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酒好きになり店を出したら人に騙され人に救われた話㉔

今日も普段と変わらない1日が続く
5階のエレベーターを出るとカラフルな壁が並ぶ。

今日は珍しく早い時間からハマさんの店と
ユーリの店が開いていた

「お疲れさまです‼」
元気に声をかける

「まさ、何しよんか?遅いやろーもん」
自分より早くこないと遅いだろうといった
目でこちらをじっと見つめている。
いかにも俺より早く来いといわんばかりの目だ

「お疲れ様でーす」
ユーリにはこそっと声をかけた

「おつかれ」
ゆったりとした口調で返事がきた
こちらはいかにも早く仕事を終わらせて
一度帰りたいというような目だ。

早めに店に入り
おでんの仕込みを始めた

今日は昨日の在庫がなく
いちからつくるおでんは
キレイに澄んだ透明のスープと
食材そのものの色の発色が
キレイに相まって見事ないろをしていた。

新しいおでんをつくることで
こちらの気分もますます高まってくる。

いよいよ新しいおでんができるころ
18時を迎えた。

店のオープンだ。

きょうはお客さんの足が早い
18時ちょうどに西日本シミズのメンバーが
やってきた。

西日本シミズといえば
以前のバイト先だ。

バイト先のメンバー15人くらいで
駆けつけてくれたため
店が貸し切り状態になった

おでんを多めに作っててよかったと
心から胸をなでおろした。

「なんか食べ物ちょうだい」

オーダーの仕方はかなり適当だ
いつも何かちょうだい‼
この一言で片付く

こちらもボリュームが
あるものをひたすら提供し続けた。

唐揚げ
焼き物
煮物

どんどん皿に盛られた料理たちが
提供されていく。

しまいには皿が
なくなってしまい、適当な皿に入れて提供していた。

こうなると
悪いクセでいつもの丼勘定が始まる

適当に値段設定をして
お酒も飲み放題になっていた。

お酒が減っていくにつれ
見事に皿に盛った料理が減っていった。

嵐のように過ぎ去った飲み会の後
空き皿だけが見事に並ぶ

この片付けは大変だなぁ
だれか手伝ってくれないかな
心のなかで一人でつぶやいた
もちろん、誰もいるわけでもなく、その場で一人で片付けが始まった

お皿を下げても下げても全く減らない

同じことの繰り返しで
うんざりしていた中で更に
嬉しいような悲しいような出来事が起こった

10名での新たな来店である

私は急いでテーブルだけを中心に片付けた

申し訳なく小声で
料理が少ししか残っていないことを確認した

それでも快くOKをしてくれたお客様を店に通した。

笑顔で食事が進んでいく
その飲み会も嵐のように去っていき
会計を済ませた。

すると1日の売上最高額を叩き出していた。
その残った現金を手に意気揚々と
皿洗いが進んでいた。

お金を稼ぐ嬉しさ、それが身にしみていた。


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