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蔵出し映画レビュー『狼たちの墓標』

『友へ・チング』のユ・オソンに『火山高』や『僕の彼女を紹介します』のチャン・ヒョクと随分と懐かしい名前よりも単純に邦題に惹かれた韓国ノワール映画『狼たちの墓標』。その期待はドンピシャリで、ドロドロの裏切りの連続と血みどろの殺戮は韓国ノワール映画ファンにとっては切れ味鋭いど真ん中の超豪速球ようにビリビリと来る!

基本的な構成はキルソクらの組織内におけるリゾート開発の利権争いと次々と対抗組織の要人を血祭りにあげるミンソクの動きを見る流れ。キルソクの兄弟分に温厚な兄貴分と血の気が多い弟分がいて、揉め事が起こると争いを嫌う会長が子分幹部らを抑える。組織内の争いとのし上がり殺戮劇の合間に漁港の風景や浜辺のオープン酒場で酒を酌み交わすシーンや会長格が亡くなった時の韓国ならではの葬式のシーンなど韓国らしさをピリピリと感じさせてくれる。

中盤に入るとタガが外れたように裏切り、争いまくる組織内抗争に殺戮に暗躍するミンソクなど期待通りの展開。いや、期待以上に人を殺し過ぎて、やや単調な展開にも感じかねない。目指した所はおそらくかつての東映の実録路線とも思え、個人的には嬉しくはあるが、斬新さは薄い。

ある意味満を持しての韓国の二大スターによるしっかりとした濃厚な血で血を洗う韓国ノワール。新鮮味や意外性はないが、これが見たい、という人にはうってつけではある。

 

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