選択肢のない選挙ほど不幸なものはない
こんにちわこんばんわ。
全ての増税に反対し、全ての減税に賛成する自由人、七篠ひとり(@w4rZ1NTzltBKRwQ)です。
今日は以前からお伝えしている「スペインの総選挙の投票日」です。
当然そのことは日本のメディアでも報道されているのですが、その内容はなぜかジェンダーや気候変動問題、移民政策を軸に「右傾化の波」とか「極右政党との連立が焦点」といった論点ばかり。
大きな争点になっている経済政策については、どのマスコミもほとんど深く触れておらず、ここ1週間におけるスペインの総選挙を報じる記事で
「減税」という言葉が出てくる記事はわずか1本だけ。
しかも、ちょこっと最後に「国民党はこれまで減税などを訴えてきた」と出てくる程度という有様です。
言うまでもなくスペインの報道では各党の減税政策を報じる記事がこうしてずらっと並んでいるわけですが、これらが日本では一切無かった事になっているのはさすがに気味が悪いとしか言いようがありません。
ということで、誰も報じないなら減税新聞がその役割をするしかありません。
スペインの各政党が税制についてどのような政策を掲げているのかをご紹介しますので、みんなで見ていきましょう。
その前にまずは簡単にスペインの国政政党をご紹介します。
●スペイン社会労働党(中道左派)
社会民主主義(革命ではなく民主主義で社会主義を実現しようとする思想)を掲げる現政権与党
●スマール(急進左派・反自由主義)
社会労働党と連立を組んでいた左翼政党ポデモスや環境左派のエクオグリーンやアリアンサ・ヴェルデ、スペイン共産党などの急進左派政党(理想とする社会に向かって大きく早く変化をさせようとする思想)によって作られた選挙連合。
○国民党(中道右派)
スペインの二大政党制の一翼を担う保守主義政党(進歩主義とは逆に自然な社会変化を求める思想)
現在の野党第一党で、今回政権交代確実と言われている
○Vox(右派)
2019年の選挙で第3政党大躍進した経済自由主義政党。
反移民、反EU、LGBTの権利拡大などにも反対している
大きく分けるとこの4つです。
では各党が掲げる「税制に関する公約」をこちらのニュースから確認してみましよう。
各政党は税金に関してどんな主張しているのか
スペインが財政赤字の削減が求められる中、23日の選挙は今後4年間のスペインの方向性を決定するだろう。
したがって、税制は今回の選挙における最も重要な議論の一つである。
それについて4大政党は2つのグループに分かれ、それぞれが対峙した政策主張を行っている。
「社会福祉の予算は贅沢ではない」
●スペイン社会労働党(中道左派)
「社会福祉に予算を使うことは、私たちに許されない贅沢ではない」
社会労働党は選挙公約のなかでこう書いている。
そしてその中で社会労働党は、
「恵まれない人々が最高レベルの援助を受けられよう富裕層や資産家、多国籍企業や大企業に、より多く納税させる財政政策を推進してきた」
とこれまでの成果を主張した。
そして改めて社会労働党は、銀行や電力会社に対し財政規律に貢献し続けるように要請しながら、銀行や電力会社へ課してきた棚ぼた税をアピールしている。
また社会労働党は格差競争を終わらせるとして、資産に対する課税についても措置を講じる予定だ。
法人税については国際的議論に従い、法人税の最低税率を15%に設定し、企業への税の再分配も視野に入れている。
一方で租税回避や脱税を防止するための措置の導入するともしている。
「金持ちから税金を取れ」
●スマール(急進左派)
急進左派のこの党の政策は実にシンプルだ。
「累進課税を促進し、所得格差を埋めるための税制改革」を掲げているが要約するとこうだ。
「金持ちから税金を取れ」
スマールは以前から資産に対して最低4%の課税を求めており、その税率は恒久的かつ累進的であるべきだと主張している。
また同党は相続税と贈与税に対しても「地方政府が独自に引き下げられないようにするための最低税率の導入」も政策に盛り込んでいる。
所得税については、30万ユーロ以上の所得に対し最大52%の課税をすべきだと主張している。
「税負担軽減が使命」
○国民党(中道右派)
国民党は「何年にもわたる絶え間ない増税が行われてきた」として
「国民の税負担を軽減するのが我々の使命である」
と主張している。
国民党が数カ月前からの地方演説で繰り返し主張してきた目玉政策が、インフレの影響を是正するための個人所得税の減税である。
公約に具体的明記は無いが、同党は何度も「年収4万ユーロまでの所得に焦点を当てた減税を行う」とアピールしてきた。
また国民党は、肉や魚などに対する付加価値税の引き下げや、300万ユーロを超える資産に対する課税の廃止、中小企業、赤字企業へ焦点を当てた税の簡素化にも取り組むとしている。
同時に、国内投資を促進することを目的とした、外国企業への税制優遇措置も盛り込んでいる。
「大減税を推進する」
○Vox(右派)
Voxの政策は他とは根本的に違っていて、
「所得税を2つのグループに分け、大幅な減税を推進する」
としている。
年収70,000ユーロまでは15%の所得税率、それ以上の所得には25%の税率を適用し、同時に「子供1人につき4%が減税される」というものだ。
これが行われれば仮に子供4人で年収が6万5000ユーロの場合、所得税はゼロになる。
そして長期的には所得税のフラットタックス化(15%)を望んでいるが、それまでは住宅控除の復活や資産への課税停止などを主張している。
法人税への15%への引き下げと簡素化も掲げ、富裕税、相続税、贈与税、地方キャピタルゲイン税の廃止も政策としている。
以上です。
さあ、皆さんはどの政党の政策が良いと思いましたか?
といっても今日これをご紹介したのは、「この中でどれが正しいか」を論じるためではありません。
スペインにはこうして投票先の選択肢があること
を知ってほしいからです。
これまでも何度か書いてきましたが、レジ袋税が廃税になったスウェーデンも
相続税で対立したホンジュラスも
プラスチック税を廃止したイスラエルも
全て与野党がそれぞれ違った政策主張をし、それを有権者が選挙によって選び、選ばれた政権が公約を実行していくからこそこのような話になるのです。
今回のスペインの話も、全政党が同じ様な事を言っていたり、また選挙公約を守らないことが常態化しているような社会では絶対に起こり得ません。
では日本はどうでしょうか?
これらの政策に対し、日本に10ある国政政党はどのグループに入るでしょうか?
残念ながら上ふたつのグループにしか該当しません。
立憲民主党や日本共産党、れいわ新選組、政治家女子48党など各党の支持者の方は「減税を言っているじゃないか」と思うかもしれませんが、例えば彼らは同時に資産課税を推してますし相続税100%なんてことも言ってるわけですから「金持ちから税金を取れ」というグループなのは言うまでもありません。
結局どの政党も「誰から取るか」に違いがあるでだけで、「社会福祉に予算を」「格差の是正を」「こっちに配ろう」と同じ主張をしているに過ぎないのです。
念のために言っておきますが、今している話は「左派政策に対する賛否」ではありません。
日本には左派政党しか存在しないので選択肢がない
という問題です。
選択肢のない選挙ほど不幸なものはありません。
北朝鮮だって「朝鮮民主主義人民共和国」というその名の通り選挙がある民主主義国家です。
ただその選挙での投票は、党に監視され自由意思での投票が出来ない、つまり「選択肢がない民主主義」です。
さすがに日本ではそんなことは無いですが「選択肢がない民主主義」という大きな意味では同じです。
しかし日本が北朝鮮と大きく違う点は、
選択肢が有権者によって作ることが出来ること
です。
明治23年に初の総選挙が行われた時の日本には、「民党」と「吏党」という選択肢がありました。
民衆の代表として減税などを主張した「民党」は、やがて政府による買収や妨害工作、圧力やけん制によって時間と共に姿を消してしましたが、もう一度我々は「民党」という選択肢を作る必要があるでしょう。
今回のスペインの選挙では、右派の国民党が第一党を取り、Voxとの連立政権を組むと予想されています。
しかしどのような結果であっても、それはスペイン有権者が選択したことです。
他国の政治に対し「右傾化」だの「極右」だの言うのもいいですが、それよりも自分の国には選択肢すらない事に疑問を持つべきです。
自由とは「選択」できることです。
選択肢のないことほど不幸なものはありません
意見がひとつしかない社会は、意見がないのと同じです。
私が「減税しろ」と言い続けてるのはこういう理由でもあったりします。
ということで、「おむつの消費税ゼロ」運動をやっています。
詳しくはこちらから
では、今日の記事はここまで。
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