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spin a yarn

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私の世界はどこまでも平ら、レイヤーの目を入れたり消したりして、時々君の前に現れよう。 石川葉による小さなお話の連作。
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2018年2月の記事一覧

焦がれる

焦がれる

ブランコは止まっている。
遠くに声のする。
空に風船はない。
何に焦がれて、そんなに。
わたしも、今からでも、何かに焦がれる。
乗りつけて、足を投げ出すほどの夢中。

2018.2.27 tweet【spin a yarn】

星を浮かべる

星を浮かべる

小指に太陽の沈む。
人さし指から星の瞬く。
ノクターン。
星を浮かべて弾くといい、と。

2018.2.9 tweet【spin a yarn】

ヒンメリはサチエ作。

星の棲む

星の棲む

瞳の明滅。
星の棲む。
骨が鳴り、荊になる。
唇を噛み、花を添える。
零れる軟骨は星を擬して。
枕に詰めれば眠りの中で、一角獣の星雲まで旅ができる。

2018.2.20 tweet【spin a yarn】

子鹿の跳躍

子鹿の跳躍

ひとまたたきでかわるせかい
ほのおのゆらめき
子鹿の跳躍
ハチドリは食事の間に歌を唄った
「瞬きをすると忘れるの」
スープを飲みながら女の子は歌を唄う

2013.10.28 tweet【spin a yarn】

墓のうたう

墓のうたう

わたしたちは泡になって消える。
声はある、いつかあなたの耳の奥で結晶する物語をうたう。
さらわれる、どこまでも白い波は石膏めいて。
うめくようにうたう、それらは気泡となり、石に刻まれ消えない泡となる。
墓のうたう。

2018.2.9 tweet【spin a yarn】

未知の連続

未知の連続

未知の連続。
世界の豊かなこと。
わたしはあなたの未知になるべく、歌を綴る。
見つけて欲しい、わたしも誰かの未知をたずねる。

2018.2.3 tweet【spin a yarn】