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【こころ #50】行政・起業・海外を経験した精神保健福祉士


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芝崎 有光さん


 精神保健福祉士として、行政で現場経験を積み、起業して民間の現場に立ち、そして海外に拠点を移したことで社会福祉制度を俯瞰し、帰国した後は障害者の就労支援に携わりながら、事務作業を減らして利用者との時間を増やすために自ら障害福祉サービス業務支援システムや書類整理支援(ファイリング)システムの開発にまで携わる。

 そんな精神保健福祉士が、芝崎さんだ。


 「大学時代から、将来の起業を考えていました」。小規模作業所でボランティアをしていたこともあり、福祉分野に着目していた時に目に入ってきたのが『精神保健福祉士』。大学を卒業して養成校に入った年は、その資格制度ができた初年度だった。

 資格取得後は、養成校の勧めもあり、「広く学べる」と県に就職し、精神障害者の社会復帰の支援を図るセンターから地域の保健所へと現場に出た。

 「調子悪いから病院紹介して」といった精神保健に関する通常相談はもちろん、県が権限を持つ措置入院(自分を傷つけ他人に害を及ぼす恐れがある場合に本人や家族の意思にかかわらず都道府県知事の権限で行われる入院)も対応した。何より、市町村の保健センターと連携した居宅訪問や、自助グループの支援まわり、ゴミ屋敷の掃除まで、当時は「足でケアした」。


 起業への思いを秘めながら7年が経った頃、養成校時代に知り合った精神科医から、クリニックの開業に声がかかる。「(起業は)共同事業の形ではうまくいかないと思っていた」ので、双方で会社を立ち上げ、芝崎さんが業務を受託する形を取った。

 そこから芝崎さんは事務長として、メンタルクリニック単体に留まらず、院長と協力して「デイナイトケア、訪問看護、カウンセリングのサービスを一気に立ち上げた」。当初から「精神面でのケアはもちろんだが、生活面や仕事面での支援を充実させたかった」。

 当時はまだ「障害者の就労支援」が充分に法整備されていない時代。しかし、「制度の壁はあっても、外の企業と付き合って、就労につなげて、、、やりたいことが勝ったんですね」。その取り組みに多くの利用者さんも引き寄せられてくる。まさに制度を先取りした、芝崎さんの実践だった。

 しかし、事務長の傍らで「居宅訪問して、ナイトケアまで、いっぱいいっぱいだった」生活を5年続け、「収入は増えたが、子供と会うような自分の時間がない」。何かを変えようと家族で考え始めた矢先に起きたのが、東日本大震災。「タイミングだと思った」。


 「一度は海外にと決めていたものの、全く英語はできなかった」が、震災の1か月後にはもう、芝崎家族はフィリピンのセブ島にいた。保健師だった奥さんと「お互い専門職だから仕事はあるだろうと変な自信」をもって、2か月缶詰で英語を学んだ後、向かった先は「四季があって原発がない親日のニュージーランド」だった。

 現地でも語学学校に入ると、日本でドロップアウトした知的障害や発達障害を抱える子もいた。逆に語学学校から専門職として相談を受けることもあり、「本当に仕事はあった」。

 それ以上に、「仕事は夕方に終わり、ビーチでビール。週末はだいたいパーティ。毎日夜中まで休みなく働いていた自分を見直す機会になった」。手厚い福祉国家を背景に、収入面で「贅沢しなければお金の心配がない」から余裕もって仕事を融通したり、長い休暇もとれる。また、日本のように細かく寄り添う社会福祉“サービス”はなくても、「本当に迷惑をかけるような事案でない限り、地域で面倒を見合っている」。

 芝崎さんにとって、働き方のみならず、自身が手掛けてきた社会福祉“サービス”の本来のあるべき姿を問われた。


 その後オーストラリアにも滞在して帰国した日本では、やっと「障害者の就労支援が活発になっていた」。改めて就労移行支援事業所の責任者として他機関で経験を積んだ後、ご自身がかつて立ち上げた法人に戻り、現在運営する就労継続支援B型事業所『Kauri』を立ちあげた。名前の由来は、ニュージーランドの「神の宿る木」。



 就労継続支援といっても、「単に作業をこなしてもらって、終わりじゃない」。自前でも請負でも幅広く仕事を揃えて、「毎月面談もすることで、成長を促し、より生活を充実させてほしい。また成長に応じて工賃も引き上げたい」。

 そのためには「現場の利用者さんに関わっていく時間が欲しい」が、制度上、様々な事務管理に時間が取られる。だから、なんと芝崎さんは、業務を効率化させるための業務支援システムの制作にまで携わり、自身の事業所に導入した。芝崎さんが名付け親にもなった支援システム『ポチパス』はその後、主開発企業の取り組みにより、リリースから7-8年で900もの事業所に導入された。今後は、さらに書類整理支援(ファイリング)システムも新たにリリース予定だ。



 大学時代から起業を志しながら、経験を積み、福祉分野で起業した芝崎さんは言う。「“仕事”は“志事”だと思っています。起業には“志”が必要、そしてそれを続けることが必要。そして、何より利用者さんに丁寧にしていくことが基本」。ある起業家も言っていた。「当たり前のことを当たり前にやり続けることが一番大事で、一番難しい」と。

 最後に、ニュージーランドを思い出すように話してくれた。「小さなビジネスがいっぱいあるのはいいですよ。それぞれのペースでお互いに顧客を預けたり助け合ったり、地域が豊かになる」。

 起業に大きいも小さいもない。志があって続ける自信があれば、起業できるよ。芝崎さんの話はそう背中を押してくれている気がする。みんなで地域や社会を豊かに。





ここまで読んでくださった皆さまに‥


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