帰る場所へ

          愛されなきゃ、いけないの?

          私は今、29歳。 俗に言う「アラサー」の真っ只中だ。 そして俗に言う、20代は仕事に恋愛に遊びに奔走してきました!ってやつをしたきた人なんだと思う。 寝る間も惜しんで飲み歩き、後悔しながら仕事に行き、性懲りも無く飲み歩き、遊び回り、時にはそのまま飛行機に乗った。新幹線の中で睡眠時間を確保した。確実に1日が24時間では足りなかった。 そんな身体に大ダメージを与えるような生活をしていた私なりに、ひとつだけルールを決めていた。 それは、"どんな出会いも大事にする"というもの

          愛されなきゃ、いけないの?

          悲しみは雪のように

          父親の話をしようと思う。 うちの家は母子家庭で、私が1歳のときに離婚した。 原因はたくさんあるらしいからもうわからないけど、確かなのは、お母さんは私と兄の2人を守るためにその決断をしたということ。子供たちの未来を考えて、女手一つで子育てを全うすると覚悟してくれたということ。 離婚して以来、今に至るまで一度も父親に会ったことのない私には、父親の記憶が全くない。 かろうじて顔を知っているのは、一緒に住んでいた1年間、撮影してくれていた写真が今でも残っているから。それでも、父

          悲しみは雪のように

          夫の腕で、眠れない

          終わったことは終わったことと 片付けて次に行けばいい ハンバートハンバートのお2人は今日も優しくそう歌ってるけど、実際のところどうなの。頭の中も机の上も、ちっとも片付かない毎日を過ごしている。 あの時あぁしていれば今頃こんな、とか もうちょっと早起きできてたらなあ、とか 散らかった頭と部屋に鬱々しながら、それでも日々は続くんだけど、確実に満足はしていない。 2ヶ月前に、新しい土地で、新しい暮らしが始まった。 朝起きて1発目に見える景色も、窓を開けたときに入る風の匂いも

          夫の腕で、眠れない

          結婚式を終えた私の心境は

          結婚、そして挙式、披露宴という人生のメインイベントを終えた今、私が感じているのは、 あれ?あの1日は夢だったのかな?という浮遊感。 とんでもなく幸せな1日だった。 どこを切り取っても笑顔と涙と溢れんばかりの愛に包まれた会場は天国みたいに綺麗だったし、高砂から見えるのは私の大好きな人達と、これから大好きになる人達。もう、なんなのよ。幸せ、なんて言葉じゃ足りないじゃない。 ふわふわ、ぬくぬく、時間が過ぎて 笑って、泣いて、愛を伝え合って 2日後にはいつもと変わらず、家で彼

          結婚式を終えた私の心境は

          11年と98日

          私が高校3年生の春、ひょっこりと我が家に現れた彼は、とんでもなく可愛いミニチュアダックスフントだった くりっとした眼、垂れた耳、ミルクの匂いがする首後ろ、短い手足で頑張って走り回る彼は可愛くて仕方なく、我が家にきてからずっとうちの看板犬。知らない人にやかましく吠えたと思ったら、お風呂に入る私達のガードをするようにドア前で見張っててくれたり、頭を撫でろとばかりに擦り寄ってきたり、足元を温めてくれて一緒に眠ったり。どの一瞬を切り取っても愛おしい存在。 そんな看板犬は、1週間の

          11年と98日

          初めての、初めてを

          ふと横を見ると、腑抜けた顔の彼が寝ていた。 昼間には映画を観て感想を言い合ったり、ハンバーグが美味しいことに感動したり、予想以上の多さの人通りにこっそり腕を組んで歩いたりした。そして今、彼が横で寝ている。 次の日には2人にとって初めての大喧嘩をすることになるなんて知る由もなく、彼はすやすやと寝ていた。明日には私にめちゃくちゃ怒られるんだぞ、そんなに腑抜けた顔しちゃって。そんなの知らないよ、とでも言っちゃいそうな顔して、彼は寝ていた。穏やかに、正しく寝息をたてて。 今年の

          初めての、初めてを

          気を遣わせない心遣い

          朝、目が覚めたら、世界が回っていた 物語でも物理的にでもなく、私の視野全体の話 ベッドから洗面所に行くまでの道のりを往復するのに 30分かかった。結果、歩けなくなった。 メニエル発作が出た。 数ヶ月ぶりのそれは私の想像よりはるかに辛いものだった。 事の発端はきっと、週末の仕事。 私は職場をひっきりなしに走り回っていた。 忙しいのは当たり前。みんな同じ条件の中、文句も言わずに笑顔で働いているのだから、私だって頑張らなきゃ。やり遂げなきゃ。患者さんを守らなきゃ。 業務

          気を遣わせない心遣い

          どん底より

          ふわり、と体が軽くなる 一緒に心も解き放たれる きっとその瞬間に、私は思うんだろうな 「ありがとう。ごめんなさい。」って たくさんの恋をした 図書室にいた彼、転校生だった彼、はちきれそうに明るく笑う彼、不思議な価値観を持った彼、野菜が食べれない彼 そのどれもが今さらきらきら光るのは 私もきらきら笑えてたから たくさんの挫折もした 三輪車を貸してもらえなかった、内緒話が届かなかった、大きな舞台で違う動きをした、部活中に過呼吸を起こした、理由もなく嫌われた、足並み揃えて

          どん底より