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産地、部位によって変わるカカオの世界を日本で味わった【2023年バレンタインデー】

チョコレートの産地によって異なる味の変化に着目して記事にしました。チョコレートは、同じカカオ成分の割合でも、原料のカカオ豆の産地によって味が変化します。それが、チョコレートに惹きつけられる理由です。今回は、ダンデライオン、八幡屋磯五郎に行って、体験しました。最後に手作りチョコレートで使えるテクニックを紹介したオススメの動画がありますので、チョコレートを作る方は、ぜひ、参考にしてください。チョコレートの結晶構造によって風味がガラリと変わります。詳しくは、最後に貼付する動画をご覧ください。

チョコレートの魅力

 産地によって気候、土壌、品種が異なるため、味が変化します。それが、チョコレートの醍醐味の一つと感じます。カカオを発行させる微生物も土地によってちがいます。4要素がチョコレートの味に影響を与えます。

品種

 チョコレートには3種類の品種があります。それは、クリオロ種、フォラステロ種、トリニタリオ種。
 クリオロ種「スペイン語で自国のもの」は黒っぽい実です。病害虫に弱いため栽培しにくく、生産量は全体の約3-5%という希少種。果実や花のような個性ある香り、苦味が少なくマイルドな味。南米、東南アジア中心に栽培されています。
 フォラステロ種「スペイン語でよその土地の」は、黄色の実です。病害虫に強いため栽培しやすく、生産量は全体の約80%。酸味だけではなく苦味もあり、バランスがよくクセが少ないため、一般的に大量生産のチョコレートに使用され、おなじみの味です。アフリカ、東南アジアを中心に栽培されています。
 トリニタリオ種はクリオロ種、フォラステロ種の長所を掛け合わせたハイブリッド品種で生産量は全体の約15~20%。オーソドックスでありながら、フルーツ、花など独特の風味もあります。香り豊かです。栽培しやすいのも特長。トリニダード・トバゴで生まれたことからこの名前が付き、中南米で栽培されています。

気候

 南北緯度20°以内の範囲は、「カカオベルト」と呼ばれてます。カカオは震災のため、年間の気温差が小さく、年平均気温が27℃以上あり、年間降水量2000mm以上で日照時間が短い地域で育ちます。高校地理で学んだ赤道直下の熱帯雨林気候の地域であればカカオは育つと思っていましたが、そうではありません。中南米、アフリカ、東南アジア、オーストラリアなど産地は点在しています。日本でも小笠原諸島で栽培されています。生産量が少ないため、まだまだ希少価値の高いチョコレートです。

土壌、地形

 火山灰由来の粘土質の土壌で栽培できます。特徴は、水はけのよさ。また、土の成分によって味も変化します。アルミニウムなど、土壌の成分も土地によって異なるのです。

つくりたいチョコレートの味に合わせて産地、品種をブレンドしたり、素材の味を活かしたいときは、ひとつの産地でとれたカカオのみ使用します。これを「シングルオリジン」と言います。

主な産地

中南米→エクアドル、ブラジル、コロンビア
アフリカ→コートジボワール、ガーナ、ナイジェリア
東南アジア→インドネシア、ベトナム

ダンデライオン

 都営地下鉄半蔵門線蔵前駅から徒歩3分のところにあるカフェ。チョコレート専門店でドリンクだけではなく食べ比べメニューも充実しています。1階にある工場で作られたカカオの産地によって風味の違うチョコレートをお土産に購入できます。
 今回はスイーツ5種盛り(シェフズテイスティング)、カカオフルーツスムージーをいただきました。この2つのメニューでカカオの魅力を充分堪能できます。

一口サイズでじっくり味わえるチョコレートの世界

 スイーツは右からフィナンシェ、クレームブリュレ、タルトシトロン、プロフィットロール、ジュレドカカオフルーツ

フィナンシェ(エクアドル産)

 チョコレートの味をダイレクトに感じられました。ホロホロほどけます。

クレームブリュレ(グアテマラ産)

 表面のキャラメルはパリパリ、苦味もありで濃厚です。

タルトシトロン(ベリーズ産)

 爽やかで酸味が効いています。フルーティーさも感じ、口の中がリセットされます。

プロフィットロール(タンザニア産)

 一口大のカカオシュークリームのような見た目。一口食べると、ナッツのような濃厚さがひろがりました。

ジュレドカカオフルーツ(ブラジル産)

 上は、ラズベリーのジュレ、下がカカオフルーツ。カカオフルーツは、チョコレートの原料となるカカオ豆を包んでいるふわふわの白い実のこと。栄養もチョコレートと異なります。糖質とビタミンB1が豊富に含まれており、疲労回復や朝の栄養補給にぴったり。一方、チョコレートに豊富に含まれるカカオポリフェノールは入ってません。そのため、渋みを感じず、さっぱりとした酸味。香りはマンゴーなどトロピカルフルーツと同じ系統。カカオもフルーツであることを感じさせます。

ファクトリー&カフェ蔵前
営業時間 11:00~18:00
定休日  不定休
アクセス 都営地下鉄半蔵門線蔵前駅から徒歩3分

八幡屋礒五郎

 日本三大七味の一つ。スパイスのノウハウを応用してカカオ豆からチョコレートを作っています。七味に含まれるスパイスを活かしたチョコレートが7種類の味を堪能できる「八幡屋礒五郎七味チョコアソート」がオススメ。チョコレートとスパイスの化学反応が楽しめ、複雑な味わいを感じられます。軽井沢店には、さらに2種類あります。

八幡屋礒五郎七味チョコアソート

ピンク→柚子
 柑橘系の酸味がするルビーチョコレート。柚子の香りとの相性が良いです。

黄土色→胡麻
 香ばしく焙煎した白胡麻のプチプチ食感とマイルドな味わいが広がります。

緑色→山椒
 爽やかな香りのする山椒。トリニダード・トバゴ産のカカオのスパイシーな風味と合います。

オレンジ→生姜
 トリニダード・トバゴ産カカオと合わさり、土の香りとじんわりくる生姜の辛味が合います。

紫→紫蘇
 紫蘇の香りが広がり、ベトナム産カカオのベリーのような酸味と合います。ドリンクを思わせます。

ベージュ→麻種
 香ばしい麻種のプチプチ食感、ニカラグア産カカオのナッツ感。深いコクが味わえます。

赤色→唐辛子
 七味の主役となる唐辛子と、まろやかなコク味のタンザニア産カカオ。最初はチョコレートの甘味、後からやってくるピリッとした辛みが絶妙です。

八幡屋磯五郎 MIDORI長野店
営業時間 9:00~20:00
定休日  MIDORI長野店に準ずる
アクセス JR長野駅すぐ

おまけ

 科学的アプローチでわかりやすくまとまっていてバレンタインデーにも活用可能な動画はこちら。テンパリングのノウハウもこれを見れば、かなり参考になります。

参考文献

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