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【こころ #60】学びが深い、発達障害と家族のエピソード


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遠藤 光太さん


 「まさに当時の自分にこういう本があったらよかったと思いながら書きました」


 現在はライターとして活躍されている遠藤さんは2022年、『僕は死なない子育てをする - 発達障害と家族の物語 -』を出版した。

 この本には、例えばADHDであれば忘れ物をしやすいなど、「発達障害とはこういうもの!」といった類の抽象的な解説はない。夫であり父親であり働く男であり、そして「発達障害“も”ある自分がどう生きてきたのか」、遠藤さんの具体的なエピソードが積み上げられている。

 障害を個人側ではなく、おもに社会によって作られたものと考える「障害の社会モデル」という考え方がある。遠藤さんはその考え方を引きつつ、「発達障害と一言でいっても、その人の置かれている家族や仕事で、特性の現れた方が違う。だから、抽象的な“情報”も大事だけど、具体的な“エピソード”が大事」と話してくれた。



 遠藤さんは、幼稚園へは登園拒否、小学校低学年で不登校を経験。大学や社会に出てうつ病も患った。新卒で入社した会社は二度の休職を経て退職。『双極性障害(活動的になる躁状態、気分が落ち込むうつ状態を繰り返す病気)』の診断から、いくつも薬を試し、サラリーマンではなく小さく自営業やアルバイトを選択するも、やっぱりうまくいかない。そんな人生だった。

 「何にどう対処すればいいのかわからなかった。学校関係も働き方も色々と試しては失敗して。お金は稼げず、夫婦関係も悪化して」。奥様との離婚や死さえ頭をよぎる生活の中で目にしたのが、『発達障害』を特集するテレビ番組だった。

 テレビに映る「当事者の姿に共感できた」し、そこから色々と関連書籍を手に取れば「それまでになかったフィット感が得られた」。こうして、遠藤さんは26歳で初めて、『発達障害』の診断を受けた。「指針が見えた気がした」


 「診断を受けて一人でホッとすることと、それを周りに受け入れてもらうことに、タイムラグを設けた」。遠藤さんは、誰にどう伝えればわかってもらえるか、主治医と一緒に、自分の中でも考えた。

 診断名がわかれば、それを盾に「わかってくれ!」と言い寄りたくなることもあるかもしれない。しかし、遠藤さんは、発達障害を通じて自身のコミュニケーションの癖も理解していた。だから、奥さんには、最もわかりやすかった関連書籍の読んでほしいところにだけ付箋を貼って渡した。さらに、発達障害の旦那さんと離婚した方に夫婦で会いに行くことまでした。

 「何でも周りが受け入れてくれるわけじゃない。家族や会社など枠に縛れば、逃げ道がなくなる。相手に逃げ道という選択肢を示した上で、それでも夫婦でいることを選んでくれるのなら一緒にいてほしかった」


 冒頭の遠藤さんの著書の中に、奥様に関するこんなくだりがある。

 「発達障害に理解のある奥さんでいいですよね」と言われることに対して、奥様がこう答える。「この人はこういうときこれ言ったら怒るよね、というのは、パパだけでなく誰にでも思うこと。もし発達障害を理解してほしいと言われたとしても、ピンとこない。一人ひとり違うから」

 まさにこの発言が本質だと感じた。「障害」ではなく「特性」なのだ。それを双方で理解しようと努めるかどうかで「環境」は良くも悪くもなる。これは「障害」で括るべき話ではないのだ。


 そして、もう一つ、遠藤さんのお母様に関するくだりもご紹介したい。

 遠藤さんが幼い頃は当然、今のように発達障害の情報がなかった。お母様は、慣れない場所が苦手で怖がっている遠藤さんを、ディズニーランドの乗り物でも、学校でも無理に行かせようとした。そこに本人の視点はなく、大人の都合で接してしまったと、その頃を振り返って謝るのだ。

 何より、その後だ。遠藤さんが発達障害とわかったときに、「原因はこれだったのか!」と感じ、「対処がわかれば大丈夫だと妙にホッとした」とも話している。
「障害」ではなく「特性」と、それへの対処がわかれば、誰が悪いわけでもない、「環境」を変えられるのだ。


 こうした「特性」への理解に努め、どうやって「環境」をつくっていくか。
 そのヒントが、冒頭でご紹介した、「抽象的な“情報”も大事だけど、具体的な“エピソード”が大事」という遠藤さんの言葉にあるのではないか。

 「“普通”という概念を見直してみてはどうか」と話す遠藤さんは、「こうあるべきに縛られて苦しんでいた。でも、そこから目をそらしてみたら楽になった」とご自身を振り返る。

 抽象的な“情報”を「普通」と捉えることもまた罠になり得る。そこに縛られない、目をそらせる様々な“エピソード”があってこそ、自分の「特性」を相対化し、「環境」をつくるヒントを選べるのではないか。

 遠藤さんも、著書の最後で「発達障害の現れ方は人によって異なり、考え方も置かれた環境も違う。だから、僕の経験してきたことを誰かに押し付けたくない」と書かれている。


 Inclusive Hubメディアの取り組みも、そうした様々な“エピソード”の集合体になれれば嬉しい。でも、まずは遠藤さんのエピソード集である書籍を読んでみてほしい。障害に関わらず誰にとっても参考になる特性や夫婦関係や親子関係のヒントに溢れているから。





ここまで読んでくださった皆さまに‥


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