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#恋愛

【1話完結小説】幸せなお菓子たち

【1話完結小説】幸せなお菓子たち

この話を、全てのルマンド好きに捧ぐ____。

贅沢ルマンドが現れた時、群衆はそれまで全力で持て囃していたルマンドを無慈悲に切り捨てた。

ところがおかしなもので、時が経つと「贅沢ルマンドのこっくりとした態度がうざい」「最初からヘヴィ過ぎると思ってたんだ」としたり顔で言う輩が出てくる。

ルマンドへの回帰である。

しかし、そうやって再び群衆に持ち上げられようとも、一度裏切られ奈落の底に突き落とさ

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【1話完結小説】坊やと電柱(ショートバージョン)

【1話完結小説】坊やと電柱(ショートバージョン)

飛び出し坊やは「僕が子供達を守るぞ」と輝く瞳でこの街にやって来た。
20年後。
飛び出し坊や(もう青年)は傍らの電柱に呟く。
「なあ俺がここにいた意味、あるのかな?」
電柱は「何もなかった事が答えです」と静かに言った。
飛び出し坊やは明日、役目を終える。

*******

飛び出し坊やは去った。
来週には新しい坊やが配置されるだろう。
電柱は喪失感に包まれていた。
ドォォン
急にダンプが突っ込ん

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【1話完結小説】坊やと電柱(ロングバージョン)

【1話完結小説】坊やと電柱(ロングバージョン)

飛び出し坊やは「僕が子供達を守るぞ!」とキラキラ輝く瞳でこの街にやって来た。

20年後。

飛び出し坊や(もう青年)は傍らの電柱に呟く。
「なあ…俺がずっとここにいた意味、あるのかな?」
その瞳はどこまでも真っ暗で、今ではもうキラキラも何も映していない。

電柱は「何事もなかったことが答えです。」と静かに言う。

2人の間にぴゅうと秋の夜風が吹き抜ける。
飛ばされた枯れ葉たちが遠い闇の向こうへカ

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【1話完結小説】消えない

【1話完結小説】消えない

なぜだろう。
今私は自宅ベッドの上にいるのだけど、さっきからずっと憧れのあの人のにおいがしている。
一人暮らしのこのワンルームにあの人がいるはずないのに。

4時間前に会社で「お疲れ様でした。」という言葉を交わしたきりのあの人。
もっと言うと、1ヶ月前に一度だけ関係をもったきりのあの人。

あの人はマイホームパパだから、きっと真っ直ぐ自宅に帰って子どもをお風呂に入れちゃったりするはずだ。
それで子

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