【て #1 / あし #16】誰かの役に立てば、人生に意味がある
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manaさん
圧倒的に心が強い。
manaさんにお話をお聞きした後の率直な感想だった。
「苦労してきたけれど、小さい頃から生きていればいつかきっといいことがあると思っていました。それが今やっと起きていて、プラスマイナスゼロどころか、これからもっと幸せになれると思っています」
お二人のお子さんを育てながら取り組むmanaさんのカウンセリングには、障害のあるお子さんをもつお母さんや、虐待や性被害の当事者など、多様な方が相談に来られる。その理由は、manaさんがそれらすべてを経験しているから。そして、それを乗り越えたからだ。
manaさんは、四肢障害と口唇裂をもって生まれた。15回もの手術を行ったが、中指・薬指・小指は数センチしかなく、関節がなく曲げることのできない指もある。また、足の指も同様に短く左右の大きさが違い、右足の一部は手術の後遺症で、痛い・痒い・熱いといった感覚がない。
家庭では「生まなければよかった」「手足を隠しなさい」とまで言われ、虐待も経験した。家の外に出れば、手足のせいで小学校からイジメを受け、知り合いが誰もいない中学校に進学しても「手を見られれば、いつも一人になった」
それでも、変えられる自分を変えようと、外見を磨き、猛勉強した。高校から初めて友人と遊びに出かける世界を手に入れた。
しかし、大学時代に性被害にあったことで、就職後もトラウマに苦しみ、心身の状態を壊してしまう。でも、周りに性被害の背景を説明できるわけもない。誰にも理解してもらえない時に職場で出会ったのが、現在の旦那さんだった。
最初は手さえ隠していたが、意を決してトラウマを打ち明けても否定せずに受け止め、manaさんが何度「死にたい」と言っても支え続けてくれた。旦那さんのお兄さんは両耳が聞こえないそうで、「障害のある人への抵抗がないから結婚できたのかも」とmanaさんははにかんで話してくれた。
そんな旦那さんとの間に生まれた息子さんが、ほんの些細なことからひどいイジメにあったことがある。学校は真剣に取り合ってくれず、転校した先の学校でもひどい対応を受けた。manaさんは、そんな経験から感じたことがある。
「自分ごととして親身になってくれる方は、残念ながらほとんどいない。相談する方もそれに気付いてしまうし、同じ立場になったことがない人に相談しても仕方ないって思ってしまう」
だからこそ、同じ立場になったことがあるmanaさんだったら、自分ごととして親身になってくれると、manaさんのもとに相談者が訪れるのだろう。
manaさんは、自分の経験が「誰かの目に留まり、傷ついている人の心に届くことを願って」、これまで発信を続けてきた。その中で「嫉妬や嫌がらせに悩んだこともある」が、それでも「がんになって、あと何年生きられるかわからないと思ったら、気にならなくなった」
manaさんは2022年に胸にしこりが見つかり、2023年に右乳がんを全摘した。
それでも、「障害をもって生まれたけど、がんにもなったけど、幸せになった人がここにいるよと伝えたい」。自分の経験が誰かの役に立てば、「生まれてきたことに意味がある」と思えるから。
「このように取材をしていただけることや、当事者の方にカウンセリングに来ていただけているおかげで、私は今まで頑張って生きてきてよかったと思えるのです。」
manaさんは、同じ乳がんを患った歌手の麻倉未稀さんとXでつながり、実際に会うことができた。ドラマ『スクールウォーズ』の主題歌『ヒーロー』を歌った方であり、その歌詞には、こうある。
You need a hero
傷だらけのヒーロー誰でも
悲しみに 振り向いたら
明日が見えないよ
例え、誰かにとって傷ついた経験でも、いつかそれが他の誰かにとってのヒーローになる。過去ではなく、未来を見よう。manaさんはそれを実践している。
Inclusive Hubもそんな経験の流通に貢献したい。
ここまで読んでくださった皆さまに‥
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