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雑誌『土の香』に投稿していた江戸文化研究者・松川弘太郎の経歴は?

 以前、雑誌『土の香』第9巻の翻刻版で経歴不明とされていた投稿者の何名かに関して以下の記事で補足したが、その際に詳細が分からないとした松川弘太郎という人物の情報が民俗学研究者・教育社であった大西伍一が編集した『郷土研究家名簿』(農村教育研究会、1930年)に記載されているのをみつけた。以下に引用してみたい。

松川弘太郎 豊多摩郡落合町上落合二九五 

一、東京高等歯科医学校(神田区錦町) 

二、風土民俗、江戸の事 

三、江戸文藝同好会

松川は学校につとめながら江戸時代の文化や文藝を研究していたことが分かった。国会図書館デジコレで閲覧できる『東京高等歯科医学校一覧』(1932年)によると、松川は教師としてではなく総務部教務課の主任という役職の学校職員であったようである。この一覧を確認すると、1939年まで同じ役職であったことが分かるが、1940年以降の名簿はないためその後は不明である。いずれにしても、松川は自分の生活の日銭を稼ぐ仕事と研究内容が一致していない在野研究者であったようである。

 雑誌記事索引集成データベース「ざっさくプラス」で松川の書誌データを調べると、松川は『風俗画報』、『郷土研究』、『武蔵野』、『江戸往来』、『方言』などに投稿していたようである。Web NDL Authoritiesでも松川は名前だけ登録されており、生没年も不明になっている。まだまだ分かっていないことが多いようである。

(2022/2/20追記)松川の生年と出身地が分かったので、以下に関連記事を記載しておく。


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