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「経済成長→世界恐慌」のメカニズム

今日は久しぶりに経済について見ていこうと思います。

今回の参考文献→経済は世界史から学べ

この本は世界史に基づき、経済について書かれた本で、時代の流れと経済の仕組みが合わせて学べるのでお勧めの一冊です。

今回はこの本から経済成長→世界恐慌のメカニズムについて紹介しようと思います。


1.経済成長と株価の連動

日本経済の「失われた20年」を引き起こしたのは、1989年の株価暴落に始まるバブル崩壊でした。それと同じ現象が、1929年の世界恐慌でも起こっています。

第一次世界大戦で連合国を勝利に導き、本国が戦場にならなかったアメリカは空前の経済大国に成長し、世界最大の債権国になります。

貿易黒字に加え、大戦中に買っておいたヨーロッパ諸国の戦時国債の支払いも始まり、大量の資金がニューヨークのウォール街に流れ込みます。

そしてウォール街の金融資本は、これらの資金を企業に低利で貸し付け、企業の経営者は設備投資に資金を投下します。そして産業が発展しアメリカでは、この時冷蔵庫、洗濯機、ラジオが一般家庭に普及しました。

日本では1960年代に始まった大量生産・大量消費社会が1920年代のアメリカではすでに実現していました。

賃金も上昇し、株式や債券、土地に投資するようになり毎日の株価が話題になりました。しかし株価が永遠に上昇し続けることはないということをプロの投資家は分かっていました。


2.不況でも上がり続ける株価

1920年代後半にはヨーロッパ経済が復興し、アメリカからの輸出はピークを越えていました。そして企業は売れ残った商品の在庫を抱え、経済成長は息切れしつつありました。

実体経済の不況はすでに始まっていたのに、何も知らない庶民のおかげで株価だけが異常な上昇を続けていたのです。

「ウォール街の靴磨きの少年が株の話をしているのを聞いて、これはやばいと思った」と話したのは、投資家のジョセフ・ケネディです。のちに、ローズヴェルト大統領に資金提供をして政界入りをする人物です。


3.10年分の国家予算が1週間で消えた

ウォール街の株式市場では、同年9月をピークとして徐々に株価が下がり、10月24日「暗黒の木曜日」に大暴落が始まります。一週間で株式市場は300億ドルの損失を出しました。

これは当時のアメリカ政府の10年分の予算に匹敵する額です。

破産者が続出し、現金を引き下ろそうと人々が銀行に殺到し、銀行も資金が枯渇して営業停止。銀行から資金を調達できなくなった企業の連鎖倒産も始まり、企業の大規模な人員解雇も行われます。4人に一人が失業するという異常事態が発生しました。

また、第一次世界大戦の敗戦国ドイツは、アメリカからの投資で経済復興を進め、賠償金支払いを行っていました。しかし世界恐慌の影響で、アメリカの金融資本は海外に投資した資金を一斉に引き上げてしまいます。

当然、ドイツはたちまち多くの企業が倒産し、失業率は50%に迫りました。そしてそれまで賠償金の支払いと協調外交を進めてきた社会民主党政権は、国民の支持を失います。

そんな中、賠償金支払いを拒否し、植民地分割を要求する政治家がすい星のごとく登場しドイツ国民を熱狂させます。それがアドルフ・ヒトラーです。

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