マガジンのカバー画像

15秒で読める小説

332
15秒で読める!140字創作小説
運営しているクリエイター

2021年2月の記事一覧

【140字小説】決めつけ

【140字小説】決めつけ

昨日から家の周りを黄色い蝶がずっと飛んでいる。

…そうか、もうすぐあの人の命日だから私達に会いに来てくれたのね。あの人はとっても優しかったから。

そう思った瞬間、ざあっと生温い風が吹いてすぐ側で声が聞こえた。

「勝手に決めてんじゃねぇよ。」
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #ホラー #スキしてみて

【140字小説】混ざってる

【140字小説】混ざってる

この世が人間だけのモノと思ったら大間違い。

日々起きる事件の何割かは私達の仕業だし、君のフォロワーにも私達は混ざっているし、君の隣人も私達かもしれない。

助かる為には些細な違和感をキャッチしてそっと逃げる事。

その相手が人間か私達かは神のみぞ知る。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #ホラー #スキしてみて

【140字小説】赤鼻の

毎日マスクをしていたせいで鼻の頭が赤くなってしまった。肌が弱くてまったく嫌になる。

それでもそんな私をあのおじさまは選んでくれた。

年に1回一晩だけのお仕事。

あとの364日はおじさまの用意してくれたマンションで優雅に暮らせるの。

出勤日?クリスマス・イヴよ。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #恋愛 #スキしてみて

【140字小説】ノンシュガー

【140字小説】ノンシュガー

喫茶店で別れ話。

あなたは言う
「君がいれば他に何もいらない、だから…」

私は言う
「コーヒーにはミルクがあればいい。甘々の砂糖はもう要らないの。」

馴染みのウェィターが運んできたミルクたっぷりカフェオレを飲み干し、私は席を立った。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #恋愛 #スキしてみて

【140字小説】出がらしの悲劇

何を書いてもパクリだと言われてきた。

読書感想文も、大学の論文も、入選した詩も(後で賞は取り消された)。

必ず私より先に知らない誰かが発表していた。

そして今。

1年かけて書き上げた小説と同タイトルの作品が新人賞をとったというニュースを見て、絶望している。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #スキしてみて

【140字小説】お礼

顔におできができた。いつもはすぐ潰してしまうが、肌への負担を考え、今回は暫く放置することに。

10日目の夜。

キラキラ…ポンッ.:*・゚✽
「私はおできの精です。潰さずにいてくれてありがとう。お礼にもう一つ差し上げます。」

ちょっ、いやいやいや…!!
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #スキしてみて

【140字小説】お菓子作り

【140字小説】お菓子作り

平日の朝、思い立ってクッキーを焼いた。

可愛く型抜きして、丁寧にアイシングで模様を描く。

甘い香りに包まれたキッチンはまるで幸せな防空壕。

___遠くで電話が鳴っている。

戦闘機の様なパワハラ上司の声は幻聴だろうか。

私は引き続きプリン作りの準備に取りかかった。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #スキしてみて

【140字小説】学級会

【140字小説】学級会

学級会。

今月は虐めについて、各々の辛い経験や想いを交えて討議した。

先生も所々で良い気づきを与えてくれた。

最後に一人一人書いた感想文、どれも心が篭ってて、他人をしっかり思いやれてて、読むと涙が出てきた。

___何故こんな素敵な人達が私を虐めているのだろう。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #スキしてみて

【140字小説】ピカピカシンク

【140字小説】ピカピカシンク

憧れの注文住宅に越した時、確かに心は踊っていた。

シンクも傷ひとつなくピカピカ銀色に光り、

「毎日掃除してこの状態をキープするね」と意気込んでいた。

ところが月日と共にシンクはどんどん汚れていき…そして今に至っては殺した夫を泣きながらそこで解体している。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #ホラー #スキしてみて

【140字小説】仏像女子

【140字小説】仏像女子

「俺の頭、螺髪じゃなくてパンチパーマだから」

そう言ってのけるA大仏君推しの私だったが、今日見かけた観光ツアー集団で

「俺の頭、パンチパーマじゃなくて螺髪だから」

と言ってた強面のおじさまもアリだなって思った。

__そんな仏像女子は今日も寺院を訪れる。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #仏像 #スキしてみて

【140字小説】乙女の悩み

【140字小説】乙女の悩み

麗しの乙女な私。
不治の病発覚で着の身着のまま急遽入院した。

「剃刀を下さらない?」

そうお願いしても、自害を心配してか誰も差し入れてくれない。

…違うの!
鼻の下の産毛がおっさんばりに伸びてきたから剃りたいだけなの!
でも乙女だからそんな事言えない。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #スキしてみて

【140字小説】クリスマスの朝

【140字小説】クリスマスの朝

娘の声で目覚め青ざめる。

忙しい日々、早々に用意したXmasプレゼント。あろうことかイブの夜枕元にセットし忘れ朝を迎えるとは。

焦って娘を見ると見慣れぬ包みを抱えている。

更に私の枕元にも、小箱に入った指輪と「いつもお疲れ様」の手紙。

…ちょお待って、誰??
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #クリスマス #スキしてみて

【140字小説】見てたもん

【140字小説】見てたもん

昔、孤独感から摂食障害にもなりかけたが何とか持ち直し人並みに結婚した。

今、専らの悩みは4歳娘の偏食くらいだ。

「人参も食べてね」

「(モグモグ)べーっ!」

「こら、出しちゃだめ、ゴックンよ」

「ママも吐いてたもん、マミはお空から見てたもん!」

「…」
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #スキしてみて

【140字小説】恩返し

【140字小説】恩返し

「昼間助けて頂いた鶴でございますー」

…あっ、どうぞどうぞ(マジもんか、凄いな)

「今から数時間はこの部屋を覗かないで下さいましー」

…りょ!

数時間経っても出てこないのでドアを開けてみると、室内は酷く物色され窓が開いていた。

…鶴じゃなく詐欺だな!
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #昔話 #スキしてみて