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フィンランドの人・社会福祉・介護 聖書を基として見る

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フィンランドの在宅介護での在職中に250世帯の世帯を訪問。フィンランド人、フィンランドの高齢者介護、社会保障についてを聖書を通してみてみます。1998年よりフィンランド在住。
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普通のフィンランド社会人の生活 フィンランドの人・社会福祉・介護 聖書を基として見る9

普通のフィンランド社会人の生活 フィンランドの人・社会福祉・介護 聖書を基として見る9

 もうすでに様々なフィンランドに関連する書籍、在住者のブログ、講演会、研究などでフィンランド人がどういう生活をしているのかは日本に紹介されていると思うが、それでもここでも一回「普通のフィンランド社会人」の生活をおさらいしてみようと思う。

 フィンランドには豊かな森がある。ヘルシンキで北緯60度に位置し、寒冷な気候はそこで育つ植物、生物を限定する。代表的なのは白樺、ななかまど、オークなどの落葉樹、

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ミンナの場合 フィンランドの人・社会福祉・介護 聖書を基として見る 7

ミンナの場合 フィンランドの人・社会福祉・介護 聖書を基として見る 7

「ミンナ」のストーリーをご覧になるにはこちらから。

https://note.com/teeri/n/n77279d49f98f 

 壮年のミンナは結婚生活の破綻、それに伴う鬱。新しい命の誕生、親の介護というフィンランドでは『渋滞期間』と言われる、仕事、孫、老親と仕事だけに集中するだけではなく、他に助けの必要な家族が出て来た期間を過ごしている。自分の人生、仕事の他に他の世代をアシストする必要が

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社会保障の現実イロナの場合 フィンランドの人・社会福祉・介護 聖書を基として見る 6

社会保障の現実イロナの場合 フィンランドの人・社会福祉・介護 聖書を基として見る 6

イロナの場合

モノローグで登場したイロナの人生を例にあげて、フィンランドの社会保障の内訳を説明していこう。

イロナの物語はここから https://note.com/teeri/n/n909a325d9606

文中に出てくる金額はことわりがなければ2021年の数値です。

出産から幼児期・出産通常分娩の場合費用は2000ユーロ(2019)。そのあとの家族部屋で過ごす時間、その間の食費は有料。

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社会保障の歴史と国民識別番号 フィンランドの人・社会福祉・介護 聖書を基として見る 5

「あなたの手に善を行う力があるとき、求めるものに、それを拒むな。」
聖書 箴言3章27節

フィンランドにちょっと長期住む事になった人は必ず国民識別番号が与えられ社会保険省、略してKelaと何らかのやりとりをする事になる。

人間の生き方とスタイルはその時代により変わってくる。そしてそれは常に一定のスタイルを保っている訳ではない。その時代に沿った問題や必要が出てくるのだ。
第二次世界大戦後のフィン

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人生曲線 フィンランドの人・社会福祉・介護 聖書を基として見る 4

人生曲線 フィンランドの人・社会福祉・介護 聖書を基として見る 4

『天の下では、何事にも定まった時期があり、すべての営みには時がある。』
聖書 伝道者の書3章1節

人生曲線先に3人のフィンランド人の女性の生き方を例に挙げてみた。今回は「人生曲線」について書くので、この3人の人生についての解説はまた次回にいたします。

フィンランドの社会福祉の観点から人の人生を誕生から死まで、虹のような形の曲線で表現している。誕生から幼児期、学童~青年期、成人、高齢期そして死と

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シルッカのモノローグ フィンランドの人・社会福祉・介護 聖書を基として見る 3

モノローグの最後は高齢女性のお話です。
ストーリーはフィクションであり実在の人物・団体などとは一切関係ありません。

シルッカ 90歳『年老いた時も、私を見放さないでください。私の力の衰え果てたとき、私を見捨てないでください。』 聖書 詩篇71章9節

 今日も訪問介護が来て、薬の処置をして帰って行った。訪問介護が通うようになってもう3年になる。訪問介護が始まった当初、私はアルツハイマー病だと診断

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ミンナのモノローグ フィンランドの人・社会福祉・介護 聖書を基として見る 2

今回は中年女性の人生に起ったことを見ていきましょう。
ストーリーはフィクションであり実在の人物・団体などとは一切関係ありません。

ミンナ 56歳『あなたがたの思い煩いを、いっさい神に委ねなさい。神があなたがたのことを心配してくださるからです。』聖書 ペテロの手紙 第一 5章7節

 5週間の夏休みが終わり、人気のまばらなオフィスに戻った。ラップランドにあるサマーハウスにほとんどいたけれど、今年の

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イロナのモノローグ フィンランドの人・社会福祉・介護 聖書を基として見る 1

まずは三人の女性のモノローグをご紹介し、彼女たちの人生を辿りながらフィンランドの社会福祉と聖書の関係をお話したいと思います。この三人の女性の人生は全てフィクションです。

イロナ 0~20歳

『それはあなたが私の内臓を造り、母の胎のうちで私を組み立てられたからです。私は感謝します。あなたは私に、奇しいことをなさって恐ろしいほどです。私のたましいは、それをよく知っています。私がひそかに造られ、地の

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