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『ふしぎなキリスト教(著:橋爪大三郎・大澤真幸)〜キリスト教の深層に迫る!対談形式で解き明かされる歴史と真実

【内容】
日本を代表する二人の社会学者が、キリスト教について語り合った対談本。

【感想】
この本は、聖書を読み込んでいく中で浮かぶさまざまな疑問点を、対談形式で深掘りしているものです。巧みなレトリックで対話が進んでいく様子が伝わり、非常に引き込まれる内容でした。また、何度も校正を重ね、対話がブラッシュアップされてきたことが感じられました。
以前読んだ『キリスト教の100聖人』(著:島田裕巳)が興味深かったため、この本を手に取ったのですが、『キリスト教の100聖人』がキリスト教全体を俯瞰する内容だったのに対し、今回の本は、より踏み込んだ議論が展開されています。キリスト教の成立背景や、その後の西洋社会や世界秩序の形成に与えた影響についても詳細に解説されていました。
例えば、ユダの福音書に書かれた「ユダがキリストを裏切ることでキリスト教が成立した」という記述や、ユダが実は当時最も優れたキリスト教徒だったのではないか、という指摘があり、これらはキリスト教徒には言いにくい視点を提供しています。また、キリスト教徒を迫害していたパウロが、最終的にはキリスト教の開祖的な役割を果たしたことや、プロテスタントから体系的な自然科学が成立したという興味深い議論も展開されています。
以前、聖書をトイレに置いて断片的に読んでいたので、内容はなんとなく頭にありましたが、この本を通じて対談形式で深掘りしてもらうことで、聖書の内容がより明確に理解できるようになりました。

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000210586

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