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観光あり、ご当地グルメあり、マスコットあり。仕事ぬきで旅とフットボールを楽しんだ日々〜わが家の「特別でない夏」を振り返る

 西新宿の百合子が言うところの「特別な夏」が終わろうとしている。とりあえず今年は、取材も旅行も実家への里帰り(といっても都内だが)も断念。「命に関わる危険な暑さ」の影響もあり、さながら緊急事態宣言のときのようにカミさんとステイホームを続けていた。2020年の夏は、永遠に忘れることのない夏になりそうだ。

 今年が「特別な夏」でなかったら、わが家は例年のように旅に出ていたはずだ。iPhoneのアルバム機能を開けば、毎年この時期の思い出が次から次へと蘇ってくる。観光あり、ご当地グルメあり、マスコットあり。仕事ぬきで旅とフットボールを楽しんだ日々。前回のコラムとは真逆のテーマで、今回は個人的な「特別でない夏」を振り返ってみたい。

宇都宮徹壱ウェブマガジン
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【2019年 松本】

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 以前、こちらに書いたとおり、去年の今ごろは信州松本の夏をとことん堪能していた。松本城と旧開智学校という2つの国宝を訪れ、山賊焼きや信州そばをいただき、アルウィンではガンズくんとグランパスくん(金)の共演に興奮し、そして松本山雅FCと名古屋グランパスの試合を楽しんだ。わが家はカミさんが名古屋ファンということもあり、毎年のように旅とフットボール観戦をセットで楽しんでいたのである。

【2018年 熊本〜鳥栖〜長崎】

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 2018年の夏は、暑い盛りの中、あえて九州を目指した。まずはロアッソ熊本のホームゲームを観戦し、翌日は熊本城を散策。2年前の地震発生以降、地道な復旧作業が続けられているが、石垣や屋根はまだ崩れたままだった。ささやかな募金をさせていただき、さらに加藤神社や監物台樹木園を散策する。

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 鳥栖では、サガン鳥栖のサポーターで僧侶でもある、すがんとすさんのお寺に一泊。ここを訪れるのは、2年前の鳥栖フットボール映画祭でお招きいただいて以来のこと。鳥栖サポの皆さんとの宴会を楽しんでいたら、鳥栖の非公認マスコット、ガタゴロウが登場して私もカミさんも大満足。

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 鳥栖から長崎に入り、雲仙で温泉につかってからバスで島原に移動。ちょうど終戦の日だったので、正午にサイレンが鳴り響いていた。島原城に上って、市内を俯瞰する。そういえば高校サッカーの名将として知られる小嶺忠敏先生は、島原商業を指導していた頃に城の天守閣からグラウンドを睥睨し、サボっている学生がいないか確認していたそうだ。

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 島原鉄道に乗って、終点の諫早で下車。駅近くで荷物を預かってもらい、臨時バスに乗って、トランスコスモススタジアムに向かう。ちょうどV・ファーレン長崎がJ1に所属していた年で、鹿島アントラーズを迎えてのホームゲームが開催された。試合前、戦没者への黙祷を捧げてからキックオフ。この日は県内各地で、精霊流しが行われていた。

【2017年 名古屋〜浜松〜清水】

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 2017年の夏は「豊田スタジアムで名古屋の試合を見たい」というカミさんのリクエストに応えるべく、新幹線のぞみで名古屋へ。試合までは観光しようということで、バスに乗って徳川美術館に向かう。まずは庭園を散策して、それから収蔵作品を鑑賞。カミさんは茶道具がお目当てだったが、私は池の鯉に夢中になってしまった。

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 名古屋から豊田に移動。18時より豊スタにて、名古屋対松本の試合をバックスタンドの3階から観戦する。この年の名古屋は、初めてのJ2を経験。1年でのJ1復帰を目指すべく、監督には風間八宏を招聘し、元日本代表の佐藤寿人やガブリエル・シャビエルといったタレントを補強している。試合は5−2で名古屋が勝利した。

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 翌日、名古屋から浜松に途中下車。ジュビロ磐田サポの友人の案内で、『オルタ・リストランテ』というイタリアンでランチをいただく。ピエモンテ地方の料理がメインで、磐田の選手もよく訪れるとのこと。生ハムやリゾットがあまりにも美味しかったので、イタリア人のシェフと日本人の奥様を撮影させていただく。

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 浜松から電車とバスを乗り継いでAIAスタジアムへ。清水エスパルス対柏レイソルの試合を観戦する。この日は柏の伊東純也がキレキレで、4−1でアウェーの柏が勝利した。敗戦に肩を落とす清水サポに、こパルちゃんが優しく手を振って見送る姿が実に健気。バスに乗る直前には、カミさんにもハイタッチしてくれた。

【2016年 東京】

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 2016年の夏は仕事が忙しかったようで、珍しく都内に留まっていた。8月21日(現地時間)のリオデジャネイロ五輪の閉幕式では、安倍晋三首相がスーパーマリオを演じたり、俺たちの百合子が着物姿で五輪旗授受のセレモニーに登場したり──。4年後のことを思うと、この頃は誰もが無邪気の絶頂にあったように感じる。

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