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君の事

25
日常に追われて、時々忘れそうになるので。 大切な人との出会いを記録します。
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#28歳

早期決戦

やり取りを初めて1週間ほど経つ頃に

ご飯でも行きませんか?

とLINEがきた。

わかる。

私は部長を知っているけれど
部長は私を知らない訳で

会ったこともない人と
連絡をとるのは
気がのらないだろうし

高校生じゃないんだから
いつまでも
LINEだけのやり取りを
続けている場合ではない。

1度会ってお話ししてみるのが
30手前の私達にとって
最善で最速である。

会ってみて
なんか違

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部長

一緒に見ていた軽音楽部の友達に
あの人は誰かと尋ねると
軽音楽部の3年生の部長だ
という情報が得られ
ライブが終わるまでずっと
私は部長を目で追い続けた。

当時最先端だったドコモのガラケーの
粗すぎるカメラで
ライブの動画を撮っていたので
帰宅後もニヤニヤしながら
何度もその動画を見た。

私はそのお気に入り動画を
何人かの友人に見せたが
あまり良さを理解してもらえないことが
大半だった。

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出会いの場

初めての婚活パーティーは
ストレスでしかなかった。

会場に着いた段階で
全体を見渡したけれど
私が求めているような人はいなくて

横にいる友人も
私と同じ顔をしていたので
無言でアイコンタクトをとって
早急に切り上げることが決まった。

人見知りの私にとって
興味のない知らない相手と話すのは
想像以上にストレスで

初めのうちは相手に合わせるよう
頑張れたが
途中から相手への興味のなさが
モロに

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それからの事

両親は2ヶ月弱で出戻った娘を
何事もなかったかのように
普通に迎え入れてくれた。

私の部屋は変わらずにあったし
持って行った荷物も少なかったので
引っ越しの片付けはすぐに終わり

まるで私は
少し長めの旅行にでも
行っていだぐらいの感じて
なんの違和感もなく
以前の日常に戻った。

年の瀬に祖父が亡くなった。

私が帰ってくるのを待ってたんだよと
母は言った。

葬儀や片付けで
バタバタした年末

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8年

彼とは別れる。

答えはとっくに出ているのに
踏み出す勇気がなかった。

私はタバコを吸う人とは
絶対に結婚しないと決めていた。

彼との同棲は
結婚への助走段階であったので
結婚する予定のない相手と
28歳の私が
これ以上一緒にいる理由は少しもない。

私は彼の事が

好きではなかった。

彼から好きだと言われたら
「ありがとう」
と返した。

彼に好きかと聞かれたら
「嫌いじゃないよ」
と答え

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想定外

彼と別れたのは
同棲を始めてもうすぐ2ヶ月経つ頃だった。

同棲をするにあたって
アパートを借りる場所は
彼の職場の近くにしようとなったので
私は引越しを理由に
当時嫌で仕方なかった職場を
寿退社的なかたちで円満に辞めた。

私は28歳で無職だった。

彼はお金がなかったので
同棲を始めるにあたっての資金は
半分以上私が出していた。

8年も付き合っていたので
もちろん結婚も意識していて
家具や家

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結婚適齢期

彼の事は好きではなかった。

違う。
嫌いではなかった。

嫌いではないから特に別れる理由もなくて、
特に別れる理由がないから
結果8年も一緒に過ごすことになった。

8年も一緒にいるんだし、このまま結婚するんだろうなと周りも思っていただろうし、
もちろん私もそう思っていた。

別れは私から告げた。

じゃあ何が絶望なのかというと
彼と別れる事で
私が失ったものが多すぎたから。

彼と別れてしまっ

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