マガジンのカバー画像

15秒で読める小説

332
15秒で読める!140字創作小説
運営しているクリエイター

#短編

【140字小説】見えたら…

【140字小説】見えたら…

目を閉じて
じっと目を凝らして
何が見える?
目を閉じてるから何も見えない?
いいえ、よく見て
自分の瞼の中の暗闇を、見て
思ったほど暗くないでしょう?
赤や白の光がたまに明滅している
まだ…まだ…
ずっとそのまま目を凝らし続けて

…え!?
見えた!?見えたのね!!

…可哀想に

【140字小説】ブーメラン少女〜愛〜

【140字小説】ブーメラン少女〜愛〜

うちの子が1番可愛い…って絶対どこのお母さんも思ってるよね。ウケるよね。そんな言うほどお宅のお子さん可愛くないっての。お母さんになると皆頭おかしくなるのかな。よくそんなパッとしない子を大事に育てられるよね。
(ここで何かに気付く)
…ママ、私を育ててくれてありがとう。

【140字小説】絶対すぐ飼うやろ

【140字小説】絶対すぐ飼うやろ

「安心して。明日も明後日も…僕は君の為にしばらくずっと生きてるから。」

夏の初めに出会った時、カブトムシは確かにそう言ったのに。

今朝起きてみると、虫かごの中ですっかり冷たくなっていた。

…だから曖昧な約束は嫌いなんだ。

傷心の僕は、しばらくずっと生き物は飼わないだろう。

【140字小説】気のせい

【140字小説】気のせい

僕の発言で場が白けたのは気のせい。急に彼女が冷たくなったのも気のせい。フォロワーが減ってるのもきっと気のせいだ。
タタタ…
誰かが駆け寄ってきた。
「全部俺のせいにすな!!」
そいつはいきなり僕を張り倒して去って行った。
その背中には「気」の文字。

【140字小説】チワワの町

【140字小説】チワワの町

凶暴すぎる衝動を理性で飼い慣らせば、やがてチワワになるという。
ここはそんな伝説が息づく町。

_おや、貴方のチワワ随分恐ろしい顔をしていますね。

_ええ、まだ上手く飼い慣らせなくて…。

_じゃあ、早いところ躾教室に入った方がいいですね。飼い主さんが。

 【140字小説】もみほぐし

【140字小説】もみほぐし

 近所にもみほぐし店ができた。

 訪ねると美しい女店主が出迎える。貸切で贅沢なアロマの香りに包まれ、とろける様な心地良さにいつしか眠っていた。

 目覚めると私は液体になっており、女店主は「もう!何で皆とろけちゃうのよ!」とブツブツ言いながら店裏の蠢く池に私を流した。

 【140字小説】箱の中身

【140字小説】箱の中身

 冷蔵庫に見覚えのない容器がある。中は見えない。カサカサ微かな音を立てていたが1週間もすると静かになった。
 私は見て見ぬ振りをした。
 1年後、見知らぬ男が来訪し容器と引換に百万円置いていった。私が中身を問うと、男は「見たくせに」と微笑んで立ち去った。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #スキしてみて

【140字小説】博多忖度

 「月がきれかね」と君が言う。
 例ん愛ん告白なんかそれともただん事実ば言うただけやろうか。
 下心ありありのうちゃ1人でなんやかや考えすぎて分からんくなる。
 君ん心が読めたらよかとに。
 見上げた夜空に輝く月は確かにきれかった。
 …今日ん収穫はそれだけ。

※メモ※ こちらで方言に変換してもらいました♡

 【140字小説】気持ちを曲に乗せ

【140字小説】気持ちを曲に乗せ

 俺のバンドのラブソングがCMに起用され、爆発的に人気が出た。

 でも信じて欲しい。この曲はお前への想いから生まれた曲で、今も毎回お前1人に向け歌ってる。俺が心から愛してるのはこの先も永遠にお前だけだから。

 …そんな気持ちで歌っていたら爆発的に人気が出た。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #スキしてみて

 【140字小説】母の呪い

【140字小説】母の呪い

 娘は少し抜けていて学校で仲間外れにされかねない。だから私は「あの子とずっと仲良くしてあげてね。」と同級生の男の子に優しい言葉で呪いをかけた。利発そうな子なら誰でもよかった。

 十数年後、娘はその子と結婚した。私の呪いなのか愛なのか、今はもう知る術もない。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #スキしてみて

 【140字小説】犬を飼う理由

【140字小説】犬を飼う理由

 飼い犬が少年を守って死ぬ…そんな鉄板感動物語を読んでも泣かないどころか、直後に「お腹空いた、夕飯何?」という息子。
 将来大丈夫かしら?___それを確かめる為だけに犬を飼った。

 10年後、天寿を全うした犬は死に、息子は泣き明かした。私はその姿を見てただ、満足していた。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #スキしてみて

 【140字小説】happy bad end

【140字小説】happy bad end

「俺達付き合お?」
軽い感じで毎日絡んできた彼。
愚痴も延々聞いてくれて、元気がないとお菓子のプレゼント。
チャラくて軽くて…優しくて温かい彼。
そんな彼にこんな自分が相応しいとは到底思えず、遂に彼が去った日は安堵すら感じていた。
…煙草が、いやに目にしみる。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #スキしてみて

 【140字小説】週末の過ごし方

【140字小説】週末の過ごし方

 狭苦しい地元じゃデートスポットなんてイオンくらい。
 週末のイオンはクラスで噂のカップルに出会う確率80%。
 初デートにWデート。元カレ元カノ鉢合わせ…なんて事も。

 そういうアレコレをベンチでアイス舐めながら観察するのが、ウチら非リア充のトレンディ。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #スキしてみて

 【140字小説】爆破予告

【140字小説】爆破予告

ニュースで爆破予告事件を見る度思う。本気で成功させたいなら予告などせず黙って実行しろ、と。下らぬ自己顕示欲に溺れたバカ共め。

そして俺はゆっくり手元のボタンを押した。3,2,1…あれ?

予告していないので不発の際も恥ずかしくない。失敗作の回収に向かおう。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #スキしてみて