質問122:グリップを変えるには? 振り切るには?
回答
▶ポイントは意識的か無意識的か
指が折れて怪我しそうというのであれば、変える必要があると思いますが、もう慣れてしまったというのであれば、あと半年という短い期間を考えれば、変えなくてもよいと思います。
ポイントは、意識的か無意識的か、です。
慣れているというのであれば、恐らくその握り方が無意識的にできていると思うので、そのままで構わないのではないでしょうか。
ですが「変えよう」として握り方に意識的になると、そのぶん、ボールに集中できなくなりますので、一時的に上手くいかなくなります。
▶「イメージ」がフォームに表れている
特にグリップというのは繊細で、1ミリずれるだけでも脳は違和感として感知してしまう恐れがあるので注意が必要です。
「皮膚感覚」というのは、すごいのですね。
目に「見えない」ような小さなトゲや、飛び散るわずかなしずくなども、「感じる」ことができます。
それでも、今のピストルグリップを見直したいのであれば、人差し指を立てるに至った「原因」があるはずなので(支えを強くしたい、ボールをプッシュしたいなど)、それを探って何か違う別のイメージに書き換えると、グリップは自ずと変わってきます。
たとえばですが、人差し指を立てずに握り込むハンマーグリップのほうがリストワークを利かせやすいメリットなどがイメージされると、改まりやすいでしょう。
▶「正しいグリップ」など、この世に存在しない
とはいえ、ハンマーグリップが正解というわけではありません。
常識的なテニス指導ではまことしやかに、「これが正しい握り方」「間違った握り方」などささやかれますけれども、この世に「正しいグリップ」など存在しません。
こういうと、「では、人差し指と中指で挟むようなムチャクチャな握り方でもいいのか!」などと反論する人もいますけれども、それはこちらで述べた「逆立ちしながら打ってもいいのか!」という話と同じ俎上の、意識しないとできない無理筋なのですね。
「正しいグリップ」などこの世に存在しないのです。
プレーヤーの保有するイメージに基づくグリップ(フォーム)が表面化していますので、無理やりハンマーに形だけ改めても、上手くはいきにくい。
サーブは「コンチネンタルグリップだ」と頭で理解しても、イメージが伴わなければ初心者だと厚い握りにやっぱり戻るのと同じです。
グリップやフォームというのは、イメージが表面化した形にすぎません。
ですから、大元の原因となっているイメージを書き変えることで、グリップやフォームは自然と変化します。
▶振り切れないのは、バックアウトが「怖い」から
フォロースルーも同じですね。
スイングを止めてしまう大元になったイメージがあるはずなので(バックアウトを恐れすぎるイメージがある。特に硬式テニスの初期段階に形成されやすい)、その「原因」となった部分にメスを入れるのです。
(本人も気づかない領域で)結果を気にしすぎていると、疑われます。
たとえば「向こうのバックフェンスにダイレクトでぶつける」ような、バックアウトを意識しなくてもよいようにイメージを変化させる取り組みにより、上手くいく(場合があります)。
逆に言えば、イメージが改まらなければ、どんなに表面的にグリップやスイング、フォームを変えようとしてみても、一時的には変わったとしても、持続的ではありません。
▶フォロースルーは打球に一切の影響を及ぼせない
また、振り切ることと、ストロークがよくなることには、相関関係はありません。
よくなる方法は後述します。
振り切ればスピードが出る?
あるいはスピンがかかる?
または狙う方向に振り抜けば、そちらへコントロールできる?
そのような単純な話ではありません。
打球してラケット面を離れたあとのボールに、どんなフォロースルーをしても、スピードや勢いを後押ししたり、方向性を整えたりする効果は一切ありません。
むしろフォロースルーなどないほうが、対戦相手からの返球に素早く応じれるとさえ言えます。
ですがフォロースルーは自動車にたとえると制動距離ですから、無理やり止めるのは「危険」なのです。
▶良いストロークを打つコツは打球タイミング「だけ」
フォロースルーは、スイングが勢い余った惰性。
それほど神経質になる必要はありません。
それよりも、速いボール、スピンのかかったボール、コントロールの効くボールを打つためには、つまりご所望の「良いストローク」を打つためには、フォームなど一切意識せず、打球タイミングを合わせて打つのです。
「良いストローク」を打つ方法は、打球タイミング「だけ」です。
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