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大学教員公募裏ワザ白書~書評:ルポ大学崩壊~

このnote記事では、大学教員採用の選考対策に関する情報を公開しています。
43大学に応募し、16大学から面接に呼ばれた筆者が、どのように書類選考を突破したか、どのようなことを面接で聞かれたかなど、大学教員志望であれば喉から手が出るほど欲しい情報を暴露中。

皆様ごきげんよう、某私立大学で専任教員として勤務している「裏ワザ暴露太郎」です。

今回は田中圭太郎 著『ルポ大学崩壊』の書評をしたいと思います。
無料なので最後までお付き合いください(*^-^*)

本書は、大学で起きている問題について取材したルポタージュです。
国立大学の破壊、私立大学の私物化、ハラスメント、雇用破壊、文科省の天下りの5つの章について、関係者の証言や裁判資料、内部資料などに基づき詳細に大学の問題に迫った内容となっています。

アマゾンでも星4.2と高評価で、2023年2月に発売されてからめちゃくちゃ気になっていた一冊でした!

本書を読んだ個人的な感想は、「問題のない大学など存在しないんだな」でした(*_*;
私の所属する大学を含め、どこの大学にも大なり小なりの問題は必ず存在するんだなぁという感じ。

大学に勤務する私からすると、他大学の悪しき実態を知ることができどの章も非常に興味深かったのですが、このブログの読者(これから大学で働きたい方々)にとっては不安を煽るような内容かもしれません((+_+))

ただ、「関係者へよくこんな取材ができたな」と思えるほどの取材力や、内部資料・裁判資料などが隅々まで調査されており、大学についてのルポとしては非常に完成度が高いと思いますので、一読の価値大有りだと思います(^O^)/

本書に取り上げられている問題は、
大学のガバナンス改革が開始され
  ↓
学長などの執行部への権力集中が進み
  ↓
大学の私物化やハラスメントなどの暴挙が起こりやすい状況になった
というような構造になっていると窺えることができました。

必ずしも全ての問題がこれに該当するわけではありませんが、大まかにこんな感じになっていたので、以降は私にとって印象深かった「大学ガバナンス改革」「ハラスメント」に焦点を当て、本書の内容をちょこっとだけご紹介したいと思います(^O^)/

大学のガバナンス改革

現在は法人化が進み、国立大学は「独立した法人」として各大学を運営をしていますが、法人化以前、国立大学は法令に基づいて国によって設置される国の行政機関でした。
その組織運営の在り方は法令で比較的詳細に規定されており、政府の統制が強く働くことから、そのガバナンスは大学と国との関係によって大きく規定されるものでした。

しかし、以下の法案が施行されたり、法改正が行われることで、国立大学の様相は徐々に変化していくことになります。

暴露太郎によって作成

国立大学法人法により2004年に国立大学が法人化され、2014年に学校教育法及び国立大学法人法の一部改正が行われることで、国立大学法人の最終意思決定権は国立大学の長である学長にあるものとされ、法人(管理組織)と大学(教学組織)の一体化が図られていきました。
これはつまり、学長によるトップダウン型の経営へと変化したことを意味しています。
 
2014年の学校教育法及び国立大学法人法の一部改正は通称「大学ガバナンス改革法」と呼称されており、細かい内容は割愛しますが、私立大学においても、学長のリーダーシップの下で、戦略的に大学を運営できるガバナンス体制を構築することが強調されました。これにより、民間企業のようなトップマネジメントによる意思決定が遂行しやすい体制が実現されたのです。

これらの結果、国立大学、私立大学ともに、学長への集権化が進み、学長のやりたい放題となる大学が増加していったという流れの完成です(*_*;

ハラスメント

本書に記載されていた中でもとりわけ印象的だったのが、追手門学院大学のパワハラ事件です。

このパワハラ事件は、「キャリア形成研修」という名目の「退職勧告研修」であり、通称「腐ったミカン研修」で一躍有名となりました。
この研修は、外部コンサルタント会社に委託し、職員を退職させるための「パワハラ研修」で、追手門学院大学の事例は職員を対象としたものでしたが、この研修は他大学の附属高校の教員向けにも実施された悪名高い研修でした。
大きくメディアにも取り上げられたので、強く印象に残っています。

ショートver.(朝日新聞デジタル)


ロングver.(モーニングショー)

追手門学院大学に勤務する私の研究仲間曰く、上の研修が行われていた当初は学長が理事長も兼任しており、非常に大きな力が理事長・学長に集中していたようですが、数年前から学長は別の方が就き、執行部も大幅な入れ替えがあったそうです。
そして、学長・執行部が大きく変わったことで、学内の雰囲気もがらりと良くなったそうです。

以上、『ルポ大学崩壊』について一部解説してきましたが、ブログ読者の皆様、大学で働くことに対する印象はネガティブになっていませんか??(*_*;

冒頭の個人的感想でも述べましたが、「問題のない組織など存在しない」ので、まずは大学に勤めてから自分の目で確かめることをお勧めしますよ~(^O^)/!!!

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