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大物趣味人・鷲見東一も投稿していた青柳秀雄の『佐渡郷土趣味研究』

 以下の記事で紹介した佐渡の郷土研究者・青柳秀雄(秀夫)が発行していた『佐渡郷土趣味研究』には、様々な研究者・趣味人が投稿しているが、投稿している趣味人に郷土玩具を中心に様々なものを蒐集していた鷲見東一がいる。

鷲見については、拙noteでも以下のように何度か紹介している。

『佐渡郷土趣味研究』には、各人が佐渡をテーマにして執筆した「佐渡の感想」という欄があるが、鷲見は第11輯(昭和6年9月)に以下のような文章を投稿している。

堺 鷲見東一
佐渡と云えば金山を聯想し金山と言えば佐渡を聯想する。日本海の離小島、詩の国であり能の国である。そして忘れ得ぬものは土俗玩具の蒐集家として二つ私には相川の首人形のなつかしさである。
(筆者により現代仮名遣いにあらためた。)

 鷲見が言及している「相川の首人形」は郷土玩具蒐集家の間では知られたものであったようで、川崎巨泉の絵もある。巨泉の絵は以下のWebページから閲覧できる。

 鷲見は佐渡を訪れたことがあり、その際に方言、芸能の調査もおこなっている。その成果として、加賀紫水が発行していた雑誌『土の香』の第10巻第1号(昭和8年8月)に「佐渡ヶ島の言葉」、第10巻第5号(昭和8年11月)に「珍芸「つぶろさし」—佐渡の旅から―」が投稿されている。(注1)この際に、鷲見は郷土玩具にも関心があった青柳や青柳と同じく佐渡の郷土研究者であった山本修之助にも会ったのだろうか。

 ちなみに、上述の鷲見の「佐渡ヶ島の言葉」は以下の記事で紹介したように、方言研究者・橘正一によって批判されている。橘は鷲見の文章を「旅人の断片的報告を歓迎しなければならぬ程、佐渡の方言資料は不足ではない」と述べているが、その背景には佐渡の方言研究の充実があったと考えられる。最初に引用した記事で紹介した北見継仁さん『知られざる佐渡の郷土史家・蒐集家 青柳秀雄の生涯とその業績』(皓星社、2024年)によれば、鷲見がこの文章を投稿した当時青柳が佐渡の方言に関する研究を継続的に発表している。青柳による方言研究の進展を考慮して橘は鷲見のことを批判したのだろう。

(注1)筆者が作成した『土の香』の総目次を参照した。

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