三島由紀夫『豊饒の海』について
今年こそは三島由紀夫『豊饒の海』を読んでいきたい。そう思っていたのだが、このシリーズはとても長い。難しいというのが本音である。
しかし、可能な限りやってみることにした。週1, 2本のペースで投稿していく予定だ。基本的には『春の雪』から順番に扱っていくことになるだろう。
感想記事に関する注意
ただ、ひとつ注意点をご報告したい。『豊饒の海』を読了なさってから、記事をご覧になってくださると幸いだ。
順番に読むと申し上げたものの、文章の引用はなるべく自由にやっていきたい。たとえば『春の雪』の感想記事で、『奔馬』以降の文章を引用する場面が出てくるかもしれない。必然的にネタバレが生じる。よって、全編通読してから、記事をお読みになることを推奨したい。
引用に用いる本について
本来は全集から引用すべきだろうが、文庫本でご容赦いただきたい。
本文については上記の4冊から引用することにしたい。引用する際には、作品名とページ番号を記す。他の書誌情報は省略したい。
『春の雪』冒頭
注意書きを続けてもつまらない。早速、本題に入ろう。
『豊饒の海』というシリーズ全体を通して重要な人物となるのが、本多繁邦である。一方『春の雪』の中心人物は、松枝清顕だ。
ポーツマス条約の調印によって日露戦争は終わった。1905年の9月のことである。2人はそのときに11歳だったとあるから、彼らの誕生年はおおよそ1896年(明治29年)だと推測される。
※簡単な引き算を間違えていました。大変申し訳ないです。1894年ですね。お詫びして訂正いたします。
まずは2人が生まれた1896年の周辺について、整理してみたい。
※当然ながら1894年について書いていきます。
2人の生まれた1894年について
1894年(明治27年)といえば、日清戦争(1894.7-1895.4)が勃発した年である。翌年の1895年に下関条約が締結され、終戦を迎える。
戦勝ムードに沸きつつも、仏独露の三国干渉に水を差され、欧州列強と自国との立場の違いを知る――言い回しは乱暴かもしれないが、当時の国民感情はそんなところであっただろう。
日本文学の作家から挙げれば、西脇順三郎(1/20)、葉山嘉樹(3/12)、江戸川乱歩(10/21)と2人は同い年。志賀直哉や武者小路実篤、谷崎潤一郎、芥川龍之介は2人の先輩であり、横光利一や川端康成、徳永直や宮本百合子は2人の後輩ということになる。
細かい年表については、下に記しておきたい。作家の生年について、2人の十年前後、取り出してみた。
こんなペースにはなるものの、ぜひ『豊饒の海』をゆっくりと読んでいきたい。
※登場人物の生年を誤解していた点について、お詫びして訂正いたします。
【追記】記事の続きができました!
三島由紀夫『春の雪』を読む【ネタバレ有】|水石鉄二|note
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