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相性

先日聞いた短いお話。

『空地』に登場したYさんの妹夫婦は、未だにマイホームを建てる良い土地を探している。

話を聞けば、ひと月程前には勤め先に程近い良い場所が見つかり、気持ち的にはほぼ購入確定まで漕ぎ着けたそうだ。
特に不自然な瑕疵がある物件でもないのも確認できた。

やっと決まった嬉しさからか、直ぐに夫婦でその地区の氏神様へお参りし、「お世話になります」「よろしくお願いします」とご挨拶にいったそうだ。

だがしかし、次の日からボタンの掛け違えの様な、些細な不幸が起き始めたという。しかも勤め先限定で。

従業員の軽いケガ、接触事故、つまり労災が続く。
契約者のお宅で契約者自身の御不幸が重なる。
最後には従業員が数名まとめて辞めたいと言い出す。

密度の高い対処に追われて、購入契約を進める暇もない始末だ。

「何だかおかしいね?」妹夫婦は直感的にあの土地の購入を断念するという事で一致したそうだ。

次の日、朝から氏神様に二人揃って参拝し、「申し訳ありませんでした」と購入を止める旨を報告したという。

果たして数日後、辞めると言っていた従業員達が諸々の事情が解決したので考え直したいと言ってきた。
労災の方も丸く収まったらしい。
契約も名義を代えて継続する事になった。

偶々にしてはあまりにも出来過ぎている、と妹さんはYさんに顛末を語ったという。

追記:
Yさん「肝心なところが抜けとるがん」私「あ、忘れてたわ」

二人が購入を断念するに至る際、その一歩を後押しした出来事があった。
軽い霊感持ちの親戚から「そこ、気難しそうな神さんがおられるねぇ」理由はわからないけどあんた方と相性悪いかもよ?と言われ、何となく腑に落ちたそうだ。

因みにその氏神様は要害神社だという。

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