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本山桂川『人獣秘譚』(日本民俗研究会、昭和5年)について
以下の記事で引用したことがある伊藤慎吾・氷厘亭氷泉編『列伝体 妖怪学前史』(勉誠出版、2021年)には、方言研究者・橘正一が妖怪研究の先行者のひとりとして紹介されている。この本の永島大輝「COLUMN 雑誌『化け物研究』」では、橘は本山桂川とともに『人獣秘譚』という本を出版したことが述べられている。
この『人獣秘譚』を読んでみたかったが、研究機関や図書館に所蔵されておらず、日本の古本屋にも出ていなかったのでそのままになっていたが、先日ヤフオクに出ているのを偶然発見したので落札した。以下に書誌情報を掲載しておきたい。
大きさ:約19.3cm×約13.9cm、和綴じ、謄写版印刷
印刷:昭和5年1月15日
発行:昭和5年1月20日
著作編集兼発行者:本山豊治 千葉県市川町九九三
印刷者:幅弓之助
印刷所:昭和謄写堂 東京神田三崎町電停前
発行所:日本民俗研究会
頁数:114頁
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確かに橘がこの本に投稿していたことが分かった。上記の写真に対していくつか補足しておきたい。奥付の本山豊治は本山桂川である。昭和謄写堂は、以下の記事で紹介した松川弘太郎が発行した『郷土文化時報』の印刷を担当した印刷所である。
さらに事例を追加するのであれば、私が『草の根研究会会誌』第1号に投稿した「方言・民俗研究者・橘正一の発行していた『化け物研究』あらため『民間信仰』について」で紹介した『化け物研究』の印刷も昭和謄写堂が担当している。この印刷所は当時謄写版雑誌印刷の依頼先として有力であったのだろうか。
本の内容としては、狐、狸、蛇などの動物と人間が結婚した話を中心に動物と人間の交流譚が紹介されている。様々な地域の話や本に載っている事例が多く紹介されており、興味深い。
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