猫の耳袋

敬愛する某バンドの曲名から無断借用しておりましたペンネームを変えました。 今日まで軽々…

猫の耳袋

敬愛する某バンドの曲名から無断借用しておりましたペンネームを変えました。 今日まで軽々しく扱っておりました事を大変申し訳なく思い、深く反省致しております。 ともあれ、100話まで頑張ります。

最近の記事

交通安全

Yさんから聞いた不思議な話。 Yさんがよく通る旧国道の交差点には、交通安全期間になると親子のマネキンが設置されるという。 交差点の角にコンビニがあり、昼夜を問わず車の出入りが激しい為、期間中は交通安全の啓蒙活動として横断歩道の傍に小柄な母子一体づつのマネキンが置かれるのだ。 この活動を知らないドライバーは勿論驚き、地元の人でもその姿にはハッとして、改めて横断歩道の歩行者優先を意識するらしい。 少し雨が降る夕刻。 Yさんの運転する車がその交差点の信号待ちをしていた時、

    • 切欠は同じ

      Hさんから聞いた短いお話。 Hさんの父君は若い頃に趣味で鉄砲撃ちをしていた。 と言っても本格的な狩猟活動をしていた訳ではなく、第二種狩猟免許で偶に鳥撃ちをして遊ぶ程度だったという。 暖かい日が続くある年の猟期解禁日。 父君は空気銃を肩に掛け、猟犬を連立って、よく猟場にしている広い河川敷の薮に分け入ったという。 河川が大きくカーブするカモの餌場を川下から狙い易く、且つ浅い川なので犬が拾いに行き易い、父君もお気に入りのポイントがあるのだ。 そこは葦が踏み倒されて出来た小さな

      • 雨の日限定

        N県へ出張した際に聞いたお話。 運送業を営むSさんはN県北部でも特に奥深い山村で生まれ育ったという。 小中学校は辛うじて近くに在ったのだが、高校ともなると山からバスで麓まで降りて、更に最寄りの駅から電車に乗り、数駅先の駅で降りてから学校まで歩きという、何とも大変な3年間を過ごしたようだ。 一人暮らしやバイク通学にも憧れたのだが、手隙の時間があれば家業の手伝いをしなければならない為、卒業まで願いは叶わなかったらしい。 ただSさんは大変真面目な性格で、日本海側の豪雪地帯であ

        • 話を聞いた後に古いSNSから発掘してきて貰った。 この写真はHさんが2011年に鳥取県西伯郡南部町に在る赤猪岩神社(あかいいわじんじゃ)の境内で発見した石コロだという。 携帯のカメラで撮影したモノとの事で、あまり鮮明ではないのはご容赦願いたい。 置いていった方がコレにどういう願を掛けたのかは、未だにHさんにも私にも分からないのだが、Hさん的には「面白そうだったので」拾って帰ったという。 後日、SNS上で某怪談御大と非常に親しい接骨医の方へ写真をお見せしたところ、『

          相性

          先日聞いた短いお話。 『空地』に登場したYさんの妹夫婦は、未だにマイホームを建てる良い土地を探している。 話を聞けば、ひと月程前には勤め先に程近い良い場所が見つかり、気持ち的にはほぼ購入確定まで漕ぎ着けたそうだ。 特に不自然な瑕疵がある物件でもないのも確認できた。 やっと決まった嬉しさからか、直ぐに夫婦でその地区の氏神様へお参りし、「お世話になります」「よろしくお願いします」とご挨拶にいったそうだ。 だがしかし、次の日からボタンの掛け違えの様な、些細な不幸が起き始めた

          大美人

          七尋 = 約12.6m 八尺 = 約 2.4m 怪談好きの方にはピンとくる寸法だろうか。 ご存じ『大女』である。 大陸から渡って来たと伝わる『七尋女房(ななひろにょうぼう)』 近年封印が解けて今も彷徨う『八尺様(はっしゃくさま)』 また「今昔百鬼拾遺」にも描かれている『倩兮女(けらけらおんな)』も大女種だ。 神話に多くの巨人が描かれている様に、『大女』に我々は古来から自分達より大きな存在に対する畏怖の念を持つが故に、本能的に恐れる一方で崇拝しているのかもしれない。 余談だ

          黒いスクーター

          つい先日、Hさんとお会いした時に聞いたお話。 Hさんが高校生時代の出来事。 今で言うウェイ系の同級生数名が、ガールズロックバンドのライブへ行くと興奮していたというので恐らく1990年頃だろうか。 その頃に同級生が一人、事故で亡くなっているらしい。 無免許&ノーヘル&スクーターで壁に突っ込んだという。 Hさんは亡くなった同級生と特に親しい訳でもなかったのだが、同い歳の死という生々しい事実に接し、それなりに傷心していたそうだ。 卒業して間もなく、Hさんは取得したばかりの免許

          黒いスクーター

          コックリさん禁止令

          とある田舎の中学校で起きたコックリさん騒動のお話。 お話を伺ったYさんが通ったK中学校はピカピカの新築だったが、3~4年上の世代はまだ旧校舎に通っていたという。 新校舎へ機能が移った後の跡地はすぐに整地されて町役場となり、つい最近まで旧校舎の一部は役場の施設として残っていたのだが、一昨年にとうとう取り壊されてしまったのが残念だ。 そんな旧校舎で騒動が起きたのも丁度コックリさんが全国的に流行した頃であり、ご多聞に漏れず朝夕に数人が集まっては、十円玉に指を置く姿が見られたとい

          コックリさん禁止令

          夢の中で

          Wさんは『夢に殺されかけた事が1度だけある』と言っている。 彼がその事に気付いたのは、病院のベッドの上で目が覚めた時だという。 この話を聞いたのは、私が自治体の先輩から聞いた『怖い夢』をWさんに話した後だった。 Wさんは「実は同じような体験が・・・・・・いや中身は全然違うんだけどね。『夢』が共通ワードってだけで。」などと言いながら語り始めた。 今の建築関係のお仕事に携わって間もない頃。 Wさんの記憶が確かならば、その夜はこんな夢を見ていたそうだ。 気が付くと建築中のお寺

          夢の中で

          空地

          短くてオチも無いお話。 Yさんの妹さんは現在夫婦2人でマンション住まいなのだが、仕事も収入も安定したのでこの際新居を構える決心をしたそうだ。 折角だから職場に近いトコロが良いと、その地区に住む知り合いにお願いして良さそうな土地を何件か紹介して貰っている。 紹介して貰った土地はいづれも好条件で、中には多少田舎で古いが立派なお屋敷と広い庭、更に裏の畑付きといったモノまであったという。 地権者も空き家や敷地の整備が大変だから早く処分したいと、知り合い価格である事を差っ引いて

          蛇の交尾

          皆さんは蛇の交尾を見た事があるだろうか? 2匹の蛇が一本の縄の様に巻き付き合う姿を見て、生命の神秘を感じるか気持ち悪いと感じるかは人それぞれだろう。 民俗学者が「神社のしめ縄自体が交合し合う蛇そのものである」と断言する位に有名な説なのだが、実際にソレを見た人は案外少ないものだ。 この話をしてくれたWさんが20年位前に山中で見たモノは、強いて言えばそんな感じだったという。 その頃のWさんはまだ独身で、○○の訪問販売をしていた。 Wさんが初めて伺うお宅への飛び込みで高価な○○

          蛇の交尾

          夕暮れの農道

          Wさんの短いお話 会社帰りのWさん。 気まぐれで少し遠回りな農道を通る事にした。 19時過ぎの薄暗い、擦れ違う対向車も人影も滅多にない農道だ。 とあるアンダーパス(高架下道路)へと曲がり、潜り抜けた先にソレは有ったという。 ヘッドライトに照らされて一瞬浮かび上がったソレは、畑などの端に積み上げてあるゴミ(大抵は土混じりの雑草や農業用マルチシート)の山だと思ったそうだ。 だが即座に違うと感じたのは、その山に光線を緑色に反射するビー玉の様なモノが幾つもあった為である。 そし

          夕暮れの農道

          退院の日

          Yさんから聞いた短い話 Yさんの義母は狭窄症の治療で1ヵ月程入院していたらしい。 術後の経過も良く、退屈な入院生活に飽き飽きした頃、退院日が決まった。 その日のお昼には帰ってくる予定だ。 Yさんは当日の朝に朝食の用意をすべく、エプロン姿で台所に立った。 テーブルを拭いたりお皿を準備したりしていたところ、1ヵ月間使われていなかった義母のイスに、背凭れの隙間越しから黒い猫が背中をこちらへ向けて丸まっているのを見て驚いたという。 あっと思って一瞬目を逸らし、野良猫かもしれな

          退院の日

          ガラスのタマゴ

          大分前にHさんから聞いたお話。 不思議なお話なのだが、珍しく長いのにちっとも怖くないのが印象的だった。長文ご容赦。 199〇年の春先にHさんはお仕事で中国山東省青島市へ渡航した。 日曜に総経理から食事のお誘いがあり、最近評判のお店へ行く事になった。 休日という事もあって沢山のお客さんがお店の前に車を停めている。 二本程離れた通りにやっと駐車スペースを確保できたので、そこから少し歩く事にした。 お店までの間に小間物を商う露店市場を挟んでおり、買い物客だけではなく、天秤棒を

          ガラスのタマゴ

          臆病モノ

          『足元に居る』『とおる』『祓えない』のお話に出てくるMさんのご実家。 少し古いだけで普通のお家なのだが、何故かお化け屋敷のように色々いるらしい。 かと言って特に大きな害はないそうだ。 案外貴方のお宅もMさんのご実家と同じように、見えないだけで色々いるのかもしれない。 今回は霊と意思疎通をしたお話。 改築して出来た新2階は、Mさんのお部屋の他に6畳のお座敷がある。 Mさんの部屋とはふすまで仕切られており、この2間は階段に繋がる廊下と御手洗いに繋がる廊下の間に挟まれる形だ。

          臆病モノ

          お引越し

          琴浦のGさんから聞いたお話。 Gさんの娘さんが大阪の北区にある大学へ通う為、市内から少し離れてはいるが交通の便は良い地区にアパートを借りたそうだ。 とは言ってももう20年程前のお話であり、震災の後でゴタゴタしていた頃だったからか、安普請の壁の薄い2階建ての真ん中部屋で、それでいて人の出入りは激しく、安いだけが魅力の暮らせるだけまだマシな物件だったという。 娘さんもそんなに長くは住んでいない。 内見の際、娘さんは部屋の奥の窓際から嫌な気配を感じたそうだ。 所謂霊感というヤツ

          お引越し