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桜島を臨みながら明治維新を想う〜フットボールの白地図 by OWL Magazine【第10回】 鹿児島県

<鹿児島県>
・総面積
 約9187平方km
・総人口 約159万人
・都道府県庁所在地 鹿児島市
・隣接する都道府県 熊本県、宮崎県
・主なサッカークラブ 鹿児島ユナイテッドFC
・主な出身サッカー選手 片野坂知宏、前園真聖、城彰二、遠藤保仁、那須大亮、大迫勇也、大迫敬介

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「フットボールの白地図」を塗りつぶしていくプロジェクト。前回は、多様性と土着性がせめぎ合う青森県を取り上げた。今回はOWL Magazineへの転載という形で、本州最北から九州最南の鹿児島県に、思い切った反転を試みることにしたい。

 実は鹿児島は、私の父方の祖父の故郷だったこともあり、以前より強いシンパシーを抱いていたのだが、なかなか訪れる機会がなかった。初めて鹿児島の地を踏んだのは2014年の夏。前回の青森県と同様、カミさんとの旅行だったのだが、この時はJFL時代の鹿児島ユナイテッドFCの試合を観戦している。

 鹿児島は幕末・明治の歴史と大自然、そしてフットボールも身近に感じさせる県でもある。今回ご紹介するのは鹿児島市内が中心だが、これほど見どころの多い観光地も珍しい。さっそく、ご案内することにしよう。

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 鹿児島といえば西郷隆盛。西郷像は東京・上野だけでなく、鹿児島市立美術館の近くにもある。軍服姿で直立不動の、やや生硬な印象を受けるが、実は上野の西郷像(1898年)よりも新しく昭和期(1937年)の作。ちなみに市内には大久保利通の銅像もあるのだが、台座に彫られた名前のうち「通」の字が少しずれている。「大久保は通(みち)から外れた」との意味とする説が現地では根強い。

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 かごしま近代文学館に「向田邦子の世界」という展示スペースがある。父親が転勤族だった向田は、少女時代の2年3カ月を過ごした鹿児島を「故郷もどき」と称して懐かしみ、死後ここに彼女の資料が展示されることになった。写真は彼女が生前に使用していた旅行用のトランク。奇しくもここを訪れた8月22日は、彼女の33回目の命日であった。

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 鹿児島本線に乗って東市来(ひがしいちき)という駅で下車。そこからタクシーをつかまえて、薩摩焼の里として知られる美山(みやま)へと向かう。美山には、さまざまな窯元や工房が点在しているのだが、最も有名なのは沈壽官(ちんじゅかん)の窯元であろう。豊臣秀吉の朝鮮出征の際に半島から連れて来られた陶工を開祖とし、以後、15代も続く窯元として知られている。

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