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なぜプロジェクトマネジメントが機能しないのか 42 おさらい③

日本で最初の民間シンクタンクで、プロジェクトマネジメントのコンサルタントとして、ある時はPМ、ある時はPМОとして、お客様と問題解決に取り組んでいます。本記事では、まだPМBОKには書かれていない暗黙知を言語化し、形式知としてお伝えすることにチャレンジしてみようと思います
マガジン:https://note.com/think_think_ab/m/m0e070db46016

プロジェクトマネジメントが機能しない理由

第25回
3つの曖昧さ(https://note.com/think_think_ab/n/n67fdaeb3cf3f)では、

プロジェクトマネジメントが機能しない理由を、
第24回まで触れてきたプロセスに関する記事を振り返って
次の3つを挙げました。
(それぞれの具体的な内容については、各回をご参照ください)

【プロセス的な理由:知識の不足】
・不確実性の早期排除が、プロセスの目的として十分に理解されていない。
・QCDのQとは、品質を含む、スコープであることが理解されていない。
・不確実性を早期排除するための、WBSの作り方が、理解されていない。

その後、
第26回以降、プロセスに加えて、組織と人材について考察し、
プロジェクトマネジメントが機能しない理由を以下の2つとしました。

【組織的な理由:組織の脆弱性】
・いわゆる縦割り組織は、横ぐし調整について、ほとんど機能しないこと。

【人材的な理由:人材の希少性】
・組織の脆弱性を、補てんできる条件にあてはまる人材が希少であること。

前述の人材の条件は、
第37回 スコープの不確実性⑥(https://note.com/think_think_ab/n/n700e6f076072) 
でも触れましたが、以下の3つの能力が必要です。

理解力:業務とシステムの両方の言葉が理解できて使えること
設計力:抽象と具体の両方の概念を理解し、自在に使えること
表現力:機能とデータという抽象的なものを可視化できること

いいかえると、
「業務 vs システム」、「抽象 vs 具体」という、
 それぞれ対極の関係にある領域のため、一般的には、
 トレードオフとなる能力の両方の能力を持つことが必要なため、

該当の条件を満たすリソース調達そのものが問題となることがあります。

まとめ

結果、
プロジェクトマネジメントが機能しない原因 に対する対策は、
以下のような内容になります。(単純な原因の裏返しですが💦)

【プロセス的な対策:知識の習得】
・不確実性の早期排除が、プロセスの目的であることを、十分に理解する。
・QCDのQとは、品質を含む、スコープであることを、正しく理解する。
・不確実性を早期排除するためのWBSの作り方を学び、正しく理解する。

【組織的な対策:組織の脆弱性の理解】
・縦割り組織は、横ぐし調整について、機能しないことを理解する。
(直接的な対策は難しいですが、このことを理解しておくだけでも、
 誤った過度な期待が理由で、足元がすくわれることはなくなります)

【人材的な対策:人材の調達】
・組織の脆弱性を、補てんできる条件にあてはまる人材の調達。

以上、今回の第42回までで、
プロジェクトマネジメントを機能させるためのおおまなか流れについて、
いくつかの視点から、言語化し、形式知化してきました。

何となく、世界観はご理解いただけたでしょうか。

おかげさまで、とりちらかしていた私の頭のなかも、
だいぶ整理できてきたように思います。

次回以降は、
さらに世界観をひろげ、理解を深めて頂けるよう、
プロジェクトマネジメントを構成する、それぞれの要素について、
言語化と形式知化にチャレンジしてみたいと思います。

次の記事(43回)


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