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【チームエルのカルチャー】 オフィスは「会社」と「働く」を規定する - コロナ禍でオフィスを移転・増床した理由(3)


Team-L(チームエル)では、実践主義のコンサルティング集団として、採用活動から売り上げにつながる戦略・戦術の立案を通じて、企業の成長のお手伝いをしています。

チームエルについては、こちらで詳しく。

 
今回のシリーズは、シリコンバレーを長年取材し、iU 情報経営イノベーション専門職大学で教鞭を執る松村太郎がレポートします。

Team-Lのカルチャーシリーズ「コロナ禍でオフィスを増床した理由」のこれまでのストーリーはこちらから


コロナ禍までのオフィスのトレンドは、増床、集約、個性化でした。特に新しいテクノロジー企業は、非常に個性的なオフィスを創り、働く人が楽しんだり、誇りを持ったり、居心地が良かったり、様々なポジティブな感想を持つオフィス作りを競ってきました。それらのトレンドは、なぜ起きたのでしょうか。

チームエル代表の堀越勝格は、コロナ禍での社内の変化を通じて、オフィスの大切さについて気づきました。


カラフルなカーペットとソファ、ホワイトボードの意味

シリコンバレーのテクノロジー系について、大企業からスタートアップ企業まで、様々な規模や段階の会社を取材していた筆者は、ある共通点に気づきました。

落ち着いたグリーンやイエローのカーペットの上に、オレンジやグレーのソファーを置き、観葉植物が空間を柔らかに彩ります。また、分厚いアートやデザインの本が何気なくカフェテーブルに置かれ、壁にはホワイトボードがかけられている。

Googleはもちろん、Facebookの新しいビルも、創業して間もないスタートアップも、そうした企業が便利に使うシェアオフィスに至るまで、こうした空間ばかりを目にしました。そうした風潮になびいていないのはAppleぐらいです。

そんな話を、シリコンバレーで企業のコンサルティングを行うIdeoの創業者のひとり、ティム・ブラウン氏にぶつけてみると、「それはデザイン思考という共通言語を心得ている、ということをオフィスで意思表示しているのだ」とコメントしました。

シリコンバレーの共通言語は、英語とプログラミング言語に加えて、「デザイン思考」があります。人間中心で製品やサービスを開発する方法論で、否定をせず共感で進め、トライ&エラー、つまり失敗を良しとする心理的安全性が担保された価値感です。

カラフルなカーペットとソファの柔らかな職場の雰囲気は、デザイン思考を心得ていることをアピールするデザインであり、「安心してチャレンジできる職場だ」と言うことを物語っていたのです。

人材獲得競争も激しいシリコンバレーにおいては、オフィスのデザインすら意味を帯びており、働く自分を素早くイメージさせる手段となっていました。

オフィスは「会社」と「はたらく」を認知する

「オフィスは社員にとって、会社の『認知』に当たる場所です。働いている場所は、会社や仕事をイメージさせます。コロナで出社しなくなると、その『認知』を保つことが非常に難しくなっていきます。

チームエルでは、若い人材にどんどん会社に入ってもらいたい、として、会社の理念を整理し、採用活動に力を入れました。

優秀な人が門を叩いてくれるようになりましたが、その『門』の中も、彼らが『良いな』『ここで働きたいな』と思ってもらえる環境を創ろうと思ったのです」
働いている人の意識もさることながら、これからその会社で働こうかな?と考えている人に取って、オフィスは大きな要素となります。
オフィスが会社の認知であると同時に、働いている自分がどんな様子なのかを表すからです。

オフィスを隠してナンバー2を獲得した理由

わずか7年で140億円の売上高を達成したバッテリーなどのスマホ周辺機器を扱うAnker Japanにも、オフィスと採用にまつわるこんなエピソードがあります。

創業時、メンバー1人からスタートした当時の社長井戸義経氏は、企業の成長を加速させるべく、「会社のナンバー2」を探していました。白羽の矢が立ったのが、現在の代表取締役CEO、猿渡渉氏でした。

アメリカの大学を卒業後、コンサルティング、金融を渡り歩いてきた同氏を、口説き落とすとき、井戸氏は「入社する」と確約を取るまでオフィスに連れて行かなかったといいます。

その理由は、それまで丸の内の金融系ひしめくビルで働いていた彼を、いきなり段ボールだらけの雑居ビルの一室に連れて行きにくかったから。

高層ビルのオフィスロビーでゲートにパスカードをタッチして出社していた人が、合鍵を渡されて出社するとき自分で鍵を開けて電気をつけるとなると、いくら会社に共感し可能性を感じても、オフィスを見て「本当に大丈夫か」考え直してしまうのではないか、と心配してのことでした。

オフィスは、「会社」と「働く」を雄弁に語り、また訪れる人にはその会社と協業することを、また採用面接に来る人には仕事をしている自分を、それぞれイメージさせます。

では、オフィスをどのようにデザインしていけば良いのでしょうか?

(続く)

※企業の採用活動を根本から見直すノウハウが詰まった、チームエルの書籍「本当に欲しい人材が集まる会社の作り方」、Amazonで発売中 / Kindleで今すぐお読みいただけます。

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