【第1話】「誰と成功したいか?」ではなく、「誰とだったら、たとえ失敗したとしても後悔しないか?」という生き方

2年間にわたるフランスでの一人暮らしを経て、新卒で電通に入社して以来、25年とちょっとが経った。電通のストプラ→サイバーエージェント常務→T&G取締役営業統括本部長→Tabio執行役員→ストライプインターナショナル執行役員→ベクトル執行役員→リノべる副社長→ソウルドアウト取締役CMO。カンヌライオンズでブロンズをいただいたり、広告電通賞で2年連続で受賞したり、もちろん、ACCなんかも、、、。

僕の経歴をみて、「ピカピカですね。」とか「アメリカやヨーロッパのエグゼクティブみたいですね。」と言ってくれるひとが少ながらずいる。でも、、、本当は、ぜんぜんピカピカでもなく、むしろ、その反対で、めちゃくちゃドロ臭く地べたをはって生きてきた。「死ぬこと以外はかすり傷」というつもりで生きている。謙虚に言っても、そんじょそこらにあるいわゆる「ハードシングス」なんてレベルではない。正直、そういうのを見ると、「、、、で?それが何か?」って心の中で言ってしまう自分がいる。

「人とは違う選択と生き方をしよう」と決めたのが17歳の頃。それからの人生は「誰かや何かに迎合しない強さを身につける旅」のようなものだったかもしれない。「誰かに好かれよう」なんてことを考えることも、「誰かや何かと比べるようなこと」もしなくなると、ある境地に行き着く。「自分は、生きているんじゃない、生かされているんだ」とか、「お金が身の周りにあることで満たされる幸せなんて実はちっぽけで、『あなたが好きだから』と言ってくれる人や『あなたが好きだから』と思える人に囲まれて生きれたら、幸せな人生になれる」というという境地に。「群れず孤高、美しき異端者たれ!」という言葉に出会ったのが、社会人になった93年の春。それ以来、ずっと追い求めてきた世界がなんとかく見えてきた2020年初春。

フランスで暮らしていた20歳の頃に出会ったJ.M.Gル・クレジオというノーベル賞作家の「黄金探索者(Le Chercheur d'or )に書かれていた「黄金を探し続けた末に行き着いた境地。それは、一番大切で見つけたかったものは黄金なんかではく、黄金を見つけるために失った大切な人だった」という意味も。T&Gで5年間年休4日でやっていた時に至った「『誰と成功したいか?』ではなく、『誰とだったら、たとえ失敗したとしても後悔しないか?』という生き方も。「星の王子さま」で有名な作家サン・テグジュペリの「夜間飛行」の中にある「愛とは、見つめ合うことではなくって、同じ方向を向いて共に歩いていくことなんだよ。」ということも。彼が「船をつくりたければ、木こりに森であれこれ細かな指示をする前に、大海原で航海をした先に広がる世界を語れるのがいい」ということも。祖父や祖母、そして、両親が黙って僕や家族にしてくれたことも。1,000人以上の社員の顔とフルネームが一致していた頃に「いつも見てくださっていてありがとうございます。がんばれます!」といってもらっていたことも。延べ数百の方々のご自宅で、ご両家両親と新郎新婦様の心の声をきかせていただいていたことから見えた境地も。Tabioにジョインする前の2か月間、100店舗以上で接客を受けて買い物をした時に見えた「顧客起点マーケティング」の境地も。ブランディングの仕事のなかで創ってきた「人の心がその根底から動くアウトプットとそのプロセスも。それらが、すべてすべて、つながっていることに気づき始めた、2020年の初春。

働き方改革、パワハラ、、、、。本当は大切なことを言いにくい環境にもなってきた。もっと大胆に発言や発信をした方が良い人が、どうしても臆病にならざるえないような環境になってきている。でも、そんなのクソくらいだ。そんなことを気にしていたら、不透明・不確実・複雑・不安定な時代に、新しい価値=意味を生み出していくような、人が幸せになっていくような、意味のあるサービスやモノ、そして、クリエイティブを生み出すことなんて、絶対にできない。明るい未来も遠ざかる。

忘れもしない2000年4月、「美濃部くんは情熱が半端ないから、電通ではそれを消化しきれなくって、飛び出すんだよね。」って言ってくれた、尊敬するT先輩。そうです、それから、一心不乱に、我武者羅にやってきました。時には「狂っている」と批判されたり、時には「クレイジーですねー!」って褒めていただいたり。成功も失敗も、それぞれが沢山あって。プラスマイナス、ちょっとプラス。そんな軌跡を、実体験や実例も含めて、ここに綴っていきたいと思います。

「群れず孤高に美しく」に、ちょっとでも近づきたいなーと思いながら生きてきました。今は、想いが長続きしそうな人のために、できることを尽くしていたら、好きだって言ってくれたり、そう思えたりする人が増えていきそうで、それが楽しみ。そのために前と上を向いて頑張ろう、少なくとも死ぬまでは。という感じです。もしよければ、よろしくお願いします。

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