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名作劇場「童話の世界から:日本編」vol.11「うしかたやまんば」

ある日、牛方は浜辺でたくさんの魚を仕入れ、牛に乗せて歩いてしました。
すると峠にさしかかったとき、山姥に「魚をおいてけ」といわれ、追いかけられます。

牛方は怖くなり、魚の荷を投げて、山姥に差し出します。しかし、山姥はまだ追いかけてきて、牛方といた牛まで、すっかり食べてしまいます。さて、牛方の仕返しは・・・

山んばはネズミが嫌いで、ネズミに齧(かじ)られるのを恐れると聞いたのを思い出した。

そこで、牛方は近くに落ちていた木片を取り、これをガリガリ齧りはじめた。

この音を聞いた山んばは、屋根裏にネズミがいると思い、大慌てで釜の中に
逃げ込んだ。べこの仇を撃つのは今とばかり、牛方は屋根裏から下りて、
釜の上に大きな石臼を置き、釜のフタが開かないようにした。

そして、かまどに火を起こしたのだ。かまどの火は勢いよく燃え、さすがの山んばもこの火で焼け死んでしまったということだ。

 『牛方と山んば』は、『旅人馬』と同じ「逃走譚」と呼ばれる民話の一つです。お話の形は、現存する日本最古の歴史書である『古事記』にみられる、伊耶那美のいる黄泉の国を伊邪那岐が訪ねる物語が、その典型だと思います。

それは、イザナギが、最初は黒い鬘、次に野葡萄の実、さらに櫛、最後は桃の実を三個投げつけて、それら投げつけたものが色々な物に変化したことにより追手を退けますが、『牛方と山んば』においても、牛方がさまざまな
知恵を働かせて逃げ延びる点が類似するからです。

また、『牛方と山んば』には、仏教における「生飯」という施食作法が背景にあるのでは?

生飯は、食事の前に餓鬼に施す“ごはん粒”のことで、仏教における実践すべき徳目の一つとされます。

そこに、旅の僧が「鯖」を乞う、阿波国(現在の徳島県)を中心に伝わる「鯖大師」の高僧伝説と結びつけたのではないか?と言われております。

つまり、『牛方と山んば』は、「生飯(さば)」と「鯖(さば)」を結びつけた日本人特有の遊び心から生れたお話ではないでしょうか。

人を喰う恐ろしい山姥に鯖を与えるという行為は、山の神に供物を捧げて
山での安全を祈った、日本古来の風習と結びついているということです。

現在は、千葉 幹夫さんが書いた本が有名なようです。

(ちば みきお、1944年 - )は、日本の児童文学作家、児童文学評論家、妖怪
研究家。

実は『古事記』と「鯖大師」という神道と仏教が交わり合う、日本人の
潜在意識が生み出した民話ではないかともいわれております。


※どうやら軽い熱中症になってしまいグロッキーにて休んでおりました。
原因は外出した時、乗っていた車の中でエアコンの効きが悪く暑い思いをした結果です、僅か2~3時間でのことでしたが・・・。
頭が痛く倦怠感に襲われ最悪でした・・・早く修理しないと・・・。


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