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コーヒーと音楽 Vol.30

GEORGE WINSTON - PLAINS

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高校生の頃は暇で暇でしょうがなくて、しょうがないから市立図書館にある映画を片っ端から観たり、借りられるCDをやっぱり片っ端から聴いてみたものです。

その頃、ツタヤが僕の田舎町にもなぜかできて、音楽好きの友人と割り勘で、やっぱり片っ端から借りられるCDはほぼ全て借りました。

物としての音楽を貸し借りできたというのは幸運だったと思います。音楽の聴き方がストリーミングやYoutubeを通すことが主流となった今、アルバム単位でアーティストの音楽を聴くということも少なくなってきている気がします。検索で自分の好きな曲をかければ似たようなアーティストの曲が曲単位で次々と自動的に出てくるわけです。

それはそれでありがたいことでもあるのですが、アルバムの中に埋もれた名曲や、普通だったら接点のないような音楽に触れることが困難な状況になってきているとも言えます。

これは以前読んだ、東浩紀さんの弱いつながり-検索ワードを探す旅という本の内容にも通ずるところがあります。検索ワードがそもそも固定化されて、検索予測すらされると、都合の良い情報ばかり集まる。そうなると世界中に散りばめられている未知なる出会いへのチャンスが減る。

誰かに自分の好きな音楽を紹介する方法も変わりました。今はリンクを送ったり、自分のミックスリストをオンライン上に作ったりするわけですよね。

生まれたときから、それがデフォルトの状態であれば、なんの疑問も持たないのでしょうが、CDの貸し借りをして、ミックステープもミックスMDもミックスCDも作ってきた身からすると、一抹の寂しさは感じます。

ミックステープではいかにテープの残り時間があるかを意識して、ギリギリまで曲を詰める事に苦心しました。ミックスMDではMDプレーヤーのダイヤルをカチカチ回して、アーティスト名や曲名を打ち込んだりしたものです。ミックスCDからはパソコン上で作るようになりましたが、物としてのプレゼントができます。音楽を聴く行為と物をつくる行為の共存です。

と、「昔はよかった」みたいなことを言いはじめたら老いてきた証拠。今の若者は、今の若者で僕の知らない、僕にはわからない楽しみがきっとあるはずですよね。

話を本題に戻します。図書館に置いてあるCDを片っ端から聴いている中で、おそらくそうでもしなかったら出会わなかった音楽がいくつかあります。今回紹介するGEORGE WINSTONというミュージシャンはまさにその一人です。

高校生の僕に刺激的だった音楽はパンクやロックやスカと言った元気の良い音楽でした。自分で買う音源はもちろんそんなジャンルの物ばかり。でも図書館のCDはJポップからクラシック、ジャズ、民族音楽まで様々。その中にGEORGE WINSTONPLAINSという音源が埋もれていました。

これは高校生の僕にも感じ取れる何かがありました。すごく広くて寛大な世界観。まさにアルバムジャケットその物です。1999年リリースとあるので、これはまさに僕が高校2年生のリアルタイムで聴けたことになります。

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「コーヒーと音楽」では思い入れのある曲を紹介することが多いのですが、今回ばかりはアルバムの紹介。アルバム全体がとても良い。

このアルバムでGEORGE WINSTONを知って他のアルバムも買って聴いてみましたが、このアルバムほどの感動はありませんでした。不思議。今聴けばまた違って感じるのかもしれません。

自分の音楽を「Rural Folk Piano」と呼んでいるあたりもすごく共感できます。彼自身がハワイアンも大好きなことから海を感じさせたり、彼が育ったモンタナ州に広がる大草原を感じさせたり、都会では生まれ得ない音がそこにはあります。その広さに包み込まれる。

こんな音楽を聴いていると、広い世界に住みたくなります。心が広くなるような広い世界。今がこんな状況だからこそ余計にそう思うのかな。

土曜日。久しぶりにぼーっとしよう。皆さん、良い1日を!



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