なぜ、途上国・新興国は経済成長率が高いのか?

10年前の中国や、今のインドやインドネシア、ナイジェリアなどは経済成長率が高い。一方で、日本やドイツ、イギリス、フランスなどの先進国は経済成長率が低い。例外はアメリカだが、単純に移民が多くて人口が増えているという理由と、AIなどがほぼアメリカの寡占であるためだろう。では、インドなどの途上国・新興国は、なぜ、経済成長率が高いのか?

途上国は若年人口が多い

日本やイタリアなどは、高齢者が多い。高齢者は若者ほど効率的に働けない。それに、高齢者人口が多いと介護セクターの労働者が増えて生産性が下がる傾向にある。しかし、インドなどは若年人口が多いため、生産性が上がりやすい。

途上国は先端技術の受け入れ余地がある

今のドイツや日本は、先端技術があるので、受け入れ余地がある先端技術は、AI関連など限られる。ところが、ナイジェリアやインドは、まだまだ多くの技術を先進国から受け入れる余地がある。技術移転するだけで、ある程度は生産性が上がる。

途上国はインフラ開発の余地がある

インドは、インフラが弱い。いまだに停電が時々ある。だが、それは、発電所や送電網を強化する余地が大きいことの裏返しだ。伸びしろがあるということだ。日本の場合、全国に送電網があり、伸びしろは少ない。あえていえば、再生可能エネルギーへの置き換えと、地中線工事だろう。火力発電は世界的に厳しい視線が注がれている。少しずつ、再生可能エネルギーへと置き換えしなくてはならない。だが、再生可能エネルギーは発電量が日によってバラツキが大きい。そこで、蓄電池の出番だ。電気を蓄電すれば良いのだ。このように日本にもインフラの伸びしろはあるが、インドのほうがもっと大きいだろう。

途上国はこれから価値観が変わる

先進国の人は、セッケンで手を洗ったり、洗剤で衣服を洗うのは当たり前だ。しかし、インドの田舎では、いまだにガンジス川の水で洗うだけですませる人もいる(都市部はこんなことはないが)。これから、インドでは、正しい教育や衛生的な価値観の普及で、セッケンや洗剤などが売れるだろう。

途上国は大学進学率がこれから上がる

先進国は、もう大学進学率の伸びしろはない。あえていうならば、修士・博士だろう。しかし、ナイジェリア、インド、バングラデシュ、カンボジアなどは、まだまだ大学進学率の伸びしろがある。大学進学率が上がれば、イノベーションが起きやすい。それに、大学受験向けの教育サービスなどの需要も伸びる。そのため、人的資本の観点から途上国は伸びしろがあるといえるのだ。

途上国・新興国の課題

途上国・新興国は、政治が不安定であることが多い。また、メキシコのように、賄賂や薬物、マネーロンダリングなどが問題となる国もある。こうした状況は、先進国の企業がビジネスをする際に二の足を踏むことがあるので、政治の安定が途上国・新興国の課題だろう。

結論

一言でいえば途上国には「伸びしろ」がある、ということだ。逆に、日本など先進国も、頑張って探せば伸びしろはあるはずだ。課題先進国の日本は、その課題こそが、ニーズ(伸びしろ)ともいえるのだ。このように、経済学的な思考は応用がききやすい。途上国での思考が、アナロジーとして先進国でのビジネスにも応用できるのだ。

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