見出し画像

私のマミートラックはどこへ?

マミートラックという言葉に違和感を感じる。

マミートラックとは、「子どもを持ち働く女性が、昇進や昇格には縁遠いキャリアコースに乗ってしまうこと」らしい。

「出産前は総合職でバリバリ働いていたのに育休明けは事務にまわされた」

「出産前は責任ある立場にいたのに育休明けは役職をおろされた」

「本当は男性と同じようにキャリアを積んでいきたいのに!!」

女性がみんなそんなふうに思っているとは思わないでほしい

復職前の私は、多少なりともマミートラックにぶち当たるのだろうと予想していた。

2年も休んでいれば後輩に追い抜かれているかもしれないし、

もう以前の役職に戻ることもないだろうと思っていた。

良いか悪いかは知らないが、そういうものだろうと思っていたし、

2年近く会社を離れていたどころか「働く」ということを2年もしていなかった自分が、人の上に立つ立場に戻れる気もしなかったしそもそもすんなり業務に戻れるのかも定かではなかった。

復職前の面談でも、そのように伝えた。

役職をおりて昇進・昇格の道からはずれて評価を気にせずのんびり働けるのは寧ろ理想的かも…なんて思ったりもしていた。

現実は子どもがいようがお構いなしだった

実際は、復職後すぐに以前の役職に就かされた。

休日出勤、残業当たり前のフルタイム勤務となった。

役職をおりて気ままに働こうなんて、そう甘くはなかった。

気ままに働くつもりだった私は、いつの間にか取り憑かれたように働いていた。

保育園のお迎えにもほとんど行けず、延長保育や家族のサポートでなんとか凌いでいた。

子どもが高熱を出しても早退できず、夜遅くまで帰れないことも何度もあった。

「子どもがいると役職に就けない」

「子どもがいると残業できない」

そんなことを不満に思う人もいるのかもしれないけど、私は逆にそれが羨ましかった。

両立はできる、でも結局どちらかが多少の犠牲を伴う

何をもって両立と呼ぶのかわからないが、本当の意味での「両立」は、きっと不可能なんだと思う。

学生の頃、昼間は学校の授業を受けて放課後は部活をしたりバイトをしたり、

休みの日も部活や習い事やバイトをしたり、

部活のあとに塾に行ったり、

バイトのあとに塾に行ったり、

若い頃のほうがみんな当たり前にマルチにいろんなことをやっていたと思う。

子どもを保育園に預けてから仕事に行く、

仕事の後に保育園に子どもを迎えに行く、

その感覚はそれに似ている部分がある。

ただこなすという意味での両立は意外と容易にできる。

毎朝Eテレでいないいないばぁとおかあさんといっしょを観てから、天気が良ければ近所の公園に行ってひたすら駆け回って過ごす、そんな平和な午前中は仕事に復帰したことで奪われた。

お昼を食べさせてすんなりお昼寝してくれたらそのあいだに家事を済ませ、長めに寝てくれたときには少しだけ自由な時間ができる、そんな穏やかな午後も奪われた。

復職してしまえばそんなことは露知らず、目の前の業務は降りかかってくる。

子どもが熱を出そうがお迎えの時間が迫ろうがお構いなしだ。

子どもがいない人にとっては、お出かけができる日曜日、デートの約束がある日曜日、かもしれないが、

子どもがいる人にとっては、出かける予定があろうがなかろうが保育園が休みだから休むしかない日曜日。

同じ休日でもこれだけ感覚が違う人同士が一緒に働くのはなかなか難しい。

キャリアは捨てても良い、子どもを優先できる仕事を見つけるのが難しい

私はマミートラックにぶち当たりたかった。

昇進や昇格には縁遠いキャリアコースに乗っかったって良い。

それでも良いからせめて日が暮れる前に子どものお迎えに行けて、休日はのんびり一緒に過ごせる、そんな働き方が理想だけどなかなか実現できず模索している。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?