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#68 まちづくりの『キャラ診断』

2024年6月某日

社会人としての経験を重ねていくと、なまじ知識や経験が蓄積されてくることもあり、様々な言葉の定義や文脈に敏感になってしまう。かつては、さささっと斜め読みしていた本や文書について、いちいち立ち止まって考えてしまう半端な教養を身につけてしまった。仕事は遅々として進まないが、知的生活としては、とても楽しい。

さて、筆者は地域活性化にかかる事業の企画を生業としているが、ひとくちに「地域活性化」といっても様々な活躍の「空間」があるように思う。少し紹介したい。

例えば、「まちづくり」に関連する仕事をしていると、大きく2種類の人々と出会う。 1つは、都市計画やPPP/PFIによる施設整備や運営など、まちを「都市工学」っぽい視点から捉えている人々である。2つは、地域コミュニティをつくったり、カフェやマルシェを運営したり、まちを「社会学」っぽい視点から捉えている人々である。いずれも「まちづくり」というキーワードで括られるものの、求められるスキルセットが結構違っていて、想像以上に分離しているようにも感じる。

筆者は、学問的背景が経済・経営という、社会科学の領域であることもあり、どちらかというと後者の、「地域コミュニティづくり」とか「価値循環」とか、ちょっと抽象的・概念的な議論の中でキャリアを育んできた。

しかし、最近では、地域のコミュニティづくりとか、概念的なプラットフォームづくりみたいなものが一巡している感じもあり、その次のフェーズとして、コミュニティやプラットフォームを「格納する空間」みたいなものに、あらためて交差する局面にさしかかっているような気がする。そのため、やはり公民連携やPFIなどのハード活用系の知識習得や、地域デベロッパーなどとの連携・協業が必要になっていると感じる。



一見すると、「都市工学派」と「社会学派」は分断しているようにも見えるのだが、とはいえ、行政が保有する施設の指定管理者として、コミュニティづくりに長けた事業者が参画することだってあるし、 地域に施設を整備しようと思ったら、地域コミュニティからの意見を聞くことも必要である。

要するに、都市工学派も社会学派も、業界的に溶け合う方向に向かっているし、それぞれの業界で活躍する人材の「溶け合う努力」にも期待したいものである。「私はハード整備やファイナンスのことはわからないから、コミュニティデザインやります。」のような、「食わず嫌い」はもったないため、あらゆる地域活性化に向けた「手段」をバランスよく学ぶ姿勢が大切だと思う次第である。

地域活性化とは、「地域」という専門領域しか規定しておらず、その中で求められる知識・スキルは、まさに「総合格闘技」なのである。知らんけど。

ほなら。


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